不動産の売却益にかかる税金はいつ・いくら払う?|特例と計算のコツで手取りを守れる!

光に包まれたシンプル&ミニマルなナチュラルリビング
税金

不動産を売って利益が出たのに、手元に残る金額が思ったより少なくて驚く人は珍しくありません。

理由は、売却益のすべてに税金がかかるのではなく、「譲渡所得」という計算結果に税率がかかるからです。

さらに、マイホームか投資用か、所有期間が何年か、特例を使えるかで税額が大きく変わります。

このページでは、不動産の売却益にかかる税金の計算式、税率、特例、申告の流れを一気に整理します。

不動産の売却益にかかる税金はいつ・いくら払う?

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不動産を売って利益が出た場合、原則は「譲渡所得」として計算し、分離課税で税額を決めます(参考:国税庁 No.3202)。

まず押さえるべき税金の内訳

不動産の売却益に対しては、主に所得税と住民税が関係します。

所得税には復興特別所得税が上乗せされ、合計税率で説明されることが多いです(参考:国税庁 No.3208)。

  • 所得税(復興特別所得税を含む形で計算される)
  • 住民税(翌年度に課税される)
  • 印紙税(契約書に貼付するものは別枠のコスト)

実務では「譲渡所得税」とひとまとめに呼ばれますが、中身を分けて理解すると混乱が減ります。

長期と短期で税率が変わる判定基準

税率を分ける基準は、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えるかどうかです(参考:国税庁 No.3202)。

区分 判定の考え方
長期譲渡所得 1月1日時点で所有期間が5年超
短期譲渡所得 1月1日時点で所有期間が5年以下
注意 「取得日から5年」ではなく「1月1日判定」

年末年始をまたぐだけで区分が変わることがあるため、売却時期の確認は必須です。

税金の土台になる課税譲渡所得の式

税額の前に、まず課税対象となる譲渡所得を計算します。

基本式は「売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」です(参考:国税庁 No.3208国税庁 No.3211)。

項目 内容
譲渡価額 売買代金などの収入金額
取得費 購入代金・建築費・改良費など
譲渡費用 仲介手数料など「売るために直接かかった費用」
特別控除 3,000万円控除など要件を満たす場合のみ

「売却額=利益」ではなく、取得費と譲渡費用を差し引いた残りが課税対象になる点が最重要です。

取得費で税額が大きく動く理由

取得費が大きいほど譲渡所得は小さくなり、税金も下がります。

取得費には、購入代金だけでなく建築費や購入時の諸費用などが含まれ得ます。

  • 土地の購入代金
  • 建物の建築代金(建物は減価償却の影響あり)
  • 購入時の仲介手数料や登録免許税など(取得に付随するもの)
  • 資産価値を高める改良費

レシートや契約書を整理できるかどうかが、最終的な手取り差につながります。

取得費が分からないときの5%ルール

古い不動産や相続などで取得費が分からない場合、売却額の5%を取得費として扱えることがあります(参考:国税庁 No.3258)。

考え方 取得費不明なら売却額の5%を取得費にできる
売却額3,000万円→概算取得費150万円
注意 実額が5%未満でも5%を使える場合がある

便利な救済策ですが、実際の取得費が分かるなら実額のほうが有利になりやすい点も覚えておきます。

譲渡費用になるものとならないもの

譲渡費用は「売るために直接かかった費用」で、維持管理費のような性質のものは含まれません(参考:国税庁 No.3255)。

  • 仲介手数料
  • 売主負担の印紙税
  • 立退料(賃借人に明け渡してもらうため)
  • 取壊し費用(売却のために必要な場合)
  • 名義書換料(借地権の譲渡で承諾を得るため)

固定資産税や修繕費などは、原則として譲渡費用にならないと整理しておくと判断が速くなります。

税額をざっくり見積もる最短手順

売却前後で迷ったら、先に概算で税額を出して資金繰りの見通しを作ります。

概算は「課税譲渡所得×税率」の形で十分に役立ちます(参考:国税庁 No.3208)。

手順 やること
1 売却額(譲渡価額)を確定する
2 取得費と譲渡費用を合算する
3 特例の対象かどうかを確認する
4 長期・短期を判定して税率を当てはめる

概算でも税額のオーダーが見えると、手取りのブレが小さくなります。

申告と納税のタイミングを間違えない

不動産を売った年の税金は、翌年の確定申告で申告し、納税します。

申告しないと特例が使えないケースもあるため、期限管理が重要です。

  • 売却した年分として翌年に確定申告
  • 特例適用でも申告が必要なことがある
  • 住民税は翌年度に課税されるため資金を残す

「売却代金を使い切ってから税金に気づく」を避けるため、売却直後に概算税額を別枠管理します。

税率を左右する所有期間と居住用かどうか

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税率は長期か短期かで大きく変わり、マイホームには軽減税率の枠もあります。

