不動産を売却するときのローン返済の流れ|決済日までに何を準備すれば安心?

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手続き

住宅ローンが残っている不動産でも、売却自体は可能です。

ただし売却代金でローンを完済して抵当権を外さない限り、原則として買主へ所有権を移せません。

そのため実務では、売買の決済日に「残代金の受領→ローン一括返済→抵当権抹消の手配」を同日にまとめて行います。

本記事では、事前準備から決済当日の動き、残債が足りない場合の選択肢までを、手順がブレない形で整理します。

  1. 不動産を売却するときのローン返済の流れ
    1. 最初にやることは残債と完済必要額の確定
    2. 売却価格だけで完済できるかを早期に判定する
    3. 売買契約と決済日の設計で返済手続きが決まる
    4. 決済日に売却代金から一括返済して抵当権を外す
    5. 完済後に行うのは抹消完了の確認と税務の準備
  2. 売却前に押さえるローン残高と抵当権の基本
    1. 抵当権が残ると原則として売却の引渡しができない
    2. ローン残高は返済予定表だけで判断しない
    3. 完済金の支払い方法は「振込」か「口座引落」かで段取りが変わる
    4. 抵当権抹消は「金融機関の書類」と「登記申請」で成立する
  3. 売買契約から決済当日までの段取り
    1. 売買契約後に決済日を確定し金融機関へ完済手続きを依頼する
    2. 決済当日の参加者と役割を先に固定する
    3. 決済当日の資金の流れを具体化して不足を潰す
    4. 決済後に行う引渡しと手続き完了の確認
  4. 売却代金で完済できないときの現実的な選択肢
    1. 自己資金で不足分を補填して完済する
    2. 住み替えローンで残債をまとめる
    3. つなぎ融資でタイミング差を埋める
    4. 任意売却を検討する
  5. 抵当権抹消の必要書類と費用を具体化する
    1. 金融機関から受け取る書類のイメージを持つ
    2. 登録免許税は不動産の個数で決まる
    3. 司法書士報酬は相場ではなく見積もりで確認する
    4. 抹消が完了したかは登記事項証明書で必ず確認する
  6. ローン返済が絡む売却で失敗しないための実務ポイント

不動産を売却するときのローン返済の流れ

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住宅ローンが残る売却は、決済日に完済できる状態を作ることが最大のポイントです。

