不動産を売却したあとに、売却した不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)が必要になる場面は意外と多いです。
けれど「もう自分の名義じゃないのに取れるのか」「どこで何を出せばいいのか」で止まりがちです。
本記事では、売却後でも取得できる理由と、最短で手元に用意する手順を実務目線で整理します。
オンライン請求と窓口請求の使い分けまで押さえると、確定申告や各種手続きで慌てずに済みます。
売却した不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)は売却後でも取得できる?
結論として、売却後でも売却した不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)は取得できます。
売却後でも取得できる理由は「公開情報」だから
不動産の登記記録は原則として公開されており、一定の情報は誰でも確認できる仕組みです。
そのため、売却して名義が買主に移っていても、登記事項証明書として交付を請求できます。
請求にあたり、本人確認書類の提示が必須ではない運用が一般的とされています。
ただし、物件を特定するための情報がないと請求手続きが進まない点が現実的なハードルです。
| ポイント | 名義の有無に関係なく請求できる |
|---|---|
| 根拠の考え方 | 登記記録は公開性を前提に運用される |
| 注意点 | 物件特定情報がないと請求できない |
| 参考 | 登記事項証明書は誰でも取得可能かの解説 |
「登記簿謄本」と「全部事項証明書」はほぼ同じ意味で使われる
いわゆる登記簿謄本は、現在では登記事項証明書と呼ばれるのが一般的です。
その中でも全部事項証明書は、権利関係などの記載をまとめて確認しやすい形式です。
提出先から「登記簿謄本」と言われたときは、まず全部事項証明書を想定するとズレにくいです。
ただし、提出先が現在事項で足りるなど指定している場合は、その指示を優先します。
- 旧称:登記簿謄本
- 現行:登記事項証明書
- 迷ったら:全部事項証明書を候補にする
- 提出先指定があるなら最優先
取得に必要なのは「住所」より「地番・家屋番号」
登記の世界では、住所(住居表示)よりも地番や家屋番号で不動産を特定します。
そのため、売却した家の住所だけを覚えていても、請求で詰まることがあります。
地番は土地、家屋番号は建物で使われることが多く、対象の種類で探し方が変わります。
地番や家屋番号は契約書類や固定資産税関係の書面に残っていることが多いです。
| 特定に使う番号 | 土地:地番/建物:家屋番号 |
|---|---|
| つまずきやすい点 | 住所だけだと特定が難しいことがある |
| 探す場所の例 | 売買契約書類、固定資産税関連書類 |
| 参考 | 登記情報提供サービスの説明(地番等で特定する旨) |
「閲覧用」と「提出用」を取り違えない
登記事項の内容を確認するだけなら、オンラインの閲覧系サービスが便利な場合があります。
一方で、提出を求められている場面では、登記官の認証文や公印のある証明書が必要になりがちです。
閲覧サービスで印刷したものは、証明書として扱われない点に注意が必要です。
提出先が照会番号で代替できる運用かどうかは、先方の要件で決まります。
- 確認目的:閲覧サービスで足りることがある
- 提出目的:登記事項証明書が求められやすい
- 照会番号代替:可否は提出先次第
- 迷ったら:提出先に要件確認する
売却後に「閉鎖」扱いになっても記録は残る
売却で名義が移ると、登記上の権利関係や履歴が更新されます。
それでも、登記の履歴は一定の形で記録として残るため、必要な範囲で確認可能です。
ただし、提出先が求めているのが「売却前の権利関係」なのか「売却後の名義状況」なのかで見るべき箇所が変わります。
目的を決めてから取得すると、取り直しのリスクを減らせます。
| 売却前を示したい | 売却前の名義や抵当権状況を確認 |
|---|---|
| 売却後を示したい | 買主への名義移転の反映を確認 |
| よくある失敗 | 目的不明で取得して読み違える |
| 次の一手 | 提出先の要件を先に確認 |
どんなときに売却した不動産の全部事項証明書が求められる?
