不動産を売却して確定申告が必要になったとき、「登記事項証明書(登記簿謄本)は提出するのか」と迷う人は多いです。
結論から言うと、全員が必ず添付する書類ではなく、申告内容や特例の適用によって必要性が分かれます。
一方で、提出が不要でも、計算の根拠や所有者情報の確認のために手元に用意しておくと手続がスムーズです。
本記事では、どの場面で登記事項証明書が必要になり、どう取得して、確定申告でどう使うかを具体的に整理します。
不動産売却の確定申告で登記事項証明書が必要になるケース
登記事項証明書が必要かどうかは、「譲渡所得の申告をするだけ」なのか、「税制上の特例を使うのか」で大きく変わります。
国税庁も、特例の適用を受ける場合に添付が必要になる書類を整理して示しています。
まずは自分がどのケースに当てはまるかを確認し、必要なときだけ漏れなく準備するのが最短です。
特例を使う申告では添付が求められやすい
譲渡所得の申告には、特例の適用を受けることで税負担が大きく変わる場面があります。
特例を使う場合は、申告書に添付する書類として登記事項証明書が必要になることがあります。
| 確認ポイント | 申告書で特例欄を使うか |
|---|---|
| 必要になりやすい理由 | 対象資産の同一性や要件確認が必要 |
| 参考 | 国税庁(譲渡所得関係 申告書添付書類) |
特例の種類ごとに必要書類が異なるため、該当ページで要件と添付書類を必ず突合してください。
マイホーム特例でも要件次第で必要になる
マイホームの譲渡に関する特例は種類が複数あり、適用要件の確認が細かいのが特徴です。
国税庁の「添付書類として提出しなければならない書類」でも、特例ごとに必要書類が整理されています。
- 特例の名称が似ていて取り違えやすい
- 「添付が必要な場合」と「提示を求められる場合」が混在しやすい
- 申告ソフトの案内だけで判断すると漏れが出る
迷ったら、特例名を特定してから添付書類の一覧に戻るのが確実です。
収用や買換えのようなケースは登記書類が重視される
収用に伴う代替資産の取得や、一定の買換え特例では、譲渡資産や買換資産の登記書類が添付対象になりやすいです。
添付書類等一覧表でも、登記事項証明書が明示されている項目があります。
| 場面 | 収用・買換え等の特例 |
|---|---|
| 登記書類の位置づけ | 資産の特定と要件確認の根拠 |
| 参考資料 | 国税庁(資産税関係添付書類等一覧表 PDF) |
このタイプは添付漏れがそのまま要件不充足の疑いにつながるため、早めに揃えるのが安全です。
登記事項証明書の添付が省略できる条件がある
登記事項証明書が「必要な場合」とされていても、提出方法や状況により添付を省略できる扱いが案内されることがあります。
国税庁の解説でも、特例の申告で登記事項証明書の添付が必要な場合の「添付省略」について説明があります。
- 省略できるのは無条件ではない
- 対象となる特例や提出方法の条件がある
- 省略の可否は年度の案内も確認する
判断材料として、国税庁の該当ページを必ず確認してください。
添付が不要でも「手元に置く価値」は高い
登記事項証明書が添付不要のケースでも、税務署からの照会に備えて準備しておくと安心です。
また、売却した不動産の表示や持分、権利関係の整理にも役立ちます。
| 手元に置く目的 | 物件の特定、持分確認、名義確認 |
|---|---|
| 税務対応 | 問い合わせ時の根拠資料として提示しやすい |
| 実務上のメリット | 契約書や領収書と突合しやすい |
特に共有名義や相続が絡む売却では、確認コストを下げる資料として有効です。
最初に確認すべき公式チェック先
必要性の判断は、民間サイトの一般論よりも、国税庁の「譲渡所得関係の添付書類」から当てはめるのが確実です。
年度ごとの手引やチェックシートも公開されているため、該当年分を見てください。
まずはこの3つを見て、該当する特例名と添付書類の組み合わせを特定しましょう。
登記事項証明書の基本を押さえる
登記事項証明書は、法務局が管理する登記情報を「証明文・公印等を付して」証明する書類です。
似たサービスに登記情報提供サービスがありますが、用途と効力が異なるため混同しないことが重要です。
確定申告で求められるのは、原則として「証明力のある書類」側だと理解しておくと判断が安定します。
登記事項証明書で確認できる情報
登記事項証明書には、所在・地番や家屋番号などの表示、権利部(甲区・乙区)などが記載されます。
売却物件がどれか、名義や持分がどうなっているかを文章で確認できるのが強みです。
- 不動産の表示(所在・地番など)
