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不動産売却時の減価償却費の計算方法 | 事業用とそれ以外の場合にわけて説明

2022.12.25

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不動産売却時の税金を把握するため、減価償却費の算出方法を知りたいというお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。事業用に利用している場合とそれ以外での違いや中古で購入している事例では耐用年数まで考える必要があり、混乱されている方も多いでしょう。

そこで本記事では、不動産を売却する時点での減価償却費を算出する方法や用途別・中古で所有した場合の算出方法について具体例を交えながら解説します。

ぜひこの記事を参考に、減価償却の仕組みや計算方法を理解し、不動産を売るときの減価償却費を算出しましょう。

不動産売却時の減価償却とは

不動産売却時における減価償却費を算出するためには、まず減価償却の定義や考え方を理解しておく必要があります。

減価償却とは、建屋などの取得にかかった費用を、定められた方法で各年分の必要経費として分割することです。不動産を売却する際の減価償却費は、購入してから手放すまでの期間分を足し合わせたものを利用します。

なお、土地は経年で価値が減少しないと見なされているため、減価償却資産には該当しません。そのため、手に入れたときに要した費用がそのまま取得費になります。

減価償却費は事業用とそれ以外で計算の方法が異なる点に注意が必要です。また、所有を開始した時期によって適用される算出方式が異なる点にも注意してください。

各年の減価償却費を算出する方法

不動産の償却方法には定額法と定率法があり、詳細な算定方式は減価償却資産を購入した時期により異なります。

平成19年3月31日以前から保有していた場合は「旧定額法」「旧定率法」を選択し、それよりも後から所有し始めた場合は「定額法」「定率法」を選択します。

ただし、平成10年4月1日以降に購入した建物に適用されるのは、「旧定額法」「定額法」のみです。

なお、平成28年4月1日以降に所有し始めた建物に付属した設備と構築物の償却費を算出するのに用いる方法は定額法と定められています。

定額法

定額法とは、建物の耐用年数ごとに定められた償却率で毎年均等に減価償却費を積み上げていく方法です。建物の場合、平成10年4月1日よりも後に取得したものは定額法・旧定額法のいずれかを使用します。

算出に使う式は以下のとおりです。

各年の減価償却費(定額法) = 取得価額 × 定額法の償却率

ただし、平成19年3月31日以前に所有を開始した建物には、さらに0.9をかける必要があり、以下の式になります。

各年の減価償却費(旧定額法) = 取得価額 × 0.9 × 旧定額法の償却率

つまり、以下の表のように使い分ける必要があります。

不動産を所有した時期使用する定額法の種類
平成19年3月31日以前旧定額法
平成19年4月1日以降定額法

参考:減価償却資産の償却率等表・国税庁

取得価額が335万円で耐用年数23年の場合、各年の償却額は以下の表のような結果になります。

旧定額法定額法
取得価額335万円335万円
取得価額の5%16万7,500円16万7,500円
耐用年数23年23年
償却率0.0440.044
1〜22年目13万2,660円14万7,400円
23年目13万2,660円10万7,199円
24年目13万2,660円0円
25〜28年目3万3,232円0円
29年目3万3,231円0円
30年目0円0円

参考:No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)・国税庁
参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)・国税庁

旧定額法の償却費が25年目以降に変わっているのは、取得価額の95%以上を償却し終わった年の翌年から以下の式が適用されるからです。

償却額 = (期首帳簿価額−1円) ÷ 5

期首帳簿価額とは、取得価額から累積の償却費を差し引いた残りの金額のことです。上の表の旧定額法だと、24年経過時点の帳簿価額を算出する式は以下のとおりです。

24年経過時点の帳簿価額 = 3,000,000円 − (167,500円×24年) = 166,160円

24年の償却が終わった時点で期首帳簿価は、以下のように取得価額である335万円の5%よりも小さくなります。

取得価額の5% = 167,500円 > 166,160円(24年償却時点の残債)

