中古アパートの一棟売りは収支と建物状態で選ぶ|購入前に見落としやすい論点を整理しよう!

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基礎知識

中古アパートの一棟売りは、価格と利回りだけで判断すると「想定より残らない」失敗が起きやすい投資です。

一方で、収支の前提を整え、建物と契約のリスクを潰していけば、長期で安定しやすいのも一棟の強みです。

本記事では、購入前に確認すべき論点を、収支・物件調査・融資・運用の順に整理します。

数字は「何を根拠に置いたか」を明確にし、検討のブレを減らすことを目的にします。

  1. 中古アパートの一棟売りは収支と建物状態で選ぶ
    1. 表面利回りは比較の入口にすぎない
    2. 空室と家賃下落を前提に置く
    3. 修繕履歴が読めない物件は危険度が上がる
    4. 立地は「賃貸需要の質」で判断する
    5. 法規制と用途のズレは収益を削る
    6. 管理の設計は「手間」ではなく「損失」を減らす
    7. 出口戦略が弱い物件は融資も厳しくなる
  2. 収支シミュレーションで見るべき数字
    1. 家賃収入はレントロールで裏取りする
    2. 支出は「固定」「変動」「突発」に分ける
    3. 返済後キャッシュフローで比較する
    4. バッファは「起こる前提」で確保する
  3. 物件調査で見落としやすいポイント
    1. レントロールは「数字の意味」を読む
    2. 建物の劣化は「小さいサイン」から拾う
    3. 設備と法定点検の履歴でコストを読む
    4. 権利関係と境界の曖昧さは後で効く
  4. 融資と契約でつまずかない進め方
    1. 融資審査は「属性」と「物件力」の掛け算
    2. 重要事項説明は「制限」と「負担」を探す
    3. 契約から決済までの段取りを固定する
    4. 税金と諸費用は「率」ではなく実額で積む
  5. 運用開始後のリスクを減らす管理体制
    1. 募集は「賃料」より「条件設計」が効く
    2. サブリースは仕組みと規制を理解して選ぶ
    3. 滞納と入居者トラブルは初動で差がつく
    4. 長期保全計画で「儲かった年」を守る
  6. この順で準備すれば購入判断がぶれにくい

