築70年のマンションは売却できる|価格が決まる条件と損しない進め方は?

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相場

築70年のマンションを売却したいと思っても、そもそも買い手が付くのか不安になりやすいです。

結論から言えば、築70年のマンションでも売却は可能です。

ただし、一般的な築浅物件と同じ売り方では反響が集まりにくく、価格が下振れしやすい傾向があります。

とくに「耐震性」「管理状態」「将来の再生方針」が見えない物件は、買主が判断を先送りしやすいです。

一方で、土地の評価が強いエリアや管理が行き届いたマンションは、築年数が古くても成立しやすいです。

この記事では、築70年のマンション売却で価格が決まる条件と、納得の条件で売るための実務の進め方を整理します。

  1. 築70年のマンションは売却できる
    1. 売却成立の現実は「買主の選択肢」で変わる
    2. 価格は建物より「敷地価値」と「運用の見通し」で動く
    3. 旧耐震かどうかは最初に整理して提示する
    4. 住宅ローンが通りにくいケースを前提に組み立てる
    5. 管理状態は築年数以上に「買われる理由」になる
    6. 売却戦略は「情報開示の厚さ」と「出口の複線化」で決める
  2. 築70年マンションが売れにくい理由
    1. 金融機関の評価が分かれやすい
    2. 共用部の老朽化が生活コストに直結する
    3. 管理組合の機能不全が最大のリスクになる
    4. 将来の再生方針が見えないと買主が怖がる
  3. 売却前にやるべき調査と書類のそろえ方
    1. 権利関係は登記で先に潰す
    2. 管理関係資料は「買主に渡す前提」で集める
    3. 耐震と有害物質は「分からない」を減らす
    4. 室内の手入れは「原状回復のやり過ぎ」を避ける
  4. 修繕積立金と一時金が価格に効く
    1. 修繕積立金は「目安」との差が材料になる
    2. 大規模修繕の履歴は「次の負担」を読むために見る
    3. 滞納や借入は「隠れ負担」として嫌われる
    4. 管理費や専用使用料も「毎月の手取り」を決める
  5. 仲介が難しいときの売却ルート
    1. 買取は「早さ」と「確実性」を買う方法
    2. 投資家に刺さる見せ方は「収支の見える化」
    3. 建替えや敷地売却の視点があると交渉が前向きになる
    4. 賃貸に回すべきかは「手残り」と「手間」で決める
  6. 築70年マンション売却で後悔を減らす要点

築70年のマンションは売却できる

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築70年のマンションでも売却自体はできます。

ただし買主は「現金購入」「投資目的」「建替え・敷地の将来価値を見込む層」などに絞られやすいです。

売れるかどうかは築年数ではなく、買主がリスクを評価できる情報が揃っているかで決まります。

売却成立の現実は「買主の選択肢」で変わる

築70年のマンションは、住宅ローン前提の一次取得層が入りにくいことがあります。

そのため、購入方法が現金かローンかで、成約までの速度と価格が大きく変わります。

先に想定買主を定めると、広告の打ち出しと価格戦略がズレにくくなります。

買主タイプ 現金・投資・住み替え・建替え期待など
重視点 利回り、管理状態、土地の価値、将来の再生方針
つまずきやすい点 ローン審査、耐震情報不足、修繕積立金不足
売り方の基本 情報開示を厚くし、懸念点を先回りして説明

買主の視点で「不確実」を減らすほど、築年数のハンデは小さくなります。

価格は建物より「敷地価値」と「運用の見通し」で動く

築70年になると、建物そのものの価値よりも、敷地や立地の評価が相対的に大きくなりやすいです。

同じ築年数でも、駅距離や用途地域、容積率の余地などで将来性が変わります。

買主が判断しやすいよう、立地と再生可能性を言語化することが重要です。

  • 駅距離や商業集積など、賃貸需要の裏付け
  • 土地持分の割合と、将来の権利関係の見通し
  • 周辺の取引事例があるかどうか
  • 管理状態が資産価値の維持に直結する点

「古いから安い」で終わらせず、価値の核を先に示すと交渉の軸が作れます。

旧耐震かどうかは最初に整理して提示する

築70年のマンションは一般に旧耐震に該当しやすく、耐震性の情報が価格に直結します。

買主は耐震診断の有無や、耐震改修の履歴を強く気にします。

耐震に関する書面が無い場合でも、現状でできる提示を用意しておくことが大切です。

確認したい情報 建築時期、確認済証の有無、構造、改修履歴
書類の例 耐震診断結果、改修工事資料、建築図面
買主の安心材料 第三者の証明や、具体的な改修内容の説明
参考情報 国税庁:住宅ローン控除と耐震基準適合の確認書類