したがって、25年目以降の償却額は以下の式を用います。

償却額 = (166,160−1) ÷ 5 = 33,231.8円

小数点以下1桁目を四捨五入して求めた33,232円が残りの期間で差し引く償却額です。期首帳簿額は1円になるように調整されるため、最後の年の減価償却費は33,231円となります。

このように、旧定額法と比較して定額法の方が早く償却が終わるような仕組みになっています。

定率法

定率法とは、減価償却費が経年で減少していくという考え方で算出する方法です。以下の式が適用されます。

各年の減価償却費 = 期首帳簿価額(償却しきれていない残りの金額) × 定率法の償却率

定率法における償却率は、減価償却資産の所有を開始した年月ごとに異なる数値が指定されています。以下の表を参考にしてください。

減価償却資産を所有した時期(建物以外)利用する方法
平成19年3月31以前旧定率法
平成19年4月1日から平成24年3月31日250%定率法
平成24年4月1日以降200%定率法

参考:減価償却資産の償却率等表・国税庁

取得価額が363万円・耐用年数14年の場合、各定率法で算出される毎年の償却額は以下のとおりです。

旧定率法250%定率法200%定率法
取得価額363万円363万円363万円
耐用年数14年14年14年
償却率0.1520.1790.143
改定償却率0.2000.167
保証率0.033890.04854
償却保証額12万3,021円17万6,200円
1年目55万1,760円64万9,770円51万9,090円
2〜18年目期首帳簿額×0.152期首帳簿額×0.179期首帳簿額×0.143
19年目同上2万850円同上
20年目3万1,656円2万850円同上
21〜23年目3万1,656円2万850円2万7,685円
24年目3万1,656円1円2万7,685円
25年目0円0円2万7,685円
26年目0円0円2万7,351円
27年目0円0円0円

参考:No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)・国税庁
参考:No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)・国税庁

平成19年4月1日以前に所有を開始した不動産の場合、取得価額の95%以下まで償却した後の式は以下のとおりです。

償却額 = (期首帳簿価額−1円) ÷ 5

取得価額が363万円・耐用年数14年で計算した場合、取得価額の95%以上を償却するのは19年目で、残債は158,281円です。したがって、20年目以降の減価償却費は以下のようになります。

旧定率法の償却額 = (158,281円 − 1円) ÷ 5 = 31,656円

なお、平成19年4月1日以降に所有を開始した不動産で、取得価額の残債が償却保証額に満たなくなった年以降は、次の算定式を使います。

各年の減価償却費 = 改定取得価額(取得価額−減価償却額の合計) × 改定償却率

363万円で取得した耐用年数14年の不動産の場合、250%定率法・200%定率法に用いる式は以下のとおりです。

250%定率法の各年の減価償却費 = (3,630,000円 − 3,525,748円) × 0.200 = 20,850円

200%定率法の各年の減価償却費 = (3,630,000円 − 3,464,223円) × 0.167 = 27,685円

いずれのやり方も最終年は1円が残るように減価償却費が調整されます。

旧定率法から250%定率法に改定されたことで償却年数が短くなっていましたが、その後償却するペースが緩やかになるように250%定率法から200%定率法へと緩和されています。

ただし、建物の場合はこれまで説明してきたものと取得期間・算定方式の関係性が異なる点に注意してください。次項で詳しく解説していきます。

建物を事業用に使用していた場合の減価償却算出方法

建屋を賃貸として運用しているなど、事業目的で利用していた場合に用いる式は以下のとおりです。

減価償却費 = 各年の減価償却費 × (事業用途で利用していた年数)

利用していた年数の端数は、6か月以上で切り上げ・未満で切り捨てて算出します。

各年の減価償却費の算出方法は所有を開始したタイミングで以下のように変わります。

建物を取得した時期利用する方法
平成10年3月31日より前旧定額法または旧定率法
平成10年4月1日から平成19年3月31日旧定額法
平成19年4月1日より後定額法

参考:1 減価償却の方法・国税庁

ただし、平成10年3月31日以前に所有を開始した建物で、減価償却費の算出に旧定率法を用いているのであれば、毎年の償却額が残債の減少とともに少なくなっていきます。そのため、各年の償却費を個別に算出していく必要があります。

