不動産売却益の税金と確定申告は原則「翌年に申告」が結論|計算と特例を押さえて手取りを守ろう!

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確定申告

不動産を売って利益が出たときは、給与などとは別に「譲渡所得」として税金計算を行い、原則として売った翌年に確定申告します。

一方で、利益が出ていなくても、特例を使って税金を減らしたい場合や、損失を他の所得と調整したい場合には申告が必要になることがあります。

売却益の税金は「いくらで売れたか」だけで決まらず、購入時の費用や改修費、売却にかかった費用、所有期間、特例の有無で大きく変わります。

手取りを守るには、譲渡所得の計算式と、使える特例の要件、申告書類の準備を早めに押さえることが近道です。

本記事は、国税庁の案内を根拠に、売却益の税金と確定申告の全体像を、実務で迷いやすいポイントから整理します。

不動産売却益の税金と確定申告は原則「翌年に申告」が結論

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不動産を売って利益(譲渡所得)が出た年は、その年分の所得として翌年の確定申告で申告し、税額を納付します。

確定申告が必要になる売却益の代表パターン

不動産売却益の税金は、給与所得のような総合課税ではなく、原則として分離課税で計算します。

そのため、会社員で年末調整が済んでいても、売却益があれば別途確定申告が必要になるのが基本です。

また、税額がゼロになりそうでも、特例を受けるには申告が前提となることが多い点に注意が必要です。

まずは「申告が必要なケース」に該当するかを早めに切り分けると、準備の漏れを防げます。

  • 土地・建物を売って譲渡益が出た
  • マイホームの3,000万円特別控除など特例を使いたい
  • 譲渡損失を損益通算・繰越控除したい
  • 共有名義で持分があり自分の分の損益計算が必要
  • 非居住者に関係する取引で源泉徴収が絡む

税率は「所有期間」で変わる

不動産売却益は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで、長期か短期かが判定されます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得では税率が異なり、短期のほうが税負担が重くなります。

税率の目安を先に把握しておくと、手取りのイメージと、特例の検討の優先順位が付けやすくなります。

詳細は国税庁のタックスアンサーを確認し、条件に当てはめて判断するのが安全です。

区分 長期譲渡所得(5年超)/短期譲渡所得(5年以下)
所得税 長期15%/短期30%
住民税 長期5%/短期9%
補足 復興特別所得税が別途加算される
根拠 国税庁 No.3208国税庁 No.3211

利益が小さくても申告したほうがよい場合がある

マイホーム売却の3,000万円特別控除のように、要件を満たしても申告しなければ適用できない特例があります。

売却益が3,000万円以下で税金がゼロになりそうでも、申告しないと将来の照会時に説明が難しくなることがあります。

また、譲渡損失が出た場合でも、一定の要件下で損益通算や繰越控除につながるため、申告の検討価値があります。

結論として、損益が境界線のときほど「申告不要」と決め打ちせず、特例の有無で判断するのが堅実です。

  • 特例を受けるための「申告が要件」になっている
  • 譲渡損失の救済制度を使う余地がある
  • 共有名義で他の共有者と扱いがズレるとトラブルになりやすい
  • 購入時の資料が散逸する前に計算根拠を固めたい

申告と納付の基本スケジュール

不動産を売った年の分は、翌年の確定申告期間に申告します。

申告は紙でも可能ですが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと計算ミスを減らせます。

納付は原則として期限までに行い、資金繰りのために早めに概算を作っておくと安心です。

提出書類の全体像は、国税庁の「譲渡所得の申告のしかた」に沿って確認すると迷いにくくなります。

いつの所得 売却した年分
いつ申告 原則として売却の翌年の確定申告
主な様式 申告書第一表・第二表+第三表(分離課税用)
参考 国税庁「譲渡所得の申告のしかた」

譲渡所得の計算手順を押さえる

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税金の土台は「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」という計算式で決まります。

