中古マンションは、購入したあとでも売却できます。
ただし「いくらで売れたか」だけで損得を決めると、手残りで後悔しやすいです。
ローン残債や税金、売却費用まで含めて試算すると、判断は一気にクリアになります。
ここでは、購入後の売却でつまずきやすい論点を先に整理し、手順まで一気につなげます。
中古マンション購入後の売却は損か得か
損か得かは、売却価格ではなく「最終的に手元に残る金額」で決まります。
まずは試算に必要な数字と判断軸をそろえ、売るべきか持つべきかを短時間で見極めましょう。
損得は「売却益」ではなく手残りで決まる
中古マンションの売却で見るべきゴールは、売却代金ではなく手残りです。
仲介手数料や税金、ローン返済に消える分を落とすと、想像より差が出ます。
- 売却代金(成約価格)
- 売却費用(仲介手数料・印紙代など)
- ローン一括返済額(残債)
- 譲渡所得税(利益が出る場合)
この4つを同じ紙に並べるだけで、感覚の判断が消えます。
価格が上がるケースと下がるケースを分けて考える
購入後でも価格が上がるのは、需要が強い立地や供給の少ない条件が重なるときです。
一方で下がりやすいのは、築年数の進行よりも「物件の見え方」が悪化したときです。
- 駅距離や学区など需要が安定している
- 眺望や角住戸など代替が少ない
- 管理状態が良く共用部の劣化が少ない
- 周辺で競合供給が増えていると下がりやすい
上がる条件と下がる条件を同時に持つ物件もあるため、要因を切り分けて整理します。
住み替えと投資では判断軸が変わる
住み替え目的なら「売り時」は次の住まいの購入計画とセットです。
投資目的なら「税引後の利回り」と「出口の売りやすさ」が中心になります。
| 目的 | 最優先の判断軸 |
|---|---|
| 住み替え | 引っ越し時期と資金繰りの安全性 |
| 投資 | 税引後の手残りと再投資効率 |
| 資産整理 | 売却期間の余裕と確実性 |
目的が曖昧だと売り方もブレるので、先にゴールを固定します。
売り時の目安は「5年」と「10年」だけではない
税金の区切りで「5年」が話題になりやすいですが、現場の売り時はそれだけでは決まりません。
相場の天井感や物件の競争力、資金繰りの余裕が同じくらい重要です。
- 転勤や家族構成の変化で期限が先に決まる
- 周辺相場が上昇して含み益が十分に出た
- 修繕や設備更新が重なり出費が増えそう
- 売却期間に余裕があり強気で出せる
税金は試算で織り込みつつ、売却のタイミングは生活と市場で決めるほうが合理的です。
売却前に試算すべき3つの数字
売るか持つかで迷ったら、最初に3つの数字だけ出します。
この3つが出ると、感情よりも計算が勝つ状態になります。
| 数字 | 意味 | 出し方のコツ |
|---|---|---|
| 想定成約価格 | 市場で売れそうな価格 | 机上査定と近隣成約事例を確認 |
| ローン残債 | 売却時に返す金額 | 返済予定表と金融機関の残高証明 |
| 税引後手残り | 最終的に残るお金 | 売却費用と譲渡所得税も含める |
試算は荒くても良いので、まずは方向性が出る形にします。
早期売却でも税金がゼロになり得る
購入後すぐに売ると税率が上がる可能性がありますが、利益が出なければ税金は発生しません。
また居住用として要件を満たす場合、特別控除で課税所得がゼロになることもあります。
- 譲渡所得がマイナスなら譲渡所得税はかからない
- 利益があっても特例で課税所得がゼロになる場合がある
- 特例は要件と必要書類が重要になる
税金は「売却益があるか」と「特例が使えるか」の2段階で見ます。
購入後すぐに売る前に押さえる税金のルール
中古マンションの売却では、譲渡所得税の仕組みを知らないと手残り試算が崩れます。
所有期間の判定と特例の要件を押さえ、税金を過大にも過小にも見積もらない状態にします。
所有期間5年で税率が切り替わる
譲渡所得は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで区分されます。
判定が独特なので、購入日と売却日だけで決め打ちしないのが安全です。
| 区分 | 判定の基準 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で5年以下 | 所得税30.63%+住民税9% |
| 長期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で5年超 | 所得税15.315%+住民税5% |
制度の一次情報は国税庁の案内で確認できます。