全体像を先に押さえると、段取りミスや当日の資金不足を避けやすくなります。

最初にやることは残債と完済必要額の確定

売却の相談を始めたら、ローン残高と完済に必要な金額を早めに確定します。

毎月の返済額とは別に、利息精算や手数料が加わる場合があるためです。

金融機関へ「完済予定日ベースの返済額」を照会し、決済日に合わせて再計算できるようにしておきます。

残高証明書や返済予定表は確認材料になりますが、最終的には金融機関の案内額を優先します。

  • ローン残高の確認
  • 完済日を仮決め
  • 完済時の手数料の有無
  • 利息精算のルール

売却価格だけで完済できるかを早期に判定する

査定額を見たら、売却代金で完済できるかをすぐに判定します。

完済できない場合は、自己資金の補填やローン組み替え、任意売却の検討など、戦略が変わります。

ここを曖昧にしたまま媒介契約や売買条件を進めると、契約後に詰みやすくなります。

手元に残る金額は「売却代金−ローン完済額−諸費用」の順で引いて現実的に計算します。

確認項目 売却代金見込み
差し引くもの 完済必要額(元金+利息精算+手数料)
差し引くもの 仲介手数料・登記費用・精算金など
判定 不足が出るか/手残りが出るか

売買契約と決済日の設計で返済手続きが決まる

ローン返済の実務は、決済日を軸に逆算して組み立てます。

決済日は買主のローン実行日と連動しやすく、金融機関が混む日程もあるため余裕が必要です。

売主側は、決済日に完済できるように「完済金の振込方法」「必要書類の受領」「担当者の同席」を金融機関と調整します。

不動産会社と司法書士が入る前提で、当日の役割分担を先に決めておくとスムーズです。

  • 決済日を先に固める
  • 売主側の金融機関へ完済手続き相談
  • 抹消書類の受け渡し方法の確認
  • 当日の集合場所と時間の調整

決済日に売却代金から一括返済して抵当権を外す

一般的なケースでは、決済日に買主から残代金が支払われ、その資金でローンを一括返済します。

金融機関が入金を確認できると、抵当権抹消に必要な書類が出され、司法書士が抹消登記を申請します。

売主の手元には、完済分と諸費用を差し引いた残額が入金されます。

決済当日の進行は金融機関の段取りに左右されるため、時間には余裕を見ておくのが現実的です。

タイミング 買主融資実行・残代金の送金
タイミング 売主ローンの完済金支払い
同時進行 所有権移転・抵当権抹消の登記申請
最後 鍵・書類の引渡しと領収書授受

完済後に行うのは抹消完了の確認と税務の準備

登記申請は当日でも、登記完了は後日になることがあります。

抹消が完了しているかは、登記事項証明書で確認できます。

また、売却で譲渡所得が出る場合は、翌年の確定申告が必要になることがあります。

ローンの返済と税金計算は別物なので、手元資金を二重に使わないよう整理します。

  • 登記事項証明書で抹消の反映を確認
  • 売買契約書や精算書を保管
  • 譲渡所得の見込みを試算
  • 必要なら税理士へ早めに相談

売却前に押さえるローン残高と抵当権の基本

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ローン返済の流れを理解するには、抵当権が何を意味するかが前提になります。

ここを曖昧にすると、売却できない原因を見落としやすくなります。

抵当権が残ると原則として売却の引渡しができない

住宅ローンでは、多くの場合、不動産に抵当権が設定されています。

抵当権が残ったままだと、買主は担保付きの不動産を引き受ける形になり、通常の売買が成立しにくくなります。

そのため実務では、決済日に完済して抵当権を外す段取りが標準になります。

例外として任意売却などがありますが、金融機関の同意が必要になります。

  • 抵当権=金融機関が担保として登記している状態
  • 抹消には原則として完済が必要
  • 抹消は司法書士が手配することが多い
  • 例外は任意売却などの同意案件

ローン残高は返済予定表だけで判断しない

返済予定表やアプリ表示は便利ですが、決済日に必要な完済額とは一致しないことがあります。

利息の計算単位や、完済手続きに伴う事務手数料が影響するためです。

金融機関に「完済日を指定した返済額」を出してもらい、決済日がズレた場合の再計算方法も確認します。

繰上返済の手数料は金融機関や金利タイプで変わるため、規約や手数料表で確認しておくと安心です。

確認先 借入先の金融機関
確認したい内容 完済日指定の返済必要額
注意点 手数料・利息精算・振込方法
参考 金融機関の手数料表は銀行ごとに異なる

完済金の支払い方法は「振込」か「口座引落」かで段取りが変わる

完済の方法は金融機関の運用で異なり、当日振込が必要な場合もあります。

買主からの入金を受けてから売主が振り込む場合は、入金確認の時間も含めた工程管理が重要です。

一方、口座引落型なら、完済日の前に資金を口座へ用意しておく必要があります。

住宅金融支援機構の全額繰上返済のように申込期限が定められていることもあるため、借入形態に応じて早めに確認します(例:住宅金融支援機構の案内)。

  • 当日振込型は銀行窓口の進行に影響されやすい
  • 口座引落型は事前入金が必須
  • 申込期限がある商品もある
  • 完済日変更時の再計算が必要

抵当権抹消は「金融機関の書類」と「登記申請」で成立する

抹消登記は、完済して終わりではなく、法務局へ登記申請して初めて完了します。

金融機関から受け取る書類には有効期限があるものもあり、早めの申請が推奨されています。

法務局の案内では、必要書類を受け取ったら紛失しないよう速やかに申請するよう注意されています(法務局の案内)。

売却時は司法書士がまとめて申請することが多いですが、流れを理解しておくと当日の不安が減ります。

必要になるもの 金融機関の解除書類一式
必要になるもの 登記申請書(通常は司法書士が作成)
提出先 不動産の所在地を管轄する法務局
注意点 書類の紛失は再発行できないものがある

売買契約から決済当日までの段取り

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ローン返済が絡む売却は、決済当日に全員が揃うため、準備不足が露呈しやすい分野です。