建物が事業以外に使われていた場合の減価償却費計算方法

建物が事業に利用されていなかった場合に用いる算定式は以下のとおりです。

減価償却費 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

0.9をかける分、事業以外に使われている建物の方が税制上で優遇されています。

なお、償却率は建屋の区分で指定されている点に注意しましょう。

区分償却率
木造0.031
木骨モルタル0.034
(鉄筋)コンクリート造0.015
金属造その1(軽量鉄骨のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下)0.036
金属造その2(軽量鉄骨のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下)0.025

出典:No.3261 建物の取得費の計算・国税庁

厳密には建屋の耐用年数を1.5倍して、端数を切り捨てて求めた数字に対応する旧定額法の償却率を引用します。しかし、建物の構造が同じであれば毎回同じ数字になるため、計算を省いても問題ありません。

中古で取得した不動産を売却するときの減価償却算出方法

すでに使われていた不動産を購入していた場合、状況によって算出に用いる償却率が変わります。

事業用途の場合とそれ以外で算出する方法が異なるため、それぞれ詳しく解説します。

事業に使用していた場合

事業用途に使っていた不動産の場合、所有した時点で法定耐用年数を超えているか否かで耐用年数の求め方が変わります。

中古不動産の築年数耐用年数の計算式
法定耐用年数を超えている法定耐用年数 × 0.2
法定耐用年数の一部だけ経過している法定耐用年数 − 経過年数 + (経過年数×0.2)

参考:No.5404 中古資産の耐用年数

たとえば、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションの場合、法定耐用年数は47年です。

築年数が50年のマンションを購入した場合、耐用年数は以下のように算出されます。

耐用年数 = 47(法定耐用年数) × 0.2 = 9

一方、築20年の鉄骨鉄筋コンクリート造マンションを2022年1月に購入した場合、耐用年数は以下のように算出されます。

耐用年数 = 47(法定耐用年数) − 5(経過年数) + (10×0.2) = 43

マンションは建屋に該当するため、減価償却費の算出方法は以下の期間ごとに異なります。

建物を所有開始した時期利用する方法
平成10年3月31以前旧定額法または旧定率法
平成10年4月1日から平成19年3月31日旧定額法
平成19年4月1日以降定額法

参考:1 減価償却の方法・国税庁

求めた耐用年数と対応する計算方法から償却率を選択し、減価償却費を算出しましょう。

事業以外に使用していた場合

事業用途以外で使っていた物件の場合、耐用年数は建屋の構造で一定に定められています。

つまり、減価償却費の算出に使う償却率は建造物の構造で決まります。

区分償却率
木造0.031
木骨モルタル0.034
(鉄筋)コンクリート造0.015
金属造その1(軽量鉄骨のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下)0.036
金属造その2(軽量鉄骨のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下)0.025

参考:No.3261 建物の取得費の計算・国税庁

これらの償却率を使い、居住する目的などで使用していた建屋の減価償却費を求めるときに用いる式は以下のとおりです。

減価償却費 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

たとえば、木造の一軒家を10年前に1,000万円で購入した場合、減価償却費は以下の式で求められます。

減価償却費 = 1,000万円(建物の取得価額) × 0.9 × 0.031(償却費) × 10年 = 279万円

木造の建物で償却率0.031に相当する耐用年数は33年です。償却ペースがゆるやかになるよう、中古の状態で購入した物件でも一律に適用されます。

不動産売却時の減価償却費は正しい条件を選んで計算しよう

不動産における減価償却は、建屋など年月の経過により減価する資産の時価を算出するために適用されます。

土地は経年で価値が減らないと見なされているため、減価償却費を算出する必要はありません。

不動産売却時の減価償却費は、以下のポイントを明確にしてから算出しましょう。

  • 不動産の用途が事業用かそれ以外か
  • 不動産を所有し始めた時期
  • 不動産の購入費用
  • 不動産は建物に該当するか
  • 所有している建物の構造

ぜひこの記事を参考に、減価償却の算出方法を把握し、不動産売却時の減価償却費を算出しましょう。

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