譲渡所得は「売却価格」だけで決まらない

譲渡所得の計算は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引くのが基本です。

取得費には購入代金だけでなく、購入手数料、改良費、設備費などが含まれることがあります。

譲渡費用には仲介手数料など、売却のために直接かかった費用が入ります。

この3点を丁寧に拾えるかどうかで、課税対象の利益が大きく変わります。

計算の基本は国税庁の解説に沿って組み立てるのが確実です。

  • 譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)
  • 取得費=購入代金+購入手数料+改良費など
  • 譲渡費用=仲介手数料など売却に直接必要な費用
  • 根拠:国税庁 No.3202

取得費で差が出やすい項目

購入時の契約書や領収書が残っているかどうかで、取得費の精度が大きく変わります。

リフォーム費用でも、資産価値を高める改良費として扱えるか、単なる修繕費かで取り扱いが変わることがあります。

建物部分は減価償却相当額を控除して計算する場面があり、長期保有ほど影響が出ます。

迷ったら「取得に要したか」「価値を高めたか」「証拠書類があるか」を基準に整理します。

論点 ポイント
購入時資料 売買契約書・領収書の保存が重要
購入手数料 取得に伴う手数料は取得費に入る余地
改良費・設備費 価値を高める支出は計上候補
建物 減価償却相当額の控除が影響
根拠 国税庁 No.3202

譲渡費用として計上しやすい支出

譲渡費用は「売るために直接必要だった費用」が中心です。

代表例は仲介手数料で、ほかにも売却に伴う測量や広告など、取引に紐づく支出が候補になります。

一方で、引っ越し費用や家具購入など、生活に関する支出は原則として譲渡費用にはなりません。

同じ支出でも名目だけで判断せず、目的が売却に直接つながるかで線引きします。

  • 仲介手数料
  • 売却のための測量費用
  • 売買契約に直接関係する費用
  • 売却目的の取り壊し等が絡む場合は要件確認が必要

申告書類で「計算根拠」を残す

不動産売却の申告は、申告書第一表・第二表に加えて第三表(分離課税用)を使うのが基本です。

さらに、譲渡所得の計算明細として「譲渡所得の内訳書(土地・建物用)」を作成して提出します。

この内訳書は契約ごとに作るのが原則で、複数の売却があるときの集計ルールも決まっています。

税務署へ説明できる形で、契約書や領収書に基づいて数字を組み立てることが最重要です。

様式と手引きは国税庁のページから取得できます。

主な書類 申告書第一表・第二表/申告書第三表(分離課税用)
計算明細 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
手引き 譲渡所得の申告のしかた
内訳書 譲渡所得の内訳書(PDF)

特例と控除で税負担を減らすポイント

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不動産売却益の税金は、要件を満たせば特例で大きく減らせることがあり、先に適用可否を確認する価値があります。

マイホームの3,000万円特別控除を最優先で検討する

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

この控除は所有期間の長短に関係なく使える可能性があるため、節税インパクトが非常に大きい特例です。

ただし、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却など、適用できないケースもあるため要件確認が必須です。

適用可否の判断は、国税庁のNo.3302の要件をベースにチェックすると安全です。

特例を使う場合は申告が前提になるため、利益が小さくても準備を省かないことが大切です。

  • 控除額:譲渡所得から最高3,000万円
  • 対象:居住用財産(マイホーム)の譲渡
  • 要件:住んでいた事実や売却相手などの条件確認が必要
  • 根拠:国税庁 No.3302

10年超のマイホームは軽減税率の対象になり得る

マイホームを売った場合、一定の要件を満たすと軽減税率の特例を受けられることがあります。

ポイントは、売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているかどうかです。

3,000万円特別控除と軽減税率は重ねて受けられるとされており、手取り改善に直結します。

ただし、他の買換え特例などと併用不可の場面があるため、適用関係の確認が欠かせません。

特例名 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
目安条件 所有期間10年超など一定の要件
併用 3,000万円特別控除と重ねて適用可能
根拠 国税庁 No.3305

