2022.12.15
不動産売却時に注意したい11のポイント|実際のトラブルも交えて紹介
不動産を手放すことになったら、できるだけ高い価格で不動産を売却したいものです。
ただし不動産売却前には、トラブルを防ぐための注意点を必ず確認しておきましょう。
本記事では、不動産売却前後で知っておきたい注意点を説明します。
後半では相続・離婚・住宅ローン中と、パターン別に分けた注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産売却時の流れ
不動産売却の注意点を説明する前に、売却の流れをおさらいしましょう。
いつ、どのようなトラブルが起こりやすいかを知るためには、不動産売却の全体の流れを把握しておくことが大切です。
- 相場の確認
- 査定
- 不動産会社の選定
- 売却開始
- 内覧対応
- 購入申込に対して売買契約
- 物件引き渡し
- 確定申告
売却の流れについて、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
不動産会社を選定したあとは、引き渡しまでの手続きで売主がやることはほとんどありません。
そのため、不動産会社の対応によってうまく売却できるかが左右されます。
次項からは、ここで紹介した不動産売却の流れに沿った注意点を解説していきます。
不動産売却前に確認すべき注意点6つ
まずは、不動産売却を開始するまでの注意点を6つ紹介します。
不動産会社を決定する前に、ここで紹介する注意点を把握しておきましょう。
相場を確認してから不動産の売却価格を決める
売却予定の不動産の近隣では、どのくらいの相場で物件が売却されているかを調べないと、相場より安く売ってしまう可能性があります。
まずはご自身で相場調査し、その後不動産会社に査定を依頼しましょう。
相場調査では、周辺不動産の相場をインターネットで検索して調査し、売りたい不動産がいくらくらいで売却できるかを調べます。
マンション売却時の相場や注意点を、詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産会社への相談前にリフォームしない
不動産が古い場合、リフォームしてから売却する方が物件は高く売れると考えるかもしれません。
しかし先にリフォームしてしまうと、売却価格に対しリフォーム費用を回収できない可能性があるため、不動産会社に相談しましょう。
不動産売却にかかる費用を把握する
不動産売却には、仲介手数料や印紙代などの売却費用がかかります。
売却にかかる費用を把握した上で、売却価格を考えていきましょう。
売却にかかる費用は、主に以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 印紙代
- 譲渡所得税
仲介手数料は、宅地建物取引業法の第46条4項に「国土交通省が定めた報酬額を提示する」旨が記載されています。
国土交通省が定めている報酬額とは、以下の金額です。
不動産の売却価格 | 仲介手数料の割合 |
---|---|
200万円以下 | 5.5% |
200万円超〜400万円以下 | 4.4% |
400万円超 | 3.3% |
参照:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
印紙代は契約書の締結に必要なもので、国税庁により以下の金額に設定されています。
印紙は郵便局やコンビニで購入できます。
契約金額 | 印紙代(軽減税率) |
---|---|
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
参照:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
譲渡所得税は、売却する不動産の所有年数によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けて税額が決められます。
譲渡所得の種類 | 不動産の所有年数 | 所得税額の計算方法 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 所得金額×15% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得金額×30% |
参照:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
複数の不動産会社に査定を依頼する
一つの不動産会社だけで査定すると、その価格が正しいのかがわからないため、複数の不動産会社で査定することが大切です。
