2023.06.26
マンション売却の3,000万円特別控除とは|適用条件やその他の特例も紹介
「マンション売却の税金は控除できるの?」
「マンション売却で使える節税方法を知りたい!」
このようにお悩みではありませんか?
マンション売却では諸費用を含めた購入額に対して売却額が上回ると、譲渡所得税という税金が発生します。
しかし、この税金はさまざまな特例を使うことで控除もしくは節税することが可能です。
この記事では、マンション売却で利用できる最も大きな3,000万円特別控除の適用条件や内容に加えて、その他の節税対策で使える特例をまとめて解説します。
これからマンション売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マンション売却で特別控除が適用できるケース
マンション売却で使える特別控除は、基本的に税金が発生した場合にのみ適用できます。
そこでまずは、マンション売却で税金が発生するケースを確認しておきましょう。
マンションで税金が発生するのは「売却額が諸費用+購入額を上回った時」です。
この時発生する差額分の利益に税金が発生し、この税金を譲渡所得税と言います。
譲渡所得税 = { 建物の売却額 – ( 取得費 + 建物の購入額 ) – 譲渡時の諸費用 }× 税率20%~40%
譲渡所得税の税率は、マンションの所有年数によって異なります。
所有年数 | 譲渡所得税の税率 |
---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
5年を超える(長期譲渡所得) | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%) |
マンション売却で利益が発生した場合は、上記で記載した通りの税金が発生します。
税金が発生した場合は、当記事で紹介する特別控除を利用しましょう。
マンション売却で使える特別控除
それではここからは、マンション売却で利用できる特別控除についてです。
マンション売却時に使える特例控除は大きく3つあります。
- 3,000万円特別控除
- 長期所有時の特別軽減税率
- 移住用財産の買換えの特例
それぞれの特例についてみていきましょう。
3,000万円特別控除
特別控除の中でもメインになるのが、3,000万円特別控除です。
正確には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という名称の特例で、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例になります。
適用条件は以下の通りです。
- 自宅あるいは自宅と土地や借地権を売る場合
- 以前に住んでいた不動産については、住まなくなった日から3年経過する日に属する年の12月31日までに売却した場合
- 不動産売却の前年および前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を適用されていないこと
- 売却の年の前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例を受けていないこと
- 売主と買主が親族でないこと
これらの条件を満たした上で売却する場合に、最大3,000万円の控除が受けられます。
マンション売却の譲渡所得で3,000万円を超えるケースはほとんどないため、マイホームなどを売却する場合はほぼ全ての税金を控除できるでしょう。
長期所有時の特別軽減税率
2つ目は、10年を超えるマンションを売却する際に適用できる特別な軽減税率についてです。
以下の条件に当てはまる場合に限り、譲渡所得にかかる税率が軽減されます。
- 自宅、または自宅と土地を売る場合
- 以前に住んでいた不動産については、住まなくなった日から3年経過する日に属する年の12月31日までに売却した場合
- 不動産売却の年の1月1日時点において、その不動産の所有期間が10年を超えていること
- 不動産売却の前年および前々年にこの特例を受けていないこと
- マイホームの買換えや交換の特例などを受けていないこと
- 売主と買主が親族でないこと
上記内容を満たした場合は、税額が以下の通りになります。
課税長期譲渡所得金額 | 税額 |
---|---|
6,000万円以下 | 売却額の10% |
6,000万円超 | (売却額 – 6,000万円)× 15% + 600万円 |
売却額に応じて税額が変わりますので、確認しておきましょう。
居住用財産の買換えの特例
3つ目は、マイホームを買い換える際に適用可能な買換えの特例です。
正確には「特定の居住用財産の買換えの特例」という名称で、マイホームを買い換えた際に発生する譲渡所得税を次の買い換え時に先送りできるという特例になります。
この特例はあくまで先送りにするだけなので、税金自体はなくならないという点に注意が必要です。
適用条件は以下の通りになります。
- 不動産売却の前年および前々年に3,000万円の特別控除やマイホーム売却の軽減税率、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を受けていないこと
- 売却代金が1億円以下の場合
- 売主の居住期間が10年以上、かつ売却した年の1月1日において所有期間が10年を超える場合
- 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上、買い換える土地の面積が500平方メートル以下であること
- マイホームを売った年の前年から翌年までの3年間にマイホームを買い換えること
なお、居住用財産の買換えの特例は令和5年12月31日までが期限になっています。
令和6年以降は特例の廃止および変更が検討されているため、それ以降に売却を検討している方は、事前に確認してから売却するようにしてください。
マンション売却で使える特別控除の注意点
マンション売却で適用できる特別控除は、どんな状況でも使えるというわけではありません。
ここでは、特別控除を利用する際の注意点について解説していきます。
特別控除の併用の可否を確認する
特別控除の中には併用できるものとできないものがあります。
たとえば、3,000万円の特別控除とマイホーム買換えの特例は適用できませんが、長期所有時の軽減税率はどちらの特例とも併用できるというような仕組みです。
場合によっては、自分に最適な特例を適用できなかったというケースもありますので、しっかりと譲渡所得税を確認した上で適用することが重要になります。
基本的な考えとして、特例の中で併用が可能なものは「長期所有時の軽減税率のみ」と覚えておくと失敗しづらいです。
住宅ローン控除と3,000万円控除は併用できない
3,000万円特別控除を受ける際に特に注意したいのが、住宅ローンの控除についてです。
住宅ローン控除と3,000万円特別控除は併用できず、3,000万円特別控除を受けた前後2年間の計5年間分の住宅ローン控除が適用されなくなります。