売却後の全部事項証明書は、税務・金融・行政の手続きで提出や確認が必要になることがあります。
確定申告で「譲渡した事実」を補強したいとき
不動産売却の確定申告では、売買契約書や精算書などが中心資料になります。
そのうえで、売却した不動産の登記情報を補助的に確認したい場面があります。
税理士や金融機関から「登記簿の写し」を求められるケースもあり、早めに用意すると安心です。
提出の要否やコピー可否は相手側の運用によるため、要件確認が近道です。
- 主資料:売買契約書、精算書、領収書類
- 補助資料:登記事項証明書の写し
- 確認すべき点:コピー可否、必要範囲
- 最優先:提出先の指示
住宅ローンや各種ローンで「過去の不動産取引」を説明するとき
ローン審査では、資産状況や取引履歴の説明を求められることがあります。
過去に所有していた不動産の処分状況を示す資料として、登記情報の提示が役立つ場合があります。
ただし、審査で必要な資料は金融機関ごとに異なるため、先に提出リストを取り寄せるのが確実です。
必要とされた時点で取得すると時間がかかるため、想定されるなら先に準備しておくとスムーズです。
| 起きやすい場面 | 借換え、追加融資、事業融資 |
|---|---|
| 見られやすい点 | 名義、抵当権、移転時期 |
| 先にやること | 金融機関の必要書類リスト確認 |
| 備え | 余裕を持って取得手配 |
相続や遺産分割で「過去の名義や経緯」を整理するとき
相続の場面では、過去に所有していた不動産の処分経緯を整理する必要が出ることがあります。
売却済みでも、関係者の説明のために登記情報を確認したいケースがあります。
特に、抵当権の抹消や持分の変遷など、履歴の読み取りが必要なときに全部事項が役立ちます。
争いがあり得る局面では、どの時点の情報を示すかを揃えることが大切です。
- 確認したい例:名義人、持分、抵当権の有無
- 全部事項が強い例:履歴の確認が必要
- 注意点:時点が混ざると誤解が生まれる
- コツ:目的と時点を先に決める
トラブル時に「本当に移転できているか」を確認するとき
売却後に書類不備や手続き遅延があると、名義移転の反映が遅れることがあります。
その場合、登記事項証明書で現時点の名義や権利関係を確認するのが実務的です。
登記内容の確認だけなら閲覧サービスも候補になりますが、提出が絡むなら証明書を優先します。
閲覧サービスが証明書と同じ効力を持たない点は、公式説明でも注意喚起されています。
| まず確認 | 所有権移転の登記が完了しているか |
|---|---|
| 次に確認 | 抵当権の設定・抹消の状況 |
| 閲覧の位置づけ | 内容確認向け |
| 参考 | 証明文や公印が付かない旨の説明 |
売却した不動産の登記簿謄本を取得する方法は3つ
取得方法は大きく分けて、窓口、郵送、オンライン請求の3パターンです。
法務局の窓口で請求する
急ぎで必要なら、窓口請求が最短になることがあります。
請求書に不動産の表示を記入し、手数料を納付して交付を受けます。
混雑状況によって待ち時間が変わるため、時間帯や曜日の工夫が効果的です。
土地と建物で別々に必要になることもあるので、必要範囲を先に確認します。
- 向いている人:今日中に欲しい
- 必要になりやすい情報:地番、家屋番号
- 注意点:窓口受付時間の制約
- コツ:土地と建物の両方が必要か確認
郵送で請求する
遠方の物件でも、管轄登記所に郵送して交付を受ける方法があります。
請求書と手数料の納付、返信用封筒の同封が基本セットになります。
到着と返送の日数があるため、期限がある手続きでは余裕が必要です。
不備があると差し戻しになるため、記入事項の確認が重要です。
| 向いている人 | 窓口に行く時間がない |
|---|---|
| 所要感 | 往復郵送分の期間が必要 |
| つまずき | 不動産表示の記入ミス |
| 対策 | 地番・家屋番号を先に確定 |
オンラインで請求して「郵送受取」または「窓口受取」にする
オンライン請求は、請求自体をネットで行い、受け取りは郵送または窓口で行う方式です。
申請用総合ソフトだけでなく、ブラウザで進めやすい「かんたん証明書請求」が用意されています。
手数料が窓口請求より安くなる案内が出ている地域もあり、コスト面でも選ばれています。
公式の入口は登記・供託オンライン申請システムから辿れます。
- 入口:登記・供託オンライン申請システム
- 代表的手段:かんたん証明書請求
- 受取:郵送または窓口
- 参考:登記ねっと公式トップ
「登記情報提供サービス」で事前確認してから取得する
まず内容だけ確認したいなら、登記情報提供サービスで閲覧する選択肢があります。
閲覧サービスは証明文や公印が付かないため、提出用の証明書とは別物です。
ただし、現況の把握や、請求前に地番等を確かめる目的では役立つことがあります。
利用時間や料金体系も公開されているので、事前に把握しておくと迷いません。
| 位置づけ | 閲覧相当 |
|---|---|
| 提出用途 | 原則不向き |
| 使いどころ | 内容確認、事前チェック |
| 参考 | サービス概要と注意点 |
請求前にそろえる情報と、手数料の考え方
請求で詰まる原因の多くは、物件特定情報の不足と、必要通数の見積もり不足です。
物件特定に必要な「最低限のセット」を決める
土地なら所在と地番、建物なら所在と家屋番号が基本のセットです。
マンションの場合は敷地権の土地と専有部分の建物の扱いが絡むため、書類の表示を丁寧に読みます。