- 所有権の名義、持分
- 抵当権などの権利関係
- 変更履歴の有無(種類による)
確定申告では、物件の特定と要件確認の裏付けとして使われることが多いです。
「全部事項」と「現在事項」の使い分け
登記事項証明書には種類があり、履歴を含めるかどうかで内容が変わります。
どれが必要かは、添付を求める側(国税庁の案内や税務署の指示)に合わせます。
| 種類 | 全部事項/現在事項など |
|---|---|
| 違いの軸 | 履歴情報を含むか |
| 迷いやすい点 | 名称が似ていて選択ミスが起きる |
添付が必要なケースでは、要求されている名称どおりに取得するのが無難です。
登記情報提供サービスは「証明書」ではない
登記情報提供サービスは、登記所が保有する情報をインターネット経由で閲覧するサービスです。
ただし、サービス概要でも「登記事項証明書とは異なり、証明文や公印等は付加されない」と明記されています。
| 位置づけ | 閲覧と同等のサービス |
|---|---|
| 違い | 証明文・公印等が付かない |
| 参考 | 登記情報提供サービス(サービス概要) |
確定申告の「添付書類」として求められた場合は、原則として登記事項証明書を用意するのが安全です。
照会番号で代替できる場面があるが要確認
登記情報提供サービスには照会番号が付くタイプがあり、行政機関等で確認に使える場合があります。
ただし、利用できるかどうかは提出先の運用次第なので、勝手に代替しないことが重要です。
- 照会番号の有効期限がある
- 受領側が照会できる体制かで可否が変わる
- 税務手続での扱いは事前確認が安全
証明力の扱いは自治体のFAQでも注意喚起があるため、誤解しないようにしましょう。
登記事項証明書の取得方法と費用
登記事項証明書は、法務局の窓口だけでなく、オンライン請求や郵送請求でも取得できます。
急ぎか、移動を避けたいか、複数通必要かで手段を選ぶと効率的です。
オンライン請求は便利ですが、注意点もあるため要点を押さえましょう。
窓口で請求する流れ
法務局の窓口では、申請書に物件情報を記入して交付請求します。
初めてでも案内があるため難易度は高くありませんが、混雑すると時間がかかる点に注意が必要です。
- 管轄外の法務局でも取得できる場合がある
- 地番や家屋番号が分からないと手戻りしやすい
- 必要通数を事前に決めておく
物件情報が不明な場合は、売買契約書や登記識別情報通知など手元資料で補ってください。
オンライン請求は手数料面のメリットがある
法務局は、登記事項証明書等の請求はオンライン手続が便利だと案内しています。
案内ページでは、窓口請求よりオンライン請求のほうが手数料が安くなる例が示されています。
| 受取方法 | 郵送/窓口受取(制度上の選択) |
|---|---|
| ポイント | 窓口請求より手数料が安くなる場合がある |
| 参考 | 法務局(登記事項証明書等の請求にはオンラインが便利) |
費用が変わる条件は案内に従い、最新の手数料は公式情報で確認してください。
オンライン請求でも「電子の証明書」が届くわけではない
オンライン請求は、登記事項証明書をネットで申請できる仕組みです。
ただし法務省は、電磁的な登記事項証明書がオンラインで交付されるのではなく、郵送等または窓口受取になると明記しています。
- 申請はオンラインでできる
- 受取は郵送または窓口になる
- 提出先の「原本」要件に対応しやすい
「PDFが欲しい」目的なら登記情報提供サービスのほうが近いですが、証明力が別物なので目的で使い分けます。
利用する公式システムと入口
オンライン請求は、法務省の登記・供託オンライン申請システムから案内されています。
請求の導線や対応手続は整理されているため、公式サイトから入るのが安全です。
| 公式入口 | 登記・供託オンライン申請システム |
|---|---|
| 案内ページ | 法務省(オンラインによる交付請求の注意点) |
| 補足 | 法務局(オンライン申請のご案内) |
偽サイトや手数料の誤情報を避けるため、ブックマークは公式ページにしておくと安心です。
確定申告で登記事項証明書をどう使うか
不動産売却の確定申告は、譲渡所得として申告し、必要に応じて特例を適用します。
登記事項証明書は「計算」そのものより、「対象資産の証明」や「要件確認」の裏付けとして位置づくことが多いです。
ここでは、申告全体の流れの中での登記事項証明書の役割を整理します。
まずは「譲渡所得関係の添付書類」を基準にする
譲渡所得の申告は、特例の有無で必要書類が変わります。