そのため、譲渡所得額が低い場合は、住宅ローン控除を選択した方がお得になる可能性が高いです。
特例は一度利用すると再度利用することはできませんので、必ず計算してから適用するようにしましょう。
適用条件をしっかりと確認する
マンション売却時の特別控除の特例は、条件をしっかり確認してから申し込むようにしましょう。
特に注意したいポイントはそれぞれ以下の通りです。
特別控除名 | 注意したいポイント |
---|---|
3,000万円特別控除 | ・マイホームもしくは住居後3年以内のマンションに適用 ・過去2年間にマイホームに関する特例を受けていない ・売主と買主が親族などの特別な関係でないこと |
長期年数所有時の軽減税率 | ・マイホームもしくは住居後3年以内のマンションに適用 ・売却年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること ・過去2年間にマイホームに関する特例を受けていない ・売主と買主が親族などの特別な関係でないこと |
居住用財産の買換えの特例 | ・売却額が1億円以下であること ・売却年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること ・買換え先の建物が床面積50平方メートル以上、土地面積が500平方メートル以下であること ・売却前後1年間(計3年間)でマイホームを買い換えること |
特別控除申し込み時は、上記内容を確認してから申し込むようにしてください。
3,000万円特別控除の必要書類と手続き方法
マンション売却時の特別控除の中でメインに使われるのが「3,000万円特別控除」です。
そこでここからは、3,000万円特別控除を実際に利用する際の、必要な書類や手続き方法について解説します。
3,000万円特別控除に必要な書類
3,000万円特別控除を適用するために必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | 発行・入手できる場所 |
---|---|
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) | 税務署のHP |
確定申告書B | 税務署のHP |
本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など) | – |
売却時の売買契約書 | 不動産売却時に発行 |
購入時の売買契約書 | 不動産購入時に発行 |
売却にかかった諸費用の領収書 | 不動産売却時に発行 |
購入にかかった諸費用の領収書 | 不動産購入時に発行 |
登記事項証明書 | 法務局 |
住民票の写し | 市役所など |
合計9種の書類などが必要になりますが、実際自分で用意するものはあまり多くありません。
そのため、特別急いで準備する必要はないでしょう。
ただし、不動産購入・売却に関する書類が手元にない場合は、再発行してもらわなければなりません。
手元にそういった類の書類が残っているかどうかだけ、あらかじめ確認することをおすすめします。
3,000万円特別控除の手続き方法
3,000万円特別控除を受けるために必要なのが確定申告です。
確定申告は不動産売却をした翌年の2月16日~3月15日の間に行われますので、必ず申請するようにしましょう。
なお、確定申告用の書類は国税庁の公式ページ「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】(令和4年分)」からダウンロードできます。
具体的な記入例は国税庁公式ページ「令和4年分 譲渡所得の申告のしかた」を参考に、間違えの内容に記載してください。
また、譲渡所得で分からない部分がある場合は専用の相談窓口「国税に関するご相談について」がありますので、利用してみると良いでしょう。
その他特定の状況で使える特別控除
マンション売却では、ここまで紹介した特別控除以外にも、特定の状況で使える2つの控除があります。
マンション売却で損失が出てしまった、マイホームの買い換えを行って損益が出てしまったという方はこちらの特別控除を利用しましょう。
マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅ローンのあるマイホームを売却した際に、住宅ローンの残高を下回る価格での売却になった場合は、その損失分を損益通算もしくは繰越控除することが可能です。
損益通算・繰越控除金額 = 売却前日の住宅ローン残高 – 売却金額
この特例を「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言います。
特例の適用条件は以下の通りです。
- 自分が住んでいる不動産を売る場合
- 以前に住んでいた不動産については、住まなくなった日から3年経過する日に属する年の12月31日までに売却した場合
- 不動産売却の年の1月1日時点において、その不動産の所有期間が5年を超えていること
- 譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
- マイホームの売却価格が住宅ローンの残高を下回ること
なお、売却した年の損益通算で控除しきれなかった場合は、翌年以後3年間は繰越控除が可能です。
ただし、3年間で控除しきれない金額に関しては、以降繰越ができませんので注意してください。
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームを買い換えたことによって譲渡損失が起きた場合に、その損失を損益通算・繰越控除することが可能です。
この特例を「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言います。
この特例の適用条件は以下の通りです。
- 不動産売却の前年および前々年に3,000万円の特別控除やマイホーム売却の軽減税率、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を受けていないこと
- 売却代金が1億円以下の場合
- 売主の居住期間が10年以上、かつ売却した年の1月1日において所有期間が10年を超える場合
- 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上、買い換える土地の面積が500平方メートル以下であること
- マイホームを売った年の前年から翌年までの3年間にマイホームを買い換えること
売却年に損益通算で控除しきれない場合は、以降3年間は繰越控除が可能です。
ただし、前述した通り3年目以降の繰り越しはありませんので、あらかじめ把握しておきましょう。
マンション売却の特別控除に関するよくある質問
最後にマンション売却の特別控除に関するよくある質問をまとめて紹介します。
初めてマンション売却をする方が困ってしまいがちなポイントをまとめましたので、ぜひチェックしてみてください。
利益が3,000万円以下の場合に確定申告は必要?
