固定資産税評価額からマンションの売却相場を概算する|ブレやすいポイントも押さえて判断しよう!

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相場

マンションを売るときに、「固定資産税評価額が分かるなら売却相場も分かるのでは」と考える人は多いです。

結論として、固定資産税評価額だけで“正解の価格”は出せませんが、相場の当たりを付ける用途には十分使えます。

ただしマンションは「建物」と「土地持分」が合体した不動産なので、評価額の読み方を間違えるとブレが大きくなります。

この記事は、固定資産税評価額から売却相場を逆算する考え方を、計算の筋道と注意点に分けて整理します。

最後に、概算値を「実際に売れる価格」に近づけるための確認手順もまとめます。

  1. 固定資産税評価額からマンションの売却相場を概算する
    1. 固定資産税評価額だけで価格が決まらない理由
    2. まずは「土地持分」と「建物」を分けて見る
    3. ざっくりの計算イメージを持つ
    4. 倍率は「1本」ではなく「幅」で見る
    5. 使う評価額は「今年の明細」かを確認する
    6. 概算のゴールは「売れる価格の候補」を作ること
  2. 固定資産税評価額を相場推定に使う前提を整理する
    1. 固定資産税評価額は「適正な時価」を税のために登録する
    2. 評価替えは原則3年ごとで、途中で修正されることもある
    3. 土地は「公示価格の7割を目途」という考え方が起点になる
    4. 実勢価格を確認できる一次情報がある
  3. マンションの土地持分を計算して地価を当てはめる
    1. 課税明細書で「土地」と「家屋」の評価額を確認する
    2. 敷地権(持分割合)を登記で押さえる
    3. ㎡単価は「地価公示」と「取引価格情報」で現実に寄せる
    4. 土地側の概算式を作ってレンジを出す
  4. 建物部分の評価と市場価格のズレを読む
    1. 家屋評価は再建築費ベースで、市場は住み心地ベースになりやすい
    2. 築年数だけでなく管理状態が価格差を作る
    3. 階数や方角など「住戸差」を軽視しない
    4. リフォームの費用は「そのまま上乗せ」になりにくい
  5. 概算から実際の査定に落とし込む手順
    1. 不動産情報ライブラリで近い成約を探してレンジを絞る
    2. 机上査定と訪問査定の違いを理解して使い分ける
    3. 売り出し価格は「反応を見て調整できる設計」にする
  6. 納得できる売却価格に近づける考え方

固定資産税評価額からマンションの売却相場を概算する

観葉植物とホワイトインテリアが調和した開放感のあるリビングダイニング

マンションの売却相場は、固定資産税評価額を出発点にして「土地持分」と「建物」を分けて考えると精度が上がります。

固定資産税評価額は市場の成約価格そのものではないため、倍率を1本に決め打ちするより、根拠の違う情報を重ねて補正するのが現実的です。

目安を作ったら、最後は近隣の成約事例や不動産会社の査定で必ず上書きし、売れるレンジに寄せます。

固定資産税評価額だけで価格が決まらない理由

固定資産税評価額は、税負担を計算するために自治体が固定資産評価基準にもとづき登録する価格です。

市場の成約価格は、需給や買主の評価、リフォーム状態、眺望、管理状況など個別要因で上下します。

そのため評価額が同じでも、売却相場が数百万円以上ずれるケースは珍しくありません。

  • 評価額は課税の基準
  • 成約価格は市場の合意
  • マンションは個別要因が大きい

まずは「土地持分」と「建物」を分けて見る

マンションの価格は、建物の価値と、敷地(共有土地)の持分価値が合算されたものです。

固定資産税評価額も、課税明細書を見ると土地と家屋が分かれて記載されていることが一般的です。

相場推定は、土地側は公的価格と相性がよく、建物側は成約事例との突き合わせが重要になります。

  • 土地は価格情報が豊富
  • 建物は状態差が出やすい
  • 合算せず分解して補正

ざっくりの計算イメージを持つ

土地部分は「固定資産税評価額が公示価格の7割を目途」という考え方を起点に置けます。

地価公示は国土交通省が毎年1月1日時点の正常価格を3月に公示する制度です。

公示価格や取引価格情報を参照し、土地持分の㎡単価を推定して合算すると、相場の幅が見えてきます。

倍率は「1本」ではなく「幅」で見る

ネット上では「固定資産税評価額の何倍」といった単純倍率が紹介されがちです。

しかし都市部と郊外、土地比率が高いマンションと建物比率が高いマンションでは、同じ倍率が当たりません。

最初は幅を持たせてレンジで見立て、成約事例で縮めるのが安全です。

  • 都市部は公示と実勢が乖離しやすい
  • 土地比率が高いほど土地側の精度が上がる
  • 結論はレンジで置く

使う評価額は「今年の明細」かを確認する

評価額は毎年同じとは限らず、評価替えのタイミングや地価下落修正などで変動します。

土地と家屋の評価額は原則として3年に一度見直し(評価替え)されるため、いつ時点の評価かが重要です。

古い明細を前提にすると、相場推定がズレるので、直近の課税明細書を起点にしてください。

確認する書類 固定資産税・都市計画税 納税通知書(課税明細書)
評価替えの目安 原則3年ごと
参考 固定資産税のしおり(公益財団法人不動産流通推進センターPDF)