長期譲渡所得の税率の考え方

長期譲渡所得の税額計算は、国税庁の計算式に沿って行います(参考:国税庁 No.3208)。

区分 合計税率の目安
長期譲渡所得 20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税を含む形で説明される)
ポイント 分離課税として計算する

利益が同じでも、長期か短期かで税額が倍近く違うため、所有期間は最重要の分岐点です。

短期譲渡所得は税負担が重くなりやすい

短期譲渡所得の税額計算も、国税庁の枠組みに従います(参考:国税庁 No.3211)。

  • 合計税率の目安は39.63%とされることが多い
  • 5年以下判定は「売却年の1月1日」 기준
  • 売却タイミングで長期にできるか確認する価値が大きい

短期になるだけで手取りが大きく減るため、資金計画に直撃します。

マイホームの軽減税率で差が出る場面

一定要件に当てはまるマイホームの売却では、通常より低い税率で計算する特例があります(参考:国税庁 No.3305)。

対象 居住用財産の長期譲渡所得(一定要件)
効果 通常より低い税率で税額を計算できる
注意 適用要件の確認と申告手続きが必須

マイホーム売却は特例の当たり判定が多いので、税率の前に要件チェックを優先します。

投資用や事業用は計算の癖が違う

賃貸物件などは、建物の減価償却を踏まえて取得費を整理する必要が出やすいです。

  • 建物は保有中に減価償却が進むため取得費が目減りしやすい
  • 「居住用の特例」は原則として使えない
  • 修繕費や管理費は原則として譲渡費用にならない

投資用で利益が大きいケースほど、書類の整理と事前試算が節税より先に重要になります。

3,000万円特別控除など代表的な特例

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特例は「当てはまれば強い」一方で、要件と併用関係の見落としが起きやすい分野です。

マイホームの3,000万円特別控除の基本

居住用財産を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります(参考:国税庁 No.3302)。

特例名 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
主な効果 譲渡所得から最大3,000万円を控除
特徴 所有期間の長短に関係なく適用の余地がある
注意 要件を満たし、確定申告で手続きする

利益が3,000万円以下なら税額がゼロになる可能性もあり、最優先で検討される特例です。

軽減税率との関係を先に整理する

軽減税率はマイホームの長期譲渡所得で税率を下げる制度で、要件を満たせば検討価値があります(参考:国税庁 No.3305)。

  • 対象は「マイホーム売却」で一定要件に当てはまる場合
  • 税率の扱いが変わるため、税額計算の順序が重要
  • 要件の確認と申告がセットで必要

同じ売却でも「3,000万円控除だけ」なのか「控除+軽減税率」なのかで税額が別物になります。

相続した空き家の特別控除の要点

相続または遺贈で取得した被相続人の居住用財産を一定期間内に売った場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります(参考:国税庁 No.3306)。

対象 被相続人居住用家屋またはその敷地等を一定期間内に譲渡
控除額 最高3,000万円(一定条件で2,000万円となる場合あり)
期限 制度上の対象期間が定められている
注意 要件が細かく、確認書類も必要になりやすい

実家の売却で使われやすい特例なので、相続後の売却スケジュールと合わせて検討します。

公共事業での収用など例外的に大きい控除

収用等で土地建物を譲渡した場合に、譲渡所得から最高5,000万円を控除できる特例があります(参考:国税庁 No.3552)。

  • 対象は「収用等」による譲渡などの限定的な場面
  • 同じ公共事業で年をまたぐと適用関係に注意が必要
  • 選択すると他の特例との関係が出ることがある

該当するなら税額が大きく変わるため、通知書類が来た段階で早めに確認します。

申告でつまずきやすい書類と計算ポイント

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売却益の税金は、計算よりも「資料が揃わない」「何を入れてよいか分からない」で止まりがちです。