マンションを売却した場合は、利益に関わらず確定申告が必要になります。
3,000万円の特別控除を適用する際も、自動的に適用されるわけでなく、自分で確定申告として手続きをしなければなりません。
そのため、マンション売却後は必ず確定申告の手続きをするようにしましょう。
なお、確定申告に関して不安がある場合は、税理士もしくは税務署に直接相談してみてください。
店舗併用住宅の場合は適用できる?
店舗併用住宅の場合でも3,000万円特別控除は適用可能です。
ただし、適用されるのは住宅部分のみで、店舗として利用している部分には特例は適用されません。
とは言え、居住用のスペースが90%を超える場合は、例外的に全て適用されます。
なお、住宅部分と店舗部分の判定は床面積を元に判別されます。
確定申告をする際には、住宅の床面積が分かる書類が必要になりますので、あらかじめ用意しておくと良いでしょう。
相続したマンションを売却する場合は適用できる?
相続したマンションを売却する場合も3,000万円特別控除は適用可能です。
ただし、通常の3,000万円特別控除とは条件や必要書類が異なります。
詳しくは国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご覧ください。
建物を取り壊したあとに譲渡する場合は適用できる?
建物を取り壊したあとに土地のみを売却する場合も、3,000万円特別控除が適用可能です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
詳しくは、国税庁「マイホームを売ったときの特例」に記載がありますので、こちらをご覧ください。
共有名義の不動産を売却する場合は適用できる?
共有名義の不動産を売却する場合も、3,000万円特別控除は適用可能です。
ただし、共有している人全員に3,000万円が適用されるわけではなく、不動産の持ち分に合わせて3,000万円を配分する形式になります。
たとえば、不動産の持ち分が「Aさん3:Bさん1」の場合は、3,000万円の配分が「Aさん2,250万円:Bさん750万円」という形です。
なお、敷地は共有していて建物はどちらか一方が所持という場合は、建物の所有者のみ特例が適用されますので注意してください。
マンション売却の査定には「サテイエ」がおすすめ
特例を使って節税・控除をすることも重要ですが、それよりも重要なのがマンション自体を高額で売ることです。
そして、マンションを高く売る上で重要になるのが不動産会社選びになります。
自分のエリアやマンションの状態にあった不動産会社を選ぶのは非常に難しいですが、一括査定サイト「サテイエ」を利用することで、簡単に不動産会社を見つけることが可能です。
サテイエでは、自分のエリアや物件状況に合った不動産会社を最大6社まで紹介してもらえます。
自分で不動産会社を見つけるよりも大幅に簡単に効率よく見つけられますので、これからマンション売却を検討している方は、ぜひ利用してみてください。
まとめ:特別控除を利用してお得にマンションを売却しよう
この記事では、マンション売却で利用できる特別控除についてまとめました。
マンション売却で使える特例は大きく3つありますが、基本的には3,000万円特別控除を利用することになります。
3,000万円特別控除を利用することで、最大3,000万円まで利益を控除することが可能です。
ただし、適用条件などもあるため、しっかりと確認した上で利用することが重要になります。
また、損失が出た場合も損失用の特例が適用可能です。
自分に合った特例を利用して、お得にマンションを売却しましょう。
関連記事
-
マンション売却前にリフォームが不要な理由とは?クリーニングだけで十分売れる...
2023.01.21
-
マンション売却後の住み替え手順を解説|注意点や費用面も紹介
2023.06.26
-
マンション売却における代表的なトラブル事例と対処法について解説
2023.07.26
-
マンション売却で知っておきたい情報と注意点
2023.01.12
-
マンション売却にかかる税金を徹底解説
2023.01.12
-
マンション売却の諸費用はどれくらいかかる?安くする方法や税金を紹介
2023.05.23
-
マンション売却の所要期間について解説|長期化したときの対処法も紹介
2023.03.26
-
マンション売却時に発生する手数料について解説|安く抑えるコツも紹介
2023.03.26