相続した空き家の3,000万円特別控除は期限と人数に注意する

相続や遺贈で取得した被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときに、一定要件を満たすと特別控除を受けられます。

適用期間が定められており、いつ売ったかで適用可否が変わるため、スケジュール管理が重要です。

さらに、相続人が3人以上の場合に控除上限が2,000万円になるなど、近年のルール変更にも注意が必要です。

売却前に、建物の状況や耐震・解体要件などの論点を含めて要件を確認します。

国税庁のNo.3306を根拠に、該当性をチェックするのが確実です。

  • 特例名:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 控除額:原則最高3,000万円(条件により2,000万円)
  • 期限:適用期間の定めがある
  • 根拠:国税庁 No.3306

特別控除の「種類」と「上限」の考え方

譲渡所得には、マイホームの3,000万円控除以外にも、公共事業や低未利用土地等に関する特別控除があります。

同一年中に複数の特例が絡む場合、控除額に合計上限があるなど、順番や限度額のルールが存在します。

特例は条件により取り扱いが変わるため、該当する可能性がある段階で早めに一覧で当たりを付けるのが有効です。

特別控除の種類は国税庁が整理しているため、まずは該当項目を確認してから詳細要件に入ります。

代表的な特別控除 3,000万円(マイホーム)/3,000万円(空き家)/5,000万円(公共事業)など
注意点 特例ごとに要件と限度が異なる
一覧 国税庁 No.3223

確定申告の書き方と必要書類

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申告は「数字の計算」と「要件を満たす証拠の添付」がセットで、どちらかが欠けると特例が通らない原因になります。

提出する申告書は「第三表」と「内訳書」が軸になる

不動産売却益は分離課税のため、申告書第三表(分離課税用)を使って所得金額と税額を計算します。

そのうえで、売却契約ごとの計算明細として譲渡所得の内訳書(土地・建物用)を作成します。

内訳書は契約書や領収書の情報を転記する設計なので、資料の整理が進んでいるほど作成がスムーズです。

申告書の記載例も国税庁が公開しているため、初めてでも型に沿って進められます。

添付書類は「売った証拠」と「買った証拠」を揃える

特例の審査では、居住実態や所有関係、取得費、譲渡費用が確認できる資料が重要になります。

売買契約書、登記事項証明書、仲介手数料の領収書など、基本書類の取り寄せに時間がかかることがあります。

取得費の根拠となる古い資料は紛失しやすいため、見つかった時点でデータ化して保管すると安心です。

添付書類の要否はケースで異なるため、手引きのチェックリストに沿って準備します。

区分
売却 売買契約書/仲介手数料領収書
取得 購入時の売買契約書/購入手数料の根拠
権利関係 登記事項証明書など
手引き 譲渡所得の申告のしかた

e-Taxは入力ミスを減らしやすい

確定申告書等作成コーナーは、画面の案内に従って入力することで申告書類を作成できます。

譲渡所得は計算が複雑になりやすく、手計算よりも入力型のほうがケアレスミスを減らしやすい傾向があります。

また、様式の最新版を取り違えると記載欄が合わず手戻りになるため、国税庁の公開ページから取得するのが安全です。

申告直前はアクセスが集中することがあるため、早めに下書きを作っておくと安心です。

特例を使うなら「要件を満たす説明」が要になる

3,000万円特別控除などは、単に数字を入れるだけでなく、要件を満たすことの説明が実務上重要です。

たとえば、マイホームであれば居住の実態、転居の事情、売却相手との関係などが論点になり得ます。

空き家特例では、相続の経緯や対象家屋の条件、売却時の状態などの確認項目が増えます。

判断が難しい場合は、先に国税庁の該当ページを読み、要件を箇条書きで照合してから作業に入ると迷いにくいです。

マイホーム特例 国税庁 No.3302
軽減税率 国税庁 No.3305
空き家特例 国税庁 No.3306

よくある失敗と注意点

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売却益の申告は、税率よりも「計算根拠の漏れ」と「特例の取り違え」で損をするケースが目立ちます。