居住用3,000万円特別控除の要点
マイホームとして住んでいた中古マンションを売るなら、3,000万円特別控除が強力です。
所有期間の長短に関係なく使えるため、早期売却でも救われる場合があります。
- 対象は「居住用財産」であること
- 譲渡所得から最高3,000万円を控除できる
- 確定申告で適用し、必要書類を添付する
要件は個別に差が出るため、国税庁の要点を先に確認します。
10年超の軽減税率に当てはまるかを確認する
居住用財産の売却では、10年超所有の軽減税率など、条件によって税率が変わる枠組みがあります。
該当するかどうかで手残りが変わるため、最初の試算で分岐を作ります。
| 確認ポイント | 見落としやすい点 |
|---|---|
| 所有期間の判定日 | 売却年の1月1日基準で判定する |
| 居住の実態 | 住民票だけでなく実際の居住が前提 |
| 特例の併用 | 併用可否は制度ごとに違う |
軽減税率や控除のチェック表も公表されているため、作業の抜けを減らせます。
国税庁:3,000万円特別控除の特例適用チェック表(PDF)
赤字でも確定申告が必要になる場面がある
譲渡所得が赤字でも、特例を使う場合や、翌年以降の手続きに関係する場合は申告が必要になることがあります。
また、税金がゼロでも「特例適用の申告をして初めて成立する」ケースがある点に注意します。
- 3,000万円特別控除を使うとき
- 住み替えなどで特例の適用関係があるとき
- 必要書類の提出を求められるとき
税金が出ないときほど、書類不足で後から困りやすいので先に整えます。
住宅ローンが残っていても売却できる条件
中古マンションはローン返済中でも売却できます。
ただし抵当権の扱いと、残債をどう完済するかで売却可否が決まります。
抵当権抹消と決済の流れを理解する
ローンが残る物件は、引き渡しと同時に残債を完済し、抵当権を抹消する流れが一般的です。
決済日に金融機関と司法書士が関与し、登記も同日に進むため段取りが重要です。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 売却活動開始前 | 残高確認と繰上返済条件の確認 |
| 売買契約後 | 決済日の調整と必要書類の手配 |
| 残代金決済日 | 売却代金で残債返済し抵当権抹消 |
| 引き渡し後 | 登記完了の確認と書類保管 |
抵当権抹消の一般的な考え方は、不動産会社の解説でも流れを確認できます。
残債が売値を上回るときの選択肢
売却価格よりローン残債が多い状態は、オーバーローンと呼ばれます。
この場合は「差額をどう埋めるか」を先に決めないと、売買契約が進められません。
- 自己資金で差額を補填して完済する
- 住み替えローンで不足分を組み込む
- 売却条件を調整して手残りを最大化する
無理に進めると決済日に完済できず、違約問題に発展するため最初に資金計画を固定します。
住み替えローンやつなぎ融資の注意点
買い先行で住み替える場合、売却が遅れると二重ローンになり資金繰りが崩れます。
金融機関の審査や金利条件は人によって差が大きいので、想定パターンを複数用意します。
| 手段 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
| 売り先行 | 資金繰りが安定しやすい | 仮住まいが必要になる場合がある |
| 買い先行 | 住まいの空白が出にくい | 売却が遅いと二重負担になりやすい |
| 住み替えローン | 不足分を組み込める場合がある | 審査が厳しく条件も限定されやすい |
資金の安全性を優先し、想定外の売却遅れにも耐える設計にします。
手付金や違約金で詰まらないための確認
売買契約では手付金や期日、違約金の条件が明確に決まります。
ローン完済や引っ越しの段取りが遅れると、金銭負担が一気に増える点が落とし穴です。
- 引き渡し期日と明渡し条件の確認
- 手付解除の期日と解除条件の確認
- ローン残債の完済に必要な日数の確認
契約前に「決済日に絶対できること」だけを約束する姿勢が安全です。
売却価格を上げるために購入後にできること
中古マンションは、購入後の使い方や整え方で売却の印象が大きく変わります。
費用をかけるほど得するわけではないため、効果が出やすい順に手を打ちます。
リフォームは回収できる範囲だけに絞る
売却前のリフォームは、費用回収が難しい領域まで踏み込むと損になりやすいです。
買主が重視するのは新品感より、安心して住める状態であることです。
- 壁紙やハウスクリーニングで清潔感を出す
- 水回りの不具合は修理で止血する