耐震の話を後出しにすると不信感につながるため、初動で丁寧に出すのが得策です。

住宅ローンが通りにくいケースを前提に組み立てる

築年数が古い物件は、金融機関や買主の条件次第でローン利用が難しくなることがあります。

ローン控除などの税制でも、耐震基準を満たすことを求める場面があります。

そのため、売主側は「ローンが通る前提」ではなく「通らない場合の売り方」も用意します。

  • 現金購入層に届く広告導線を作る
  • 投資家向けに収支の見通しを提示する
  • 耐震に関する証明や資料を揃えて選択肢を増やす
  • 仲介が難しい場合は買取も比較する

買主の選択肢を増やすほど、売却条件の主導権を取りやすくなります。

管理状態は築年数以上に「買われる理由」になる

築70年のマンション売却で最も効くのは、管理組合が機能しているかどうかです。

長期修繕計画や修繕積立金の考え方は、国土交通省もガイドラインで重要性を示しています。

マンションストックの規模や管理の重要性についても、公的資料で触れられています。

見るべきポイント 総会議事録、長期修繕計画、積立金残高、滞納状況
買主が嫌う状態 計画なし、値上げ不可能、滞納多い、修繕先送り
用意したい資料 管理規約、重要事項調査報告書、修繕履歴
参考情報 国土交通省:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

管理が良い物件は、築年数が古くても「安心して持てる」という理由で選ばれます。

売却戦略は「情報開示の厚さ」と「出口の複線化」で決める

築70年のマンションは、一般的な相場検索だけで価格を決めると失敗しやすいです。

重要なのは、懸念点を隠さずに先に説明し、買主の納得を作ることです。

また仲介だけに依存せず、出口を複線化すると売れ残りの不安が減ります。

  • 仲介で市場に出しつつ、買取の査定も同時に取る
  • 耐震、修繕、管理の資料をセットで提示する
  • 価格交渉の余地を見込んだレンジ設計をする
  • 売却期限がある場合はスケジュールを逆算する

「売れないかも」という不安は、準備と選択肢でかなり下げられます。

築70年マンションが売れにくい理由

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築70年マンションが売れにくいのは、単に古いからではありません。

買主が抱える不確実性が多く、判断材料が揃わないと検討が止まりやすいからです。

ここでは典型的なつまずきポイントを整理します。

金融機関の評価が分かれやすい

ローン審査は金融機関ごとに基準が異なり、築年数が古いほど評価が割れます。

その結果、内見の反響があっても「ローンが通らず白紙」になりやすいです。

売主は、買主の資金計画で止まる可能性を織り込んでおく必要があります。

起きやすいこと 事前審査で否決、借入期間が短い、自己資金増が必要
影響 成約まで長期化、価格交渉が強くなる
対策 現金層への訴求、耐震資料の整備、買取比較
参考情報 国税庁:耐震基準適合証明書などの扱い

ローンの壁は売主だけでは解決できないため、先に想定しておくことが重要です。

共用部の老朽化が生活コストに直結する

築70年だと、給排水管、エレベーター、外壁、屋上防水など大規模な更新が視野に入ります。

買主は物件価格だけでなく、将来の負担がどれくらいかを見ています。

負担の見通しを示せないと、価格が下がるか検討が止まりがちです。

  • 直近の大規模修繕の実施年と内容
  • 給排水管の更新状況
  • 機械式駐車場の有無と維持費
  • バリアフリー対応の現状

設備の更新が必要でも、計画と資金が整っていれば評価は大きく落ちません。

管理組合の機能不全が最大のリスクになる

築年数が古いほど、管理組合の運営や合意形成が資産価値を左右します。

規約や総会運営の基本形は、公的なひな型も示されています。

管理のルールが曖昧だと、買主は「将来揉めるかも」と感じて離れやすいです。

買主が確認する資料 管理規約、総会議事録、長期修繕計画、会計資料
悪いサイン 議事録なし、滞納多い、計画未更新、専門家不在
評価が上がるサイン 計画的な修繕、透明な会計、合意形成の実績
参考情報 国土交通省:マンション標準管理規約

