農地の不動産売却は農地法の許可・届出が原則必要|手続きと税金の落とし穴を避ける!

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法務

農地は「土地だから自由に売れる」と思われがちですが、実際には農地法の手続きが前提になります。

手続きの種類は「農地のまま売るのか」「転用して売るのか」で大きく変わります。

さらに市街化区域かどうか、農用地区域に入っているかどうかで、許可なのか届出なのかも分かれます。

先に流れを把握しておくと、契約後に止まる、引渡しが遅れる、想定外の費用が出るといった失敗を避けやすくなります。

ここでは、農地売却で最初に押さえるべき法的手続き、売り方の選択肢、税金と費用の考え方を整理します。

  1. 農地の不動産売却は農地法の許可・届出が原則必要
    1. まず「農地のまま」か「転用して」かを決める
    2. 農地のまま売る売買は農地法3条の許可が基本
    3. 転用が絡むと農地法4条・5条のルートに分かれる
    4. 制度の全体像は農水省資料で俯瞰できる
  2. 売却前に必ず確認したい農地の条件
    1. 登記の地目と現況がズレていないかを見る
    2. 市街化区域かどうかで許可と届出が分かれる
    3. 農用地区域や農振地域はハードルが上がりやすい
    4. 