概算のゴールは「売れる価格の候補」を作ること

相場推定の目的は、ぴったりの数字を当てることではありません。

売り出し前に「高すぎて長期化」や「安すぎて損」を避けるための候補レンジを作ることです。

レンジができたら、査定と成約事例で現実の価格に寄せる流れで考えましょう。

  • 目的は候補レンジ作り
  • 最終判断は査定と成約
  • 高値狙いは根拠が必要

固定資産税評価額を相場推定に使う前提を整理する

カラフルなクッションが映えるホワイトソファの明るいリビング

固定資産税評価額は便利ですが、性質を誤解すると計算が破綻します。

ここでは、評価額の立ち位置と、関連する価格指標の違いを短く整理します。

固定資産税評価額は「適正な時価」を税のために登録する

地方税法上、固定資産の価格は適正な時価とされ、自治体が課税台帳に登録します。

一方で市場の成約価格は、取引条件や需給で動くため、常に一致するわけではありません。

だからこそ、評価額は単独で使わず、価格情報を組み合わせて補正します。

指標 主な目的 特徴
固定資産税評価額 固定資産税などの課税 自治体が評価基準で算定
地価公示 取引の指標 毎年1月1日時点の正常価格
実勢価格(成約) 実際の取引 個別条件で上下

評価替えは原則3年ごとで、途中で修正されることもある

土地と家屋は原則として3年間評価額を据え置き、3年度ごとに評価額を見直す制度が採られています。

ただし地価の下落局面では、年度途中でも下落修正が行われることがあります。

「評価額がいつの価格か」を押さえると、推定レンジのズレが減ります。

  • 評価替えは原則3年ごと
  • 下落修正が入る年もある
  • 明細の年度を必ず確認

土地は「公示価格の7割を目途」という考え方が起点になる

宅地の評価は、公示価格等を活用し、その7割を目途に評価するという考え方が広く参照されています。

この関係を逆に使うと、土地の固定資産税評価額から公示価格を概算する発想が成り立ちます。

ただし公示価格と実勢価格の差は地域差があるため、次の手順で補正します。

ステップ やること 使う情報
1 固定資産税評価額を確認 課税明細書
2 公示価格の水準を把握 地価公示
3 取引価格で現実に寄せる 取引価格情報

実勢価格を確認できる一次情報がある

相場推定で強いのは、実際に成立した取引価格の情報です。

国土交通省は不動産取引価格情報提供制度として、アンケートにもとづく取引価格情報を蓄積し公開しています。

令和7年3月31日時点で約547万件の取引価格情報があると案内されています。

  • 相場の軸は成約価格
  • 価格情報は国の制度で公開
  • 地域と条件を近づけて比較

マンションの土地持分を計算して地価を当てはめる

グリーンソファと大きな窓が特徴の明るく開放的なリビング

マンションの相場推定でまず効くのは、土地持分をどう扱うかです。

土地側は指標が豊富なので、手順を踏めば概算の精度が上がります。

課税明細書で「土地」と「家屋」の評価額を確認する

納税通知書に付く課税明細書には、土地と家屋の評価額が別欄で載ることが多いです。

相場推定では、土地評価額と家屋評価額をメモして分解しておきます。

分解しておくと、次の工程で土地側だけ倍率を当てるなど補正がしやすくなります。

  • 土地評価額
  • 家屋評価額
  • 課税標準額(特例で変わる)

敷地権(持分割合)を登記で押さえる

マンションの土地は共有で、各住戸は敷地権の割合に応じて土地持分を持ちます。

登記事項証明書には、敷地権の割合や敷地権の目的たる土地が記載されます。

土地の㎡単価を当てはめるには、この割合が分からないと計算が荒くなります。

  • 登記事項証明書を取得
  • 敷地権割合を確認
  • 敷地の地番と面積を確認

㎡単価は「地価公示」と「取引価格情報」で現実に寄せる

土地の㎡単価は、まず地価公示で地域の水準を掴みます。

次に取引価格情報で、同じ市区町村や近い沿線、近い用途の取引水準を確認します。

公示と取引の差が大きい地域ほど、取引価格情報の比重を上げるとブレが減ります。

確認先 見たいもの ポイント
地価公示の公表(令和7年) 地域の基準水準 毎年1月1日時点
取引価格情報 成立した価格 条件を近づける
不動産情報ライブラリ 地価と取引を横断 地図で比較しやすい