できれば不動産会社3社以上で見積もりを取り、相場観を掴むとよいでしょう。
一括査定サイトを利用すると、同時に複数社に査定を依頼できます。
不動産会社の選定は営業担当者を重視する
査定額の高い不動産会社を選びたくなりますが、実際には査定額で売れるとは限りません。
査定額よりも、相性の良い担当者がいる不動産会社を選ぶのがおすすめです。
不動産の査定額が高いからといって、相性の悪い担当者に依頼してしまった場合、なかなか売却につながらない可能性につながります。
査定を依頼する際、不動産会社の雰囲気や営業担当者の熱意なども確認しましょう。
囲い込みする不動産会社は選ばない
不動産会社を選ぶときは、囲い込みに注意しましょう。
囲い込みとは、不動産の売主から依頼された物件を他社に紹介せず、自社の顧客の中で買ってくれる人を探そうとする手法です。
売却と購入を自社で行うことで、利益を独り占めしようとする意図があります。
依頼した不動産会社による囲い込みがあると、なかなか買主が見つからないという事態に陥ってしまう可能性があります。
囲い込みに注意し、不動産を広く公開してくれる不動産会社を選びましょう。
マンション売却時の不動産会社の選び方を、詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
マンション売却時の不動産会社の正しい選び方を8つのポイントで解説
不動産売却時に確認すべき注意点3つ
不動産の売却活動中にも、注意すべき点が3つあります。
それぞれの注意点に対する予防策も紹介します。
内覧の際は物件を綺麗にしておく
売却予定の不動産に内覧依頼があったときは、物件をできるだけ綺麗にしておきましょう。
特に、キッチンやお風呂、洗面所、トイレなどの水回りはしっかりと掃除して、清潔にしておくことで購入希望者を増やせます。
汚れがひどく、自分では掃除できない場合はハウスクリーニングに依頼するとよいでしょう。
また、物件内にまだ先住者の荷物が置いてある場合、家具や物を減らすことで綺麗に見えることもあります。
必要のない物は不用品回収者に依頼し、荷物を減らしておくのがおすすめです。
不動産の欠陥やデメリットも伝える
内覧者からの質問には正直に答え、物件のデメリットになる部分にも触れましょう。
売却予定の不動産の良い点だけを伝えたほうが、売却しやすくなるように思うかもしれません。
しかし、欠陥やデメリットを隠すことは、民法で定められている契約不適合責任に問われる可能性があります。
また、デメリットを隠すことで、のちのちトラブルに発展する可能性も否定できません。
不動産の良い点だけでなく、欠陥やデメリットも伝えることで、内覧者の信頼を得られます。
安易に不動産価値を値下げしない
売却予定の不動産がなかなか売れないと、焦って大幅に値下げしたくなるかもしれません。
しかし不動産売却に詳しくない場合、どのタイミングでいくら値下げするかの判断は難しいものです。値下げを検討するときは担当者に相談し、ベストなタイミングと値下げ額を教えてもらいましょう。
また、「いくらまでなら値下げしてもよい」という価格を事前に決めておくことも大切です。
売れないからといって際限なく値下げしてしまう結果になりかねません。
不動産売却後に確認すべき注意点2つ
無事、不動産の売却が決まったら、必要書類を準備する必要があります。
また、不動産売却の翌年の確定申告で税金を納付しなくてはなりません。
ここでは、不動産売却後に確認したい注意点を2つ紹介します。
書類は余裕を持って準備する
不動産の売買契約時には、複数の書類が必要になります。
それぞれ取得場所が異なったり、取得に時間がかかったりすることがあるため、契約をスムーズに進めるためにも余裕を持って準備しましょう。
必要になる書類の種類は、主に以下のとおりです。
場合によっては、これ以外の書類が必要になるケースもあるため、不動産会社によく確認して準備しましょう。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
身分証明書 | ー |
登記済権利書または登記識別情報 | ー(再交付は法務局) |
登記簿謄本 | 法務局 |
印鑑証明書 | 各自治体 |
固定資産税納税通知書 | ー(毎年4〜6月に発行) |
売却した翌年に確定申告する
所得税法によると、1月1日〜12月31日の1年間に生じた所得について、翌年2月16日〜3月15日の期間中に確定申告して所得税を納付しなくてはなりません。
不動産売却によって得られた所得に対しても、確定申告による所得税納付の義務があります。
売却価格が購入時の価格より低かったとしても、確定申告は必要です。
