不動産を個人間で売却する方法|仲介なしでも安全に進める要点がつかめる!

グレーソファと木製家具で統一されたナチュラルなリビングダイニング
法務

不動産を個人間で売却したいと考える人は、仲介手数料を抑えたい気持ちが強いはずです。

一方で、仲介を外すほど「確認漏れ」が損失に直結しやすいのも不動産取引の特徴です。

個人間売買は違法ではありませんが、契約書や登記、税金まで自分たちで整える前提になります。

本記事では、個人間売買の進め方を段取りで理解し、トラブルを避ける実務ポイントを整理します。

不動産を個人間で売却する方法

自然光が差し込む木製家具が映えるナチュラルカントリー風のリビングダイニング

個人間売買は「仲介を使わない売買」なので、手続きそのものは通常の売買と同じ要素で進みます。

違いは、物件調査や条件整理、書面作成を誰が担うかが当事者側に寄る点です。

最初に流れを固定し、必要書面と決済手順を先に押さえると事故が減ります。

個人間売買が向くケース

買主と売主の関係性が明確で、条件交渉が整理しやすいほど向きます。

ローン利用や境界不明などの不確定要素が多いと、外部の専門支援が必要になります。

「安くできる」より「揉めずに終える」を優先すると判断しやすくなります。

  • 親族間や知人間で合意形成が早い
  • 物件の状態が把握できている
  • 境界や権利関係が整理済み
  • 決済日程を柔軟に組める

全体の進行フロー

工程は大きく分けて、条件合意、契約、決済、登記、申告の順で進みます。

決済と登記は同日にまとめると、お金と名義のズレを防げます。

各工程で「誰が何を用意するか」を表にして共有するのが有効です。

工程 合意→契約→決済→登記→申告
合意で決めること 価格/引渡日/付帯設備/境界
契約で固めること 手付/違約金/契約不適合責任
決済で行うこと 残代金/固定資産税精算/鍵引渡
登記で行うこと 所有権移転/抵当権抹消の確認

仲介がいなくても必要な書面

重要事項説明は宅地建物取引業者に課される制度なので、個人同士では義務が自動発生しません。

ただし、説明が不要という意味ではなく、リスク説明を契約書や資料で代替する必要があります。

宅地建物取引業法の重要事項説明の位置づけは、条文で確認できます。

  • 売買契約書
  • 物件状況確認書
  • 付帯設備表
  • 境界確認資料や測量図
  • 登記事項証明書

e-Gov法令検索(宅地建物取引業法)