最低限そろえたい書類の全体像

確定申告では、譲渡所得の内訳書や売買契約書など、根拠資料の整理が重要です。

書類 用途
売買契約書 譲渡価額・日付の確認
購入時の契約書 取得費の確認
仲介手数料の領収書 譲渡費用の根拠
登記事項証明書 所有期間や不動産の特定

特例を使う場合は追加資料が求められることがあるため、制度ごとのチェックも必要です。

建物の減価償却で取得費がずれる

建物は時間経過で価値が減る扱いになり、税務上は減価償却を踏まえて取得費を考える場面があります。

  • 土地は減価償却しないが建物はする
  • 賃貸や事業利用があると影響が出やすい
  • 取得費の内訳が曖昧だと過大・過小計算になりやすい

土地と建物を分けて資料を揃えるだけで、計算の迷子が減ります。

共有名義は持分ごとに課税が分かれる

夫婦や親子の共有名義で売った場合、譲渡所得は原則として持分割合で按分して計算します。

論点 押さえる点
所得の帰属 持分割合に応じて各人の譲渡所得
申告 各人が確定申告する場面が多い
注意 名義と実態がずれると説明が必要になり得る

共有は特例の判定も人ごとになることがあるため、最初に名義を確認します。

分離課税なので他の控除と感覚が違う

土地建物の譲渡所得は、基本的に分離課税として計算します(参考:国税庁 No.3202)。

  • 給与所得と税率計算の土俵が違う
  • 「損益通算できるかどうか」は特例の有無で変わる
  • ふるさと納税の上限などにも影響し得る

いつもの確定申告の感覚で進めるとズレやすいので、譲渡所得は別枠で整理します。

赤字でも損しないための損益通算と繰越控除

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不動産を売って損が出た場合でも、状況によっては給与所得などと相殺できる制度があります。

住宅ローンが残るマイホーム売却損の特例

一定期間内などの条件のもとで、住宅ローンのあるマイホームをローン残高を下回る価額で売って損失が出た場合に、損益通算や繰越控除が認められることがあります(参考:国税庁 No.3390)。

できること 譲渡損失を他の所得と損益通算
追加効果 控除しきれない損失を最長3年繰越控除
重要 「一定の要件」を満たすことが前提

損が出たから申告しないのではなく、損が出たときほど制度の当たり判定が重要です。

損益通算できない損失も多い

不動産売却の損失は、すべてが他の所得と相殺できるわけではありません。

  • 対象外の資産や取引形態だと損益通算できないことがある
  • マイホーム関連でも要件を外すと使えない
  • 制度の入口判定が最初の壁になる

損失が出たときは「どの特例に該当するか」を先に確認すると判断が速いです。

繰越控除のために必要な手続き

繰越控除は自動で適用されず、所定の記載や書類添付をした確定申告が必要です(参考:国税庁 No.3393)。

ポイント 内容
初年度 損失が出た年に申告して制度適用を選ぶ
翌年以降 繰越控除を続けるために申告を継続する
書類 明細書や残高証明書などが求められ得る

申告を1年でも空けると繰越が途切れるリスクがあるため、年次の運用が重要になります。

特例の併用制限も見落としやすい

大きい節税になる特例ほど、併用できない制度や期間制限が設定されていることがあります。

  • 3,000万円控除の適用後は住宅ローン控除の扱いに注意が必要とされる
  • チェックシートや注意書きで事前確認する
  • 迷ったら適用順序を含めて整理する

制度の注意点は国税庁のチェック資料にも示されているため、条件に近い場合は確認が有効です(参考:国税庁資料)。

今日からできる税負担の整理ポイント

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最初にやるべきことは、売却益の税金を「譲渡所得の計算」と「特例の当たり判定」に分解することです。

次に、所有期間の判定日が売却年の1月1日である点を押さえ、長期・短期の分岐を確定させます(参考:国税庁 No.3202)。

取得費と譲渡費用は、証拠書類があるかどうかで選べる選択肢が変わるため、契約書と領収書を先に集めます。

マイホームや相続空き家は特例が多いので、要件を満たしそうならチェック表や国税庁解説で確認し、申告で確実に取りに行きます(参考:国税庁 No.3302国税庁 No.3306)。

最後に、納税資金を売却代金から先取りして確保し、翌年の確定申告までの資金繰りを崩さない設計にします。