売却時の重要事項説明書や売買契約書の物件表示欄に、必要情報が載っていることが多いです。
見当たらない場合は、固定資産税の課税明細書などを探すと見つかることがあります。
- 土地:所在、地番
- 建物:所在、家屋番号
- マンション:敷地権の表示に注意
- 探す書類:契約書類、課税明細
手数料は「請求方法」と「受取方法」で変わることがある
窓口での請求は1通あたりの手数料が示されることが多いです。
オンライン請求は、郵送受取と窓口受取で手数料が異なる案内がされています。
また、郵送受取では郵送料の扱いが案内されている場合があるため、ページの説明を確認します。
最新の手数料は変更され得るので、実際の請求前に案内ページで数字を確認するのが安全です。
| 窓口請求の例 | 1通600円の案内が一般的 |
|---|---|
| オンライン請求の例 | 郵送受取500円、窓口受取480円の案内例 |
| 郵送料 | 扱いは案内に従う |
| 参考 | かんたん証明書請求の手数料案内例 |
何通必要かは「提出先の数」と「土地・建物の別」で決まる
提出先が複数あると、原本が複数必要になることがあります。
土地と建物で証明書が別になると、必要通数は単純に倍になります。
コピー提出でよい場面もあるため、先に提出条件を確認するのが結局いちばん安く済みます。
提出先が行政・金融・税務で混在する場合は、要件が揃わない前提で見積もります。
- 通数を左右:提出先の数
- 通数を左右:土地と建物が別
- コスト削減:コピー可否の確認
- 混在時:要件が揃わない前提で準備
オンライン請求の入口と、請求の上限を知っておく
オンライン請求には、かんたん証明書請求と申請用総合ソフトが用意されています。
手続きによっては、1回の請求で扱える件数の上限が示されているため、まとめ請求の可否を確認します。
不動産でも、複数物件を同時に扱うケースでは分割が必要になることがあります。
公式サイトの手続き説明から、自分に合う入口を選ぶのが失敗しにくいです。
| 入口 | 登記・供託オンライン申請システム |
|---|---|
| 代表的メニュー | かんたん証明書請求、申請用総合ソフト |
| 確認ポイント | 請求上限、受取方法、納付方法 |
| 参考 | 申請・請求の方法の案内 |
全部事項証明書のどこを見るべき?売却後に確認したいポイント
取得したら、提出目的に合わせて見る場所を絞ると、読み違いと二度手間を避けられます。
所有者が買主に移っているかを確認する
売却後の確認で最も多いのは、所有権移転が反映されているかどうかです。
名義がまだ旧所有者のままなら、登記申請の進捗や不備の可能性があります。
司法書士に依頼している場合でも、念のため証明書で現況確認する価値があります。
確認だけなら閲覧サービスも候補ですが、提出が絡むなら証明書が無難です。
- 確認対象:所有権の名義
- 要注意:移転未反映の可能性
- 次の行動:依頼先へ状況確認
- 提出があるなら:証明書を優先
抵当権の抹消や残存がないかを見る
住宅ローンが残っていた不動産では、抵当権抹消が重要なチェック項目です。
売却後も抵当権が残っているように見える場合、抹消手続きの未了やタイムラグが疑われます。
買主側の融資条件や引渡し条件に関わるため、放置せず早めに関係者へ確認します。
抵当権の状況は、売却トラブルの火種になりやすいので注意深く見ます。
| 確認対象 | 抵当権の設定・抹消 |
|---|---|
| よくある原因 | 抹消未了、登記の反映待ち |
| 影響 | 買主の融資条件、引渡し条件 |
| 対応 | 司法書士や金融機関へ確認 |
地番・家屋番号の控えとして保存しておく
売却後に登記簿謄本を取り直す理由の多くは、物件特定情報を後から求められることです。
一度取得したら、地番や家屋番号をメモしておくと次回が圧倒的に楽になります。
ただし、個人情報や権利情報を含むため、保管方法は慎重に選びます。
スキャンしてクラウドに置く場合は、アクセス権限とバックアップを必ず見直します。
- 控える情報:地番、家屋番号
- 次回の利点:請求がスムーズ
- 保管注意:権利情報を含む
- 推奨:権限管理とバックアップ
提出先の要件に合わせて「全部」か「現在」かを決める
全部事項証明書は情報量が多く、履歴確認に向く反面、提出先によっては現在事項で足りることもあります。
提出先が目的としているのが現況確認なら、現在事項のほうが見やすい場合があります。
一方で、経緯や履歴を見たいなら、全部事項が求められる場面が増えます。
迷ったら、提出先に「必要な種類」を明確に聞くのが最短です。
| 全部事項が向く | 履歴や経緯の確認 |
|---|---|
| 現在事項が向く | 現況の確認 |
| 迷う原因 | 提出先の要件が不明 |
| 解決策 | 提出先に種類を確認 |
必要な場面を先読みして、最短ルートで準備しよう
売却した不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)は、売却後でも取得できるのが基本です。
つまずきやすいのは名義ではなく、地番や家屋番号などの物件特定情報の不足です。
提出用途なら証明書、確認用途なら閲覧サービスという使い分けで、無駄な取得を減らせます。
請求方法は窓口・郵送・オンラインがあり、期限とコストで選ぶと判断が早くなります。
まずは提出先の要件と必要通数を確定し、足りない情報だけを埋める順序で動くのが最も確実です。