- 高額な全面改装は基本的に回収しにくい
投下費用の上限を先に決め、販売価格で取り戻せる範囲に限定します。
管理状態と修繕積立金が価格に効く
中古マンションでは、室内の見た目以上に「管理の良さ」が評価に直結します。
修繕積立金や長期修繕計画の状態は、買主の不安を減らす材料になります。
| 項目 | 買主が見るポイント |
|---|---|
| 修繕積立金 | 将来の大規模修繕に足りそうか |
| 管理費 | サービス内容とコストのバランス |
| 長期修繕計画 | 計画が更新され現実的か |
| 議事録 | トラブルや滞納の傾向がないか |
資料が整っているだけで内覧の安心感が上がり、価格交渉の耐性が増します。
内覧で失点しやすいポイントを先に潰す
中古マンションの内覧は、短時間で「住めるかどうか」を判断されます。
失点が積み上がると値引き交渉に直結するため、減点項目を先に潰します。
- ニオイと換気の印象を整える
- 水回りのカビや汚れを残さない
- 照明とカーテンで部屋を明るく見せる
- 収納の詰め込みで狭く見せない
高額な工事より、生活感の整え方のほうが費用対効果が高いです。
売却時期と市場の見方を持つ
売却は同じ物件でも「競合の多さ」と「買い手の動き」で成約条件が変わります。
時期は絶対ではありませんが、売りやすい季節と準備期間を押さえるとブレが減ります。
| 時期 | 動きやすさ | 戦い方 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 需要が増えやすい | 早めに出して内覧数を取りに行く |
| 4〜6月 | 落ち着きやすい | 価格を強気にし過ぎず反応を見て調整 |
| 9〜11月 | 再び動きやすい | 写真と見せ方で競合との差を作る |
売却期限がある場合は、時期よりも販売戦略と価格調整の速度が重要になります。
売却の流れと必要書類を最短で整える
中古マンション売却は、手順を知っているだけでムダな待ち時間が減ります。
特に書類と資金の段取りを先に済ませると、価格交渉でも主導権を取りやすいです。
査定で相場を固めてから売り方を選ぶ
最初にやるべきは、相場を把握して現実的な成約価格帯を知ることです。
机上査定で幅をつかみ、必要なら訪問査定で根拠を確認します。
- 近隣の成約事例と比較する
- 同マンション内の過去売出し履歴を見る
- 売却期限があるかを最初に伝える
相場感が固まると、売却か保有かの判断も同時に進みます。
媒介契約は違いを理解して選ぶ
仲介で売る場合、媒介契約の種類で報告頻度や依頼範囲が変わります。
売却期限と情報量のバランスで選び、契約後に放置されない形を作ります。
| 種類 | 特徴 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数社に依頼できる | 時間に余裕があり比較したい |
| 専任媒介 | 1社に絞り報告がある | 戦略を一本化して進めたい |
| 専属専任媒介 | 報告頻度が高く一本化 | 売却活動を密に管理したい |
契約後は、販売図面と写真の質で反響が大きく変わるため早めに確認します。
売買契約から引き渡しまでの段取り
中古マンションは、買主の住宅ローン審査と引き渡し準備が並行して進みます。
こちら側は、決済日に間に合うように書類と引っ越しの順番を逆算します。
- 売買契約で手付金と期日を確定する
- 買主のローン審査完了を待つ
- 引っ越しと明渡し準備を進める
- 決済日に残代金受領と引き渡しを行う
決済日にズレが出ると全体が崩れるため、カレンダーに固定して動きます。
確定申告で用意する書類を先に集める
特例を使うかどうかに関わらず、売却後に必要になる書類は早めに集めたほうが楽です。
特に取得費の根拠がないと、税額計算が不利になる場合があります。
- 売買契約書(購入時と売却時)
- 仲介手数料などの領収書
- 登記事項証明書や登記関連書類
- 住宅ローン残高証明や返済予定表
- 特例に必要な添付書類一式
売却が終わったあとに探すと時間がかかるので、売却活動の段階でまとめて箱に入れます。
納得して売るための最終チェック
最後は、税金と資金繰りと期限の三点を同じ表で確認します。
想定成約価格がブレても耐えられる資金計画なら、売却の不安は大きく減ります。
ローン残債が多い場合は、決済日に完済できる根拠を必ず用意します。
特例を使う可能性があるなら、要件と書類を先に確認してから売り方を決めます。
この順番で整理できれば、中古マンションの購入後売却でも損得を自分でコントロールできます。