国税庁は譲渡所得関係の申告書添付書類を一覧化しているため、まずそこを基準にします。
| 基準にする理由 | 特例別に必要書類が明確 |
|---|---|
| 見方 | 特例名を確定し、該当行の書類を揃える |
| 参考 | 国税庁(申告書添付書類) |
「売却したら一律で登記事項証明書が必要」と覚えるより、特例ベースで判断したほうがミスが減ります。
売買契約書や領収書のほうが中心になる場面も多い
譲渡所得の計算では、売却代金、取得費、譲渡費用が主要要素になります。
そのため、売買契約書の写しや取得費・譲渡費用の領収書類が中心資料になるケースも多いです。
- 売却時の売買契約書(写し)
- 取得時の売買契約書(写し)
- 仲介手数料など譲渡費用の領収書
- 取得費を裏付ける請求書や領収書
登記事項証明書はこれらの「対象物件が何か」を補助的に支える資料として機能します。
特例適用の申告では登記事項証明書が添付対象になりやすい
特例を使う場合、登記事項証明書が申告書の添付書類として指定されることがあります。
国税庁のQ&Aでも、登記事項証明書の添付が必要な場合や、添付省略の考え方が示されています。
| 論点 | 登記事項証明書の添付が必要か |
|---|---|
| 判断材料 | 特例の種類と提出方法 |
| 参考 | 国税庁(登記事項証明書の添付省略) |
「省略できるかもしれない」を前提に準備を止めると危険なので、原則は用意し、該当条件でのみ省略する発想が安全です。
e-Taxの場合も「添付不要」だと決めつけない
e-Taxでは添付書類の提出方法が紙提出と異なることがあります。
ただし、だからといって登記事項証明書が不要になるとは限らず、特例や提出方法の条件次第です。
- 電子データで提出できる書類とできない書類がある
- 別途提出や提示が求められる運用があり得る
- 最終判断は国税庁の案内と税務署の指示で行う
申告の年分に対応した国税庁の手引を確認し、提出方法のルールも含めて判断しましょう。
入手できない・間違えたときの対処
確定申告は期限があるため、登記事項証明書の取得でつまずくと全体が遅れます。
よくあるつまずきは「種類の選び間違い」「物件情報が分からない」「オンライン請求の誤解」です。
ここではリカバリーの考え方を整理します。
種類を取り違えたときは「要求されている名称」に戻る
全部事項か現在事項かなど、取得した証明書の種類が違うと再取得になることがあります。
特例の添付書類として求められている場合は、国税庁の一覧や指示で指定された名称を優先してください。
| 優先順位 | 税務署の指示 > 国税庁の一覧 > 一般的な慣習 |
|---|---|
| やり直しのコツ | 特例名を確定してから証明書種類を選ぶ |
| 参考 | 国税庁(譲渡所得関係 添付書類) |
迷ったまま複数種類を取るより、必要要件を確定してから1回で取るほうが結果的に早いです。
地番や家屋番号が分からないときの手掛かり
オンライン請求や窓口請求では、物件を特定する情報が必要になります。
手元資料から手掛かりを拾うと、法務局での確認がスムーズです。
- 売買契約書の物件表示
- 重要事項説明書の物件情報
- 固定資産税納税通知書の記載
- 登記識別情報通知など登記関連書類
住所と地番は一致しないことがあるため、住所だけで突っ込まないのがポイントです。
登記情報提供サービスで代替しようとしてしまう
急ぎでネット入手したいときに、登記情報提供サービスのPDFで代替できると思いがちです。
しかしサービス概要で、証明文や公印等が付加されない点が明示されているため、原則は証明書の代替になりません。
| よくある誤解 | PDFならそのまま提出できる |
|---|---|
| 実際 | 証明文・公印がなく証明書とは別物 |
| 参考 | 登記情報提供サービス(サービス概要) |
どうしても代替したいときは、提出先が照会番号運用に対応しているかを事前に確認してください。
必要性を見極めて、確定申告の準備を最短にしよう
不動産売却の確定申告で登記事項証明書が必要かどうかは、申告内容と特例の有無で決まります。
判断は国税庁の譲渡所得関係の添付書類一覧から行い、該当する特例名と必要書類を先に特定すると迷いが減ります。
取得は窓口・郵送・オンライン請求があり、オンラインでも受取は郵送や窓口になる点を押さえると手戻りを防げます。
登記情報提供サービスは便利ですが証明書ではないため、添付書類として求められたときは原則として登記事項証明書を用意するのが安全です。
迷ったら、特例の要件と添付書類を公式情報で突合し、期限から逆算して早めに取得しておきましょう。