「管理が良い」ことを証拠で示せると、築古でも買主は前向きになります。

将来の再生方針が見えないと買主が怖がる

築70年クラスになると、建替え、更新、敷地売却などの再生議論が話題になりやすいです。

再生手法は制度改正も進んでおり、決議や事業手法の整理が進められています。

方針が全く見えない状態だと、買主は出口戦略を描けず見送ります。

  • 過去に再生検討があったかどうか
  • 耐震性不足などの課題が共有されているか
  • 将来の資金計画と合意形成の見通し
  • 管理組合が専門家に相談できる体制か

制度の動きも含めて説明できると、買主の不確実性は下げられます。

売却前にやるべき調査と書類のそろえ方

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築70年のマンション売却は、内見の前に「情報の型」を作ることが重要です。

買主の不安は情報不足から生まれるため、資料が揃うほど価格交渉も穏やかになります。

ここでは最低限やっておきたい準備を具体化します。

権利関係は登記で先に潰す

築年数が古い物件ほど、相続や名義変更が未整理のままになっていることがあります。

権利関係の不備は、買主が最も嫌うストッパーです。

売却活動の前に、登記情報と抵当権の状態を必ず確認します。

  • 登記事項証明書で名義と持分を確認
  • 抵当権が残っていないかを確認
  • 相続未登記なら早めに手続を開始
  • 共有名義なら売却方針を共有者と合意

権利の整理は時間がかかるため、ここが最初の勝ち筋になります。

管理関係資料は「買主に渡す前提」で集める

築70年のマンション売却では、室内の状態以上に管理の見える化が重要です。

資料が揃うと、買主は将来コストとリスクを計算できます。

反対に資料が出ないと、買主はリスク分を値引きで取りに来ます。

資料 管理規約、使用細則、総会議事録、会計報告
資料 長期修繕計画、修繕履歴、積立金残高、滞納状況
入手先 管理会社、管理組合、理事会資料
買主への効き 将来費用の見通し、管理の透明性、安心感

「出せる資料一式」があるだけで、築年数の不利をかなり打ち消せます。

耐震と有害物質は「分からない」を減らす

築70年のマンションは、耐震性やアスベストなどの懸念を持たれやすいです。

分からない場合でも、確認した事実と未確認の範囲を区切って説明します。

自治体の補助制度がある地域では、耐震診断や改修の支援が用意されていることもあります。

不安要素は隠すほど不信が増えるため、整理して開示するのが最短です。

室内の手入れは「原状回復のやり過ぎ」を避ける

築70年のマンションでは、全面リフォームをしても回収できないことがあります。

買主がリノベ前提なら、売主の工事が逆に邪魔になる場合もあります。

費用対効果を見て、やることを絞るのが合理的です。

やる価値が出やすい 清掃、臭い対策、簡易補修、荷物整理
慎重に判断 水回り総入替、間取り変更、フルリノベ
例外 雨漏りや設備故障など、致命的な不具合の是正
基本方針 見栄えより「不具合の説明」と「資料」で勝つ

見た目を作るより、買主が判断できる材料を増やす方が価格に効きます。

修繕積立金と一時金が価格に効く

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築70年のマンション売却では、管理費や修繕積立金の水準が価格交渉の中心になりやすいです。

買主は、購入後の固定費と将来の一時負担を合算して判断します。

ここを説明できると、築年数の古さよりも納得感で選ばれやすくなります。

修繕積立金は「目安」との差が材料になる

修繕積立金が安すぎる場合、将来の値上げや一時金のリスクが疑われます。

国土交通省は修繕積立金の目安を示しており、比較のベースになります。

自分のマンションがどのレンジに近いかを把握すると説明が楽になります。

区分 【20階未満】延床5,000㎡未満
目安 235円~430円/㎡・月(平均335円/㎡・月)
区分 【20階未満】延床5,000㎡以上~10,000㎡未満
目安 170円~320円/㎡・月(平均252円/㎡・月)
出典 国土交通省:マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)

目安より高いか低いかだけでなく、なぜそうなっているかの説明が重要です。

大規模修繕の履歴は「次の負担」を読むために見る

築70年のマンションでは、過去にどの修繕を実施してきたかが将来の負担を左右します。

買主は、直近で大きな修繕が済んでいるかを特に気にします。

履歴を出せると、値引き交渉の圧力が弱まりやすいです。

  • 直近2回分の大規模修繕の実施年
  • 給排水管更新の有無と範囲
  • エレベーター更新や改修の状況
  • 屋上防水や外壁補修の履歴

修繕が未実施でも、計画と資金があれば評価は下げ止まりします。

滞納や借入は「隠れ負担」として嫌われる

修繕積立金の滞納が多いマンションは、計画通りに修繕できない懸念が出ます。

また管理組合が借入をしている場合、将来の返済負担が価格に影響します。

買主は「自分が入居した後に突然一時金を請求されないか」を見ています。

確認項目 滞納額、借入残高、返済計画、一時徴収の履歴
影響 値引き要因、ローン審査への影響、検討中止
対策 会計資料を整理し、説明資料を作る
補足 計画的な積立の重要性はガイドラインでも強調される