ここでは契約後から決済までにやることを、時系列で整理します。

売買契約後に決済日を確定し金融機関へ完済手続きを依頼する

売買契約が成立したら、決済日を確定させ、借入先へ完済手続きの申し込みを進めます。

完済金額の確定や書類準備に時間がかかる金融機関もあるため、後回しにすると間に合わないリスクが出ます。

決済日が月末や繁忙日に当たると、銀行側の処理が遅れることもあるため、日程調整も実務の一部です。

「いつまでに何を提出するか」を担当者と確認し、チェックリスト化しておくと事故を減らせます。

  • 完済手続きの申込期限
  • 完済金の振込先と手順
  • 抹消書類の持参者(銀行担当者かどうか)
  • 当日の入金確認に要する時間

決済当日の参加者と役割を先に固定する

決済当日は、売主と買主だけでなく、仲介会社、司法書士、金融機関担当者が同席することが一般的です。

そのため、誰がどの書類を持ち、どのタイミングで署名押印するかを事前に決めておく必要があります。

売主側は本人確認書類、実印、印鑑証明書など、提出期限のある書類が絡むため、直前で慌てがちです。

当日の流れは「登記依頼→送金→諸費用精算→鍵引渡し」と進むことが多いとされます(例:残代金決済当日の流れ)。

参加者 売主・買主・仲介会社
参加者 司法書士・金融機関担当者
売主の役割 署名押印・書類提出・鍵引渡し
注意点 印鑑証明書の有効期限に注意

決済当日の資金の流れを具体化して不足を潰す

当日は複数の支払いが同時に走るため、資金の流れを図解レベルで固めるのが安全です。

代表的には、買主からの送金→ローン完済→仲介手数料や登記費用の支払い→残額の入金という順で動きます。

固定資産税や管理費の精算金が発生する場合もあり、想定より手残りが減ることがあります。

不足が出そうなら、決済口座への事前入金や、補填資金の準備方法を確定させます。

  • 残代金の入金先口座
  • 完済金の支払先と手段
  • 仲介手数料・登記費用の支払方法
  • 精算金の発生有無

決済後に行う引渡しと手続き完了の確認

決済が終わったら、鍵や物件資料を引き渡し、領収書の授受で締まります。

登記は司法書士が申請するため、売主は完了の報告と登記情報の反映を確認する流れになります。

抵当権抹消が反映されていないと、次の取引や手続きで困ることがあるため、確認は省略しない方が安全です。

不安がある場合は、司法書士へ「いつ確認できるか」を事前に聞いておくと迷いません。

引渡し対象 鍵・取扱説明書・設備保証書など
確認事項 登記事項証明書で抹消反映
保管物 精算書・領収書・契約書
次の対応 必要に応じて確定申告準備

売却代金で完済できないときの現実的な選択肢

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売却代金がローン残債を下回る状態は珍しくありません。

ここでは不足が出る場合に、現実に取り得るルートを整理します。

自己資金で不足分を補填して完済する

もっともシンプルなのは、手元資金で不足分を補って完済し、通常の売買として決済する方法です。

この場合、買主へ抵当権のない状態で引き渡せるため、取引の難易度は上がりにくいです。

一方で、生活防衛資金まで使うと売却後に資金繰りが崩れるため、補填額の上限は現実的に決めます。

補填に使う資金の出所やタイミングも、決済の資金工程に組み込んでおく必要があります。

  • 不足額を確定してから補填方法を決める
  • 決済口座へ事前入金するかを確認する
  • 精算金や手数料で不足が増えないか注意する
  • 売却後の生活資金を別枠で確保する

住み替えローンで残債をまとめる

住み替えを伴う場合は、残債と新居購入費をまとめて借りる住み替えローンという考え方があります。

売却が先に確定しないと次の購入が動きにくい場面で、選択肢になることがあります。

ただし借入額が増えるため審査が厳しくなりやすく、返済負担率の観点でも無理のない設計が必要です。

金融機関や商品によって条件が異なるため、早い段階で相談して可否を見極めます。

狙い 残債不足を含めて資金を一本化する
注意点 借入額増で審査が厳しくなりやすい
必要になること 売却と購入のスケジュール設計
向くケース 住み替えが前提で不足が埋まらない場合