中古アパートの一棟売りは収支と建物状態で選ぶ

ビーズクッションと収納棚がある明るく可愛いワークスペース

中古アパートの一棟売りは、表面利回りよりも「返済後に残るお金」と「修繕で消えるお金」を先に押さえるのが結論です。

同じ家賃でも、空室・修繕・管理・保険・税金で手残りは大きく変わります。

入口の買値よりも、購入時点で読めるリスクを減らし、出口まで含めた整合性を取ることが重要です。

表面利回りは比較の入口にすぎない

表面利回りは「満室想定の家賃収入÷購入価格」で計算されるため、空室や経費を含まず、実態より良く見えがちです。

中古アパートの一棟売りでは、管理費や修繕、保険、固定資産税、仲介手数料、ローン手数料まで含めて実質で比較します。

同じ利回りでも、修繕の山が近い物件は、数年でキャッシュフローが逆転することがあります。

見る指標 表面利回り
含まれない要素 空室 経費 修繕 税金
次に計算する 実質利回り 返済後CF
判断の軸 手残りの再現性

空室と家賃下落を前提に置く

満室想定の数字をそのまま使うと、入口の収支が過大評価になりやすいです。

周辺の賃料相場と供給状況を見て、募集賃料が下がっても回る設計かを確認します。

空室率は「ゼロを期待する」のではなく「一定の空室がある」前提で置くほうが実務的です。

  • 周辺家賃は築年と間取りで比較
  • 競合物件の募集数を観察
  • 退去時期の偏りを想定
  • 賃料を下げる前の改善策を用意

修繕履歴が読めない物件は危険度が上がる

中古は「安い理由」が必ずあり、その多くが建物の劣化や修繕未実施に紐づきます。

外壁・屋根・共用部・給排水・電気の更新時期が不明だと、購入直後に大きな出費が来やすいです。

修繕履歴が揃っている物件ほど、収支のブレが小さく、融資説明もしやすくなります。

確認書類 修繕見積書 工事契約書 請求書
見る箇所 外壁 屋根 階段廊下 給排水
要注意サイン 雨染み ひび割れ 漏水履歴
判断 当面の大規模修繕が必要か

立地は「賃貸需要の質」で判断する

駅距離だけでなく、どんな入居者が長く住むエリアかを見ます。

主要ターゲットが単身かファミリーかで、必要な設備や募集戦略が変わります。

周辺に新築供給が増えるエリアでは、築古は賃料維持が難しくなりやすいです。

  • 主要な雇用地への通勤動線
  • 大学 病院 工場の有無
  • 生活利便施設の距離
  • 将来の人口動態の方向感

法規制と用途のズレは収益を削る

一棟は建物規模が大きい分、用途地域や建築基準、接道、再建築の可否が収益性に直結します。

違法増築や用途変更が疑われる場合、是正費用や融資条件の悪化につながります。

検討段階で役所調査や重要事項説明の記載を読み込み、前提を崩さないことが大切です。

要確認 用途地域 建ぺい率 容積率
接道 再建築可否 セットバック
違反リスク 増築 用途変更 消防
対策 役所調査と現地照合

管理の設計は「手間」ではなく「損失」を減らす

管理会社の質は、空室期間・原状回復費・クレーム対応のすべてに影響します。

自主管理でコストを下げても、対応遅れで退去や滞納が増えれば、結果的に損をします。

契約内容と報告体制を事前に決め、運用開始後に迷わない形に整えます。

  • 月次報告の粒度と頻度
  • 募集条件変更の判断基準
  • 修繕の承認フロー
  • 滞納時の督促手順

出口戦略が弱い物件は融資も厳しくなる

中古アパートの一棟売りは、買った瞬間に出口の難易度が決まる部分があります。

売却先が投資家に限られる物件は、金利上昇や相場悪化の局面で売りづらくなります。

将来の売却か建替えか、保有継続かを想定し、立地と建物条件が噛み合うか確認します。

出口の選択肢 保有 売却 建替え
弱くなりやすい 郊外 需要薄 違反疑い
強くなりやすい 需要が厚い 収支が安定
確認 売却想定価格の根拠

収支シミュレーションで見るべき数字

木目とブラックが印象的なスタイリッシュモダンなオープンリビング

収支は、現状の家賃収入を信じるのではなく「保守的な前提でも赤字にならないか」で組み立てます。

一棟は支出項目が多いため、抜け漏れがあると意思決定が簡単にズレます。

数字の作り方を統一し、物件ごとの比較ができる状態にします。

家賃収入はレントロールで裏取りする

満室想定年収よりも、現況の契約賃料と入居状況を示すレントロールが最重要です。

入居開始日や更新状況が分かれば、退去が重なる時期や賃料改定の余地も読めます。

現況と募集賃料の差を埋める計画がない場合、想定年収は保守的に置くべきです。