マイナス情報こそ、事実と対策をセットで開示すると信用に変わります。

管理費や専用使用料も「毎月の手取り」を決める

投資家や現金層は、管理費や駐車場などの固定費を差し引いた実質の収支を見ます。

とくに賃貸運用を想定する買主は、家賃相場と固定費のバランスに敏感です。

内訳が分かりやすいほど、交渉は合理的になります。

  • 管理費と修繕積立金の内訳
  • 駐車場やトランクルームなどの使用料
  • 専用使用料の扱いと、積立への繰入れの有無
  • 水道や給湯などの検針方式

固定費の説明が明快だと、買主は判断を先延ばしにしにくくなります。

仲介が難しいときの売却ルート

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築70年のマンションは、仲介で時間がかかる場合があります。

そのときに焦って値下げだけに頼ると、必要以上に損をしやすいです。

出口を複数持ち、条件に合うルートへ寄せるのが現実的です。

買取は「早さ」と「確実性」を買う方法

買取は、不動産会社などが直接買い取るため、ローン否決リスクを避けやすいです。

一方で、価格は仲介より低くなりやすいのが一般的です。

期限がある場合や瑕疵リスクが強い場合は有力な選択肢になります。

メリット 早い、契約不成立が起きにくい、手続が簡略化しやすい
デメリット 価格が下がりやすい、買主の幅が限定される
向くケース 相続整理、期限あり、空室化したい、修繕不安が強い
コツ 仲介査定と同時に取り、差の理由を確認する

買取は最後の手段ではなく、比較の基準として早めに取っておくと強いです。

投資家に刺さる見せ方は「収支の見える化」

築70年のマンションでも、エリア次第では賃貸需要があることがあります。

投資家は感覚ではなく、収支が回るかどうかで判断します。

数字の材料を用意すると、築年数よりも合理性で検討されます。

  • 周辺の家賃相場と空室リスク
  • 管理費と修繕積立金を引いた実質収支
  • 直近の修繕履歴と、次の更新見込み
  • 賃貸需要の制度的裏付けや立地要因

投資家向けに整理すると、現金の住み替え層にも伝わりやすくなります。

建替えや敷地売却の視点があると交渉が前向きになる

築70年クラスでは、再生手法の検討が現実味を帯びることがあります。

制度面でも、マンション再生に関する枠組みの整備が進んでいます。

売却時点で結論が出ていなくても、検討状況を説明できると買主の不安が減ります。

再生の例 更新、再建、敷地売却、取壊しなど
買主の関心 将来の出口、合意形成の現実性、権利関係
説明材料 過去の議論、調査結果、管理組合の方針
参考情報 国土交通省:改正マンション関係法の施行に関する報道資料(令和8年4月1日施行)

将来像を語れる物件は、築年数が古くても「持つ理由」が生まれます。

賃貸に回すべきかは「手残り」と「手間」で決める

売れにくいから賃貸にするという判断は、収支が合わないと苦しくなります。

修繕負担や空室リスクを踏まえて、売却と賃貸の手残りを比較します。

判断の軸を先に決めると、迷いが減ります。

  • 家賃から管理費と積立金を引いた手残り
  • 今後の一時金や大修繕の見込み
  • 賃貸管理の手間とトラブル耐性
  • 売却した場合の手残りと機会費用

賃貸は逃げ道ではなく、数字で勝てるなら強い選択肢になります。

築70年マンション売却で後悔を減らす要点

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築70年のマンション売却は、築年数そのものより「不確実性の多さ」が難しさです。

不確実性は、耐震と管理と将来方針を資料で示すことで大きく減らせます。

修繕積立金や滞納状況など、買主が嫌がる情報ほど先に整理して出す方が結果的に高く売れやすいです。

仲介だけに依存せず、買取や投資家需要など出口を複線化すると、値下げ以外の打ち手が増えます。

最終的には、買主が「この物件なら持てる」と判断できる材料を揃えた人が、納得の条件で売れます。