つなぎ融資でタイミング差を埋める

売却と購入のタイミングがずれると、手付金や諸費用の支払いが先に発生して資金が足りなくなることがあります。

この資金ギャップを埋める手段として、つなぎ融資が使われることがあります。

一方で金利や手数料が発生し、短期とはいえコストが上乗せされる点は理解が必要です。

利用可否や条件は金融機関ごとに異なるため、住み替えの工程表と一体で検討します。

  • 売却入金前に必要な支払いを洗い出す
  • 借入期間と返済原資を明確にする
  • 金利・手数料の総コストを試算する
  • 審査日数をスケジュールに織り込む

任意売却を検討する

自己資金で補填できず、通常の売買では抵当権を外せない場合、任意売却という選択肢があります。

任意売却は、債権者の同意を得て、残債が残る形でも売却を成立させる仕組みです。

売却後も残債が残る場合が多く、返済方法は債権者との交渉になることが一般的とされています。

連帯保証人がいる場合は影響が及ぶため、早期に専門家を交えて判断します(例:任意売却後の残債の扱い)。

前提 債権者(金融機関等)の同意が必要
売却後 残債が残るケースが多い
返済 生活状況に合わせた交渉になることがある
注意点 保証人・信用情報への影響を把握する

抵当権抹消の必要書類と費用を具体化する

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決済当日の不安の多くは、抹消書類と費用が見えていないことから生まれます。

ここでは何が必要で、誰が準備し、いくらかかるかを具体化します。

金融機関から受け取る書類のイメージを持つ

抹消に必要な書類は、基本的に抵当権者である金融機関が用意します。

売却と同時に抹消する場合、金融機関担当者が決済日に持参する運用もあります。

一般に、登記識別情報(または登記済証)、解除証書(登記原因証明情報)、委任状などが挙げられます。

書類名は金融機関で表記が異なることがあるため、受領時に不足がないかを確認します。

  • 登記識別情報通知または登記済証
  • 抵当権解除証書(登記原因証明情報)
  • 委任状
  • 代表者事項などの添付書類

登録免許税は不動産の個数で決まる

抵当権抹消登記には、登録免許税がかかります。

法務局の資料では、不動産1個につき1,000円と案内されています。

戸建てなら土地と建物で2個になるため、基本は2,000円という考え方になります。

この税額は申請内容や不動産の個数で変わるため、物件の登記簿で「個数」を把握しておくと確実です(法務局資料(PDF))。

区分 不動産1個あたり1,000円
土地1個+建物1個=2,000円
支払方法 収入印紙を申請書に貼付
注意点 マンションは敷地が複数筆のことがある

司法書士報酬は相場ではなく見積もりで確認する

登記を司法書士に依頼する場合、登録免許税とは別に報酬が発生します。

相場情報は参考になりますが、物件数や当日の立会い、書類の状況で変動します。

特に権利証等の紛失があると、追加手続きが必要になり費用が跳ねることがあります。

売却時は所有権移転登記も絡むため、抹消分だけでなく登記一式の見積もりで把握します。

  • 抹消登記のみか移転登記込みか
  • 不動産の個数が多いか
  • 書類の不足や紛失がないか
  • 決済立会いの有無

抹消が完了したかは登記事項証明書で必ず確認する

登記申請が受理されれば、後日、抹消が反映されます。

「書類を渡したから大丈夫」と思い込み、確認を省略すると、後で発覚して手戻りになることがあります。

確認は登記事項証明書ででき、抹消が記録されているかを見れば判断できます。

不安があれば、司法書士へ確認方法と確認時期をセットで聞いておくと安心です。

確認手段 登記事項証明書
見る場所 権利部(乙区)の抵当権欄
確認の目安 申請後の登記完了日以降
次の影響 再売却・担保設定・各種手続き

ローン返済が絡む売却で失敗しないための実務ポイント

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最後に、流れを理解したうえで、実務でつまずきやすい点を潰します。

少しの準備で、決済当日の混乱と資金不足は大きく減らせます。

最重要は、決済日に完済できる金額と手段を確定し、抹消書類が揃う状態にしておくことです。

次に、精算金や諸費用を含めて手残りを見積もり、資金の出入りを一本の表にして管理します。

残債不足が見えた時点で、自己資金・住み替えローン・つなぎ融資・任意売却のどれを取るかを早期に決め、関係者へ共有します。

そして、金融機関の申込期限や当日の入金確認時間など、相手都合で動く部分を工程表に織り込みます。

これらを押さえれば、ローンが残る不動産売却でも、段取りは再現性のある形で進められます。