確認項目 号室 賃料 共益費 入居日
見る観点 空室の偏り 退去リスク
要注意 高賃料が一部に集中
判断 平均賃料の再現性

支出は「固定」「変動」「突発」に分ける

支出を一括で率にすると、実際のキャッシュの動きが見えなくなります。

固定費は管理委託や保険、変動費は原状回復や広告費、突発は設備故障や漏水のように整理します。

分類しておくと、改善策が打ち手として見え、運用の意思決定が速くなります。

  • 固定費は毎月の最低ライン
  • 変動費は空室と連動しやすい
  • 突発は年平均ではなく上振れを想定
  • 修繕は積立を収支に組み込む

返済後キャッシュフローで比較する

融資を使う場合、実質利回りが高くても返済額が重いと手残りが小さくなります。

金利と返済期間を複数パターンで置き、返済後に残る金額が生活と事業に合うか確認します。

返済後がギリギリの物件は、修繕や空室で一気に赤字化しやすいです。

比較軸 返済後の年間手残り
変数 金利 期間 自己資金
確認 金利上昇時の耐性
判断 修繕後も黒字か

バッファは「起こる前提」で確保する

一棟のリスクは、毎月の小さな赤字よりも、ある月にまとまって発生する出費です。

広告費や原状回復、設備交換のような出費は、ゼロを期待せず、あらかじめ枠を取ります。

バッファがあると、賃料を下げ過ぎず、入居付けの質も保ちやすくなります。

  • 空室が続く月の固定費
  • 給湯器 エアコンの交換
  • 漏水や電気系トラブル
  • 想定外の追加工事

物件調査で見落としやすいポイント

白を基調にしたナチュラルでミニマルなダイニングキッチン

中古アパートの一棟売りは、現地を見たときに「綺麗に見えるか」より「見えない部分が危ないか」で判断します。

書類と現地が一致しない箇所は、将来の費用や融資条件に影響する可能性があります。

調査の観点を固定し、物件ごとの比較ができる形にします。

レントロールは「数字の意味」を読む

レントロールは一覧表ですが、読むべきは賃料水準だけではありません。

短期入居が多い物件は、原状回復や募集費用が積み上がりやすいです。

保証会社の利用状況や滞納履歴の有無も、運用リスクの推定に役立ちます。

注目 入居期間のばらつき
注目 共益費込みか別か
注目 法人契約の比率
判断 募集費が膨らみやすいか

建物の劣化は「小さいサイン」から拾う

雨染みやコーキングの切れ、鉄部の錆は、将来の大きな修繕につながる初期サインです。

外観だけでなく、共用灯やポスト、階段の踏板など、日常的に触れる場所の痛み方を見ます。

見た目の清掃状況は、過去の管理品質の推定にも役立ちます。

  • 雨樋や庇の歪み
  • 外壁のひび割れと補修痕
  • 共用部の臭いと換気
  • ゴミ置場の運用状態

設備と法定点検の履歴でコストを読む

給排水や電気は、目に見えない場所で劣化が進み、故障時の影響が大きいです。

受水槽やポンプ、消防設備の点検記録が揃っていると、突発のリスクを抑えやすくなります。

点検を実施していない期間が長い場合、購入後に是正費用が出る可能性があります。

確認 給排水管 漏水履歴
確認 消防設備 点検報告
確認 電気容量と分電盤
判断 更新の山が近いか

権利関係と境界の曖昧さは後で効く

一棟は土地の比重が大きく、境界の不明確さは将来の売却や建替えに影響します。

越境や通行の取り決めがある場合、重要事項説明での記載を確認し、条件を飲めるか判断します。

買ってから揉めると時間と費用がかかるため、曖昧さは事前に潰すほうが合理的です。

  • 境界標の有無と測量図
  • 越境の有無と覚書
  • 私道負担と通行掘削承諾
  • 地役権の設定の有無

融資と契約でつまずかない進め方

木製ベンチと観葉植物があるシンプルなダイニングスペース

中古アパートの一棟売りは、物件が良くても融資と契約で失速するケースがあります。

銀行が見たい資料の形を先に揃え、審査と契約の手戻りを減らします。

スケジュールと必要書類を先に把握すると、交渉の余地も生まれます。

融資審査は「属性」と「物件力」の掛け算

金融機関は申込者の返済能力と、物件自体の安定性を合わせて判断します。

家賃の根拠や修繕計画が弱いと、金利や自己資金条件で不利になりやすいです。

収支の根拠を資料化し、数字の筋を通すことが最も効率的な対策です。

  • レントロールと賃料相場資料
  • 修繕履歴と今後の修繕見立て
  • 管理委託条件と運用方針
  • 出口想定と売却根拠

重要事項説明は「制限」と「負担」を探す

重要事項説明は長いですが、読むべきは「できないこと」と「追加でかかること」です。