土地側の概算式を作ってレンジを出す

土地評価額から公示価格水準を逆算し、土地持分の㎡単価に落とすとイメージが湧きます。

そこから取引価格情報で補正し、土地持分価値のレンジを作ります。

土地レンジができたら、次は建物側を成約事例で補正して合算します。

  • 土地概算は評価額を起点
  • 公示で基準を作る
  • 取引で現実に寄せる

建物部分の評価と市場価格のズレを読む

ビーズクッションと収納棚がある明るく可愛いワークスペース

マンションの売却相場がブレる最大要因は、建物側の評価が市場と一致しにくい点です。

ここを押さえると、固定資産税評価額からの概算が「使える推定」に変わります。

家屋評価は再建築費ベースで、市場は住み心地ベースになりやすい

家屋の評価は、材料や設備などから再建築費評点数を算定し、損耗補正などで価格を出す考え方です。

一方で市場は、駅距離や眺望、管理、間取り、リフォームなど「暮らしの価値」を強く反映します。

このズレがあるため、家屋評価額に単純倍率を当てるだけでは精度が出にくいです。

観点 家屋評価が見やすい 市場が見やすい
基準 再建築費と損耗 需要と比較
反映されにくい要素 眺望・管理・人気 評点の細部
相場推定の方法 参考値として扱う 成約事例で補正

築年数だけでなく管理状態が価格差を作る

同じ築年数でも、管理会社の体制や修繕計画、積立金の水準で印象が大きく変わります。

買主は将来の修繕負担を気にするため、積立金不足や大規模修繕の遅れは価格に響きやすいです。

固定資産税評価額に出ない情報なので、売却前に必ず整理して提示できるようにします。

  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金の残高と値上げ履歴
  • 直近の大規模修繕の内容

階数や方角など「住戸差」を軽視しない

マンションは同じ棟でも、住戸位置で価格差が出ます。

日当たりや眺望、騒音リスク、エレベーターからの距離などが買主の評価に直結します。

相場推定の段階でも、取引事例はできるだけ同じ棟や近い条件に寄せてください。

  • 階数と眺望
  • 方角と日照
  • 角部屋か中住戸か

リフォームの費用は「そのまま上乗せ」になりにくい

リフォーム済みでも、買主の好みと合わないと評価が伸びないことがあります。

一方で水回りや配管など、安心につながる更新は評価されやすい傾向があります。

費用を積み上げて値付けするより、競合住戸との比較で上乗せ幅を決める方が安全です。

評価されやすい例 水回り更新、断熱、配管更新
好みが分かれる例 内装デザイン、色、造作
考え方 費用ではなく競合比較で決める

概算から実際の査定に落とし込む手順

ペンダントライトとアイランドキッチンがあるモダンなリビング空間

固定資産税評価額からの概算は、ここからが本番です。

売れる価格に近づけるために、一次情報と査定を組み合わせてレンジを絞ります。

不動産情報ライブラリで近い成約を探してレンジを絞る

まずは同じ市区町村、できれば近い町丁目でマンションの取引事例を探します。

次に築年数、面積、駅距離などが近いものを選び、坪単価や㎡単価の帯を作ります。

この帯ができると、固定資産税評価額からの概算が現実のレンジに収束します。

  • 取引価格情報で地域を絞る
  • 面積帯を近づける
  • 築年数帯を近づける

机上査定と訪問査定の違いを理解して使い分ける

机上査定は周辺相場データを中心にした概算で、スピードが出ます。

訪問査定は室内状態や管理状況、眺望などの住戸差を反映でき、売れる価格に近づきます。

相場の精度を上げたいなら、机上で候補を作り、訪問で最終レンジを詰めるのが効率的です。

種類 強み 弱み
机上査定 早い 住戸差が反映されにくい
訪問査定 売れる価格に近い 日程調整が必要

売り出し価格は「反応を見て調整できる設計」にする

売り出し価格は、成約目標から逆算しつつ、値下げ余地も含めて設計します。

高めに出す場合は、反応を見る期間と、下げ幅のルールを先に決めておくと迷いにくいです。

反応は内覧数や問い合わせ数で見えるため、根拠のない粘りより、データで調整する方が納得感が出ます。

  • 反応を見る期間を決める
  • 下げ幅のルールを決める
  • 内覧数で判断する

納得できる売却価格に近づける考え方

アイランドキッチンから見た吹き抜け階段と無垢フローリングのリビング

固定資産税評価額は、マンション売却相場の「入口」として優秀です。

ただし出口は成約事例と住戸差で決まるため、評価額は分解して使い、最後は市場情報で上書きします。

手順としては、課税明細書で土地と家屋を分け、登記で敷地権割合を確認し、公示と取引事例で土地側を補正します。

建物側は築年数だけで判断せず、管理状態や眺望などの住戸差を織り込み、机上査定と訪問査定でレンジを絞ります。

こうして作ったレンジに沿って売り出し価格を設計し、内覧などの反応データで調整すれば、売却の納得感が高まります。