取得費が分からず概算取得費で不利になる

購入時資料がないと、取得費を十分に主張できず、課税所得が大きく見えてしまうことがあります。

結果として、本来より税金が高くなるリスクがあるため、古い契約書や金融機関の記録を探す価値があります。

共有名義や相続絡みでは、資料が家族の手元に散らばっていることが多く、早めの回収が重要です。

まずは「購入価格」「購入手数料」「改良費」「減価償却の有無」を整理して、取れる取得費を固めます。

  • 購入時の売買契約書を探す
  • 仲介手数料や登記費用の領収書を集める
  • 改修工事の契約書・請求書を確認する
  • 根拠整理:国税庁 No.3202

所有期間の判定を「売ってから5年」で誤解する

長期か短期かは「売った年の1月1日現在」での所有期間で判定されます。

売買契約日や引渡日だけで自己判断すると、境界線で判定を誤りやすい点が落とし穴です。

短期判定になると税率が大きく上がるため、日付の扱いは慎重に確認します。

所有期間の考え方は国税庁の資料で再確認するのが安全です。

判定基準 売った年の1月1日時点の所有期間
5年超 長期譲渡所得
5年以下 短期譲渡所得
参考 国税庁 暮らしの税情報(譲渡所得)

共有名義は「自分の持分だけ」申告する

共有名義の不動産を売った場合、売却代金や取得費、譲渡費用は持分割合で按分して計算するのが基本です。

代表者がまとめて申告すればよいと誤解すると、共有者の申告漏れにつながることがあります。

共有者ごとに適用できる特例が異なる場合もあるため、同じ売却でも手続きが揃わないことがあります。

国税庁の記載例には共有の事例もあるため、型に合わせて作るとミスを減らせます。

非居住者が絡む取引は源泉徴収ルールに注意する

売主が非居住者等に当たる場合、買主側に源泉徴収義務が生じる場面があります。

源泉徴収は買主が税務署へ納付する手続きで、当事者間での資金の受け渡しにも影響します。

一方で、一定要件で源泉徴収が不要となる例外もあり、個別判断が必要です。

非居住者関係は事実認定が重要なので、国税庁の該当ページを前提に判断します。

論点 非居住者等から土地等を購入した場合の源泉徴収
誰が対応 原則として買主が源泉徴収・納付
参考 国税庁 No.2879

売却益の申告で迷ったら確認したい要点

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不動産売却益の税金は、譲渡所得の計算と、所有期間の判定と、特例の適用可否の3点でほぼ決まります。

最初に、売却価格から取得費と譲渡費用を引けるだけ引き、課税対象の利益を正確に出すことが重要です。

次に、売った年の1月1日で5年超かどうかを確認し、長期か短期かで税率の見立てを作ります。

マイホームの3,000万円控除や10年超の軽減税率、相続空き家の特例は、該当すれば効果が大きいので早めに要件照合します。

特例は「申告すること」が前提になる場合が多く、利益が小さくても手続きを省かないほうが安全です。

申告書は第一表・第二表に加えて第三表と内訳書が軸になり、契約書や領収書に基づく根拠が求められます。

境界線のケースほど、所有期間や居住実態、売却相手との関係などの事実確認が重要になります。

手引きとタックスアンサーを根拠に整理しても判断が難しいときは、売却前後の資料一式を持って税務署や税理士に相談すると手戻りを減らせます。

最後に、納付資金の準備は早めに行い、申告期限の直前に慌てないよう、下書きを先に作っておくと安心です。

根拠資料の入口として、計算は国税庁 No.3202、税率はNo.3208No.3211、特例はNo.3302No.3305No.3306を起点に確認すると迷いにくいです。