再建築や増築、用途、越境、管理条件の縛りは、将来の選択肢を狭めます。

疑問点は契約前に書面で回答をもらい、後で言った言わないを避けます。

重点 再建築 接道 用途地域
重点 越境 私道 管理条件
重点 修繕履歴と瑕疵の扱い
対策 疑義は書面回答で保全

契約から決済までの段取りを固定する

一棟は関係者が多く、段取りが曖昧だと融資実行や引渡しが遅れます。

契約条件は、引渡し状態、付帯設備、残置物、賃貸借の承継、精算の範囲を明確にします。

期日が近づいて慌てないよう、必要な手続きをチェックリスト化して進めます。

  • 売買契約と融資申込の順序
  • 契約不適合責任の範囲
  • 引渡し条件と原状の確認
  • 決済日までの提出書類

税金と諸費用は「率」ではなく実額で積む

購入時の諸費用は、物件価格に対する割合で雑に置くと、意思決定が簡単にズレます。

たとえば登録免許税は登記の種類で税率が異なり、土地の売買による所有権移転登記は原則2.0%で一定期間の軽減税率が示されています。

不動産取得税も、住宅取得に関する税率の特例などがあり、適用期限や条件で変わるため、該当可否を確認して見積もります。

費用項目 登記費用 登録免許税
根拠 国税庁 登録免許税の税額表
費用項目 不動産取得税
根拠 国土交通省 不動産取得税の特例措置

運用開始後のリスクを減らす管理体制

北欧テイスト漂うナチュラルモダンな癒しのリビング空間

購入後の成否は、運用を始めた瞬間に決まるのではなく、最初の一年で差がつきます。

空室対策と修繕判断のルールを決め、属人的な運用から脱却します。

トラブルの芽を早期に摘む仕組みを作ると、収支が安定しやすくなります。

募集は「賃料」より「条件設計」が効く

入居付けが弱いときに賃料を下げ続けると、収益は戻りにくくなります。

まずは募集条件と見せ方を整え、ターゲットに刺さる情報に組み替えます。

設備投資も、回収の見込みと優先順位を決めてから実行します。

  • 募集写真と間取りの情報量
  • 初期費用とフリーレントの設計
  • ペット可などの条件調整
  • 設備は優先順位で投資

サブリースは仕組みと規制を理解して選ぶ

サブリースは、空室不安を減らす一方で、賃料見直しや契約条件の理解不足がトラブルになりやすいです。

国土交通省はサブリース契約の注意喚起を行っており、賃貸住宅管理業法に基づく規制や説明義務の枠組みも整理されています。

提案を鵜呑みにせず、賃料改定条件と解除条件を条文で確認し、収支の前提に反映します。

確認 賃料改定の条件
確認 中途解約と違約の扱い
公的情報 国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータル
注意喚起 国土交通省 報道発表資料

滞納と入居者トラブルは初動で差がつく

滞納は、発生してからの対応より、発生させない審査とルールが重要です。

保証会社の利用、契約書の整備、管理会社の督促フローの確認で、多くは抑えられます。

クレーム対応も、記録と連絡ルートを固定すると、感情的な消耗が減ります。

  • 保証会社の利用条件
  • 督促のタイミング基準
  • 連絡履歴の記録ルール
  • 近隣クレームの一次窓口

長期保全計画で「儲かった年」を守る

中古アパートの一棟売りは、利益が出た年ほど、将来の修繕に備える姿勢が重要です。

短期の手残りを最大化しようとすると、数年後の大修繕で資金繰りが崩れやすくなります。

更新周期の目安を並べ、積立と実行のルールを決めておくと、判断がブレにくくなります。

対象 外壁 屋根 鉄部
対象 給排水 電気 消防
運用 積立額の基準を固定
狙い 突発支出の平準化

この順で準備すれば購入判断がぶれにくい

キャメル色ソファと個性的なインテリアが魅力の北欧風リビング

中古アパートの一棟売りは、利回りの数字を先に信じるのではなく、数字の前提を先に整えることが近道です。

レントロールと賃料相場で収入の現実を押さえ、支出を固定と変動と突発に分けて積み上げます。

次に、修繕履歴と現地の劣化サインで、数年以内に来る出費の山を見つけます。

並行して、重要事項説明で制限と負担を拾い、登記や取得税などの諸費用を実額で見積もります。

運用は管理体制で差がつくため、募集・修繕・滞納対応のルールを購入前に決めておくと安心です。

最後に出口まで含めて整合性が取れた物件だけを残すと、判断がシンプルになり、買ってからの後悔が減ります。

この手順を守れば、物件を増やす局面でも比較軸が統一され、意思決定の質が安定します。