専門家を入れる判断ライン

個人間売買でも、司法書士や土地家屋調査士などを部分的に使うと安全性が上がります。

費用は増えますが、揉めた場合の時間損失を抑えやすくなります。

特に登記と境界は、第三者関与が効きやすい領域です。

状況 入れたい専門家
境界が曖昧 土地家屋調査士
登記が不安 司法書士
税負担が大きい 税理士
書面の整合性が不安 宅建士のチェック

個人間売買で起きやすいトラブルの本質

木製ダイニングと明るい窓際が印象的なナチュラルテイストのLDK

トラブルは「知らなかった」「言った言わない」「資料がない」の三つに集約しやすいです。

仲介がいる取引では、調査や説明が標準化されますが、個人間では抜けやすくなります。

事前に論点を棚卸しし、書面化で摩擦を減らすのが現実的です。

契約不適合責任が争点になりやすい

引渡し後に雨漏りや設備故障が発覚すると、責任の範囲が争点になります。

売主が知っていた不具合と、知らなかった経年劣化を分けて整理する必要があります。

付帯設備表と物件状況確認書で「現況」と「免責範囲」を具体化します。

  • 雨漏りやシロアリの有無
  • 給湯器やエアコンの動作
  • 過去の修繕履歴
  • 近隣からの苦情や越境

境界と越境は後から直しにくい

境界杭が見当たらない土地は、引渡し後に測量費や立会いで揉めやすいです。

隣地とのブロック塀や樹木の越境は、解決まで時間がかかりがちです。

測量図や境界確認の状況を、契約前に共有するのが安全です。

論点 確認のしかた
境界杭 現地で位置確認
確定測量 測量図の有無を確認
越境 塀/屋根/樹木の状態確認
道路 接道状況と通行の権利

代金の受け渡しで不安が増幅する

個人間では、振込タイミングと鍵の引渡しの順序で不信感が生まれやすいです。

決済日に同席者を置き、手続き順を事前合意すると落ち着きます。

可能なら「登記申請の受付」と「残代金支払い」を同日に並べます。

  • 残代金の振込時刻を決める
  • 固定資産税等の精算方法を決める
  • 鍵と関係書類の受領確認を作る
  • 領収書の作成ルールを決める

引渡し条件の曖昧さが後悔につながる

「何を置いていくか」「いつまでに退去するか」が曖昧だと揉めやすいです。

残置物やリフォームの要否は、口約束にせず契約書に落とします。

買主の利用開始日から逆算し、現実的な引渡し日を設定します。

項目 書面化の例
残置物 撤去範囲と期限
付帯設備 残す物と撤去物
引渡し日 鍵引渡しの時刻
現況 現況渡しの明記

売買契約書を作るときの必須項目

壁掛けテレビと観葉植物がある明るいリビングインテリア

個人間売買では、契約書が実務の中心になります。

後から追加合意が必要になる点は、最初から条項として入れておく方が安全です。

税務上も、契約書の記載金額や日付が根拠になります。

最低限入れたい条項の骨格

契約書は法律用語の巧さより、論点が漏れていないことが重要です。

迷う条項は「判断の基準」を文章で残すと揉めにくくなります。

特約は短いほど良く、条件と期限をセットで書きます。

条項 要点
売買代金 金額と支払方法
手付金 額と解除条件
引渡し 日付と現況渡し
負担の精算 固定資産税等の精算
契約不適合 範囲と期間
違約金 解除時の取り扱い

印紙税は契約書の金額で決まる

不動産の売買契約書は印紙税の課税文書に該当し、契約金額で税額が変わります。

印紙税額の一覧や、不動産譲渡に関する契約書の軽減措置は国税庁で確認できます。

作成日や記載方法で扱いが変わるため、最新の案内で条件を照合します。

  • 契約金額の記載があるかを確認
  • 契約書の作成日を明記する
  • 印紙の貼付と消印を行う
  • 電子契約は印紙が不要になる場合がある

国税庁(不動産の譲渡に関する契約書の印紙税)

国税庁(印紙税額の一覧表)

国税庁(不動産譲渡契約書の軽減措置)

手付金と解除条件は具体的に書く

手付は、単なる前払いではなく、解除や違約のルールと結び付きます。

解除できる期限と、解除時の返還方法を決めておくと争点が減ります。

支払方法が振込なら、振込手数料の負担者も明確にします。

  • 手付解除ができる期限
  • ローン利用の有無と条件
  • 違約金の額の基準
  • 解除時の原状回復の扱い

特約は条件と期限をセットにする

特約は「何が満たされないとどうなるか」を短く書くのが基本です。

買主の資金調達や、売主の引越し都合など、実務に合わせて設計します。

曖昧な表現は、将来の解釈争いを生みます。

特約テーマ 書き方の方向性
ローン特約 期限/否認時解除/証明方法
測量 確定測量の実施者/費用負担
残置物 撤去対象/期限/違反時対応
引渡延期 延期条件/日割り費用の扱い

登記と決済を安全に進める段取り

木目テーブルとブルーキャビネットが映える北欧モダンなキッチン空間

名義が変わらない限り、実務上の「売却完了」とは言い切れません。

決済と登記を同日に並べ、書類不備を潰してからお金を動かすのが基本です。

法務局の案内や様式を活用すると、準備の抜けを減らせます。

所有権移転登記までの流れ

登記は申請主義なので、買主側の主導で進むケースが多いです。

ただし、売主の協力書類が揃わないと申請できません。

決済日を決めたら、必要書類の収集を先に始めます。

  • 登記事項と権利関係の確認
  • 必要書類の準備
  • 決済日に残代金の支払い
  • 同日に登記申請を行う

法務局(不動産登記申請手続)