売却益がマイナスになる場合は、確定申告で所得税の還付を受けることも可能ですので、必ず確定申告は行いましょう。
期間中に確定申告し、所得税を納税しない場合、延滞税など余計な費用が発生する可能性があります。
それでも納付しない場合は、脱税と判断されてペナルティーが科せられる恐れもあるため、不動産売却の翌年の確定申告は忘れず行ってください。
【パターン別】不動産売却の注意点とよくあるトラブル
ここまで、不動産売却に関する一般的な注意点を紹介してきました。
しかし、住宅ローンの支払いが終わっていないケースや、離婚や相続で取得した不動産売却をするケースなどは前述の注意点以外にも注意すべきことがあります。
相続で取得した不動産を売る場合の注意点
相続で不動産を取得する場合、まずは不動産の名義変更が必要です。
その後の不動産売却の流れは一般的なパターンと同じです。
また、不動産を相続したときは相続税が必要になることに注意しましょう。
相続税は申告税となるため、不動産所有者が亡くなったことを知った翌日から10か月以内に、故人の住所地を管轄する税務署に申告する必要があります。
相続税には税制の優遇措置も用意されているため、自分が利用できる措置はないか確認しましょう。
相続税の優遇措置 | 対象者 | 概要 |
---|---|---|
配偶者の税額の軽減 | 被相続人の配偶者 | 1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額 |
未成年者の税額控除 | 未成年者の相続人 | 満18歳になるまでの年数1年につき10万円 |
障害者の税額控除 | 障害者の相続人 | 満85歳になるまでの年数1年につき10万円 |
相次相続控除 | 10年以内に2回相続がある場合 | 2回目の相続額から一定額が差し引かれる |
居住者に係る外国税額控除 | 海外で相続税を支払った相続人 | 外国所得税額をその年の所得税から差し引く |
参照:国税庁「タックスアンサー」
離婚による不動産売却の注意点
離婚によって今まで住んでいた家を売りたい場合、まずは財産分与が必要となります。
婚姻期間中に購入した不動産であれば、双方が相手方に請求できます。
不動産の名義人は関係ありません。
不動産を売却し現金化して分ける場合、トラブル防止のため離婚協議書を作り、公正証書化しておくと安心です。
離婚による不動産売却の流れは、以下のとおりです。
- 不動産名義の確認
- 不動産の相場を調べる
- 不動産を売却する
- 売却価格を二人で分ける
もし、住宅ローンの支払いが終わっていない不動産を財産分与する際は、次項を参考にしてみてください。
ローン返済中の不動産を売るときの注意点
住宅ローンが残っている不動産を売りたい場合は、まずローン残高を確認します。
その後、不動産の査定をして、残っているローンを完済できるかを判断しましょう。
売却価格でローンを完済できる場合は、そのまま進めて問題ありません。
離婚による財産分与は、売却価格とローン残高の差額を二人で分けることになります。
万が一、売却価格がローン残高に満たない場合をオーバーローンと呼びます。
オーバーローンになってしまう場合は、自己資金でローン完済を目指さなくてはなりません。
離婚による財産分与を考えているケースでは、オーバーローン分は他の財産で補う必要があります。
不動産売却で起こるトラブルについて、詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産売却で起こる代表的なトラブルを紹介|対処法や回避策も解説
不動産売却に関する注意点のまとめ
不動産売却の前に確認すべき注意点は、相場の確認をすることや相談前にリフォームしないこと、不動産売却にかかる費用を把握しておくことです。
特に相場の確認は、査定による不動産会社選定にも関わる重要なポイントですので、しっかり確認しておきましょう。
また、複数の査定を取ること、相性の良い担当者に依頼すること、囲い込みのない不動産会社を選ぶことも注意点です。
特に囲い込みされているのに気付かず、物件がなかなか売れない可能性もあります。
失礼だとは思わず、不動産会社に囲い込みがないことを直接確認すると良いでしょう。
不動産売却時の注意点は、内覧の際は物件を掃除し、デメリットもしっかり伝えることです。
不動産売却後は、確定申告が必要になることを忘れないでください。
まずは相場を確認し、複数の不動産会社で査定してもらいましょう。
サテイエでは、一度情報を入力するだけで複数社に査定してもらえる一括査定が可能です。ぜひご利用ください。
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