登録免許税は課税標準で計算する

所有権移転登記には登録免許税がかかり、課税標準と税率で計算します。

税額は登記原因や種類で変わるので、法務局資料で前提を合わせます。

見積り段階で税負担を把握すると、決済資金に余裕が出ます。

税目 登録免許税
対象 所有権移転登記等
確認先 法務局の計算資料
注意 原因で税率が変わる

法務局(登録免許税の計算資料)

決済日に必要になりやすい書類

個人間でも、決済日に必要な書類の種類は基本的に変わりません。

不足があると登記申請が止まり、残代金の支払い判断が難しくなります。

最低限のチェックリストを作り、事前に突合します。

  • 登記識別情報または権利証
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 固定資産評価証明書等
  • 本人確認書類

法務局の案内を使って不備を減らす

登記申請に不安がある場合は、法務局の案内や様式を参照できます。

対面での手続案内は時間や予約制の条件があるため、先に確認します。

様式を見ながら必要項目を埋めると、書き漏れが減ります。

支援 確認先
申請書様式 法務局の様式ページ
手続案内 法務局の案内ページ
注意点 予約制や時間制限がある

法務局(不動産登記の申請書様式)

法務局(登記手続案内)

税金と申告のポイント

白とネイビーのソファが主役のスタイリッシュなオープンリビング

売主は譲渡所得の申告が必要になる可能性があり、買主は取得後に税負担が発生することがあります。

特例の適用可否で税額が大きく変わるため、条件を早めに確認します。

計算式と根拠を国税庁情報で押さえると、判断がぶれにくくなります。

譲渡所得の基本式を先に固定する

譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

取得費が不明な場合の扱いなど、例外ルールもあるため注意が必要です。

国税庁の計算方法を基準に整理すると安全です。

収入金額 不動産を売った金額
取得費 購入代金等と改良費等
譲渡費用 売るために直接かかった費用
譲渡所得 収入金額-取得費-譲渡費用

国税庁(譲渡所得の計算のしかた)

取得費と譲渡費用の集め方が税額を左右する

取得費に入る支出と、譲渡費用に入る支出を分けて記録します。

契約書や領収書がないと説明が難しくなるため、保管が重要です。

国税庁の定義に沿って、該当しそうな支出を洗い出します。

  • 購入代金や建築代金
  • 購入手数料や設備費
  • 測量費や解体費
  • 売買契約書の印紙代

国税庁(取得費となるもの)

国税庁(譲渡費用となるもの)

マイホームは3,000万円特別控除の可能性がある

居住用財産の売却では、要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

適用可否は居住実態や売却の状況で変わるため、要件確認が必須です。

制度の概要と要件は国税庁で確認できます。

  • 居住用財産としての要件を確認
  • 適用できない例外を確認
  • 必要書類を申告前に揃える
  • 特別控除の種類も把握する

国税庁(マイホームを売ったときの特例)

国税庁(譲渡所得の特別控除の種類)

確定申告までの実務段取り

売却した年の翌年に確定申告が必要になるケースが多いです。

特例を使う場合でも申告が前提になることがあるため、油断は禁物です。

必要書類が揃わないと期限に間に合わないので、売却直後から整理します。

時期 やること
契約後 契約書と領収書の保管
決済後 精算書や費用証憑の整理
年明け 譲渡所得の計算と要件確認
申告期 申告書提出と納税

個人間での不動産売却は準備が9割になる

木目テーブルとブルーキャビネットが映える北欧モダンなキッチン空間

不動産を個人間で売却するなら、流れを固定し、論点を先に書面化することが最重要です。

契約書は「後で揉める場所」を先回りして埋める道具として設計します。

決済と登記を同日に並べ、書類不備を潰してからお金を動かすと安全性が上がります。

税金は計算式と特例要件を早めに確認し、証憑を残して申告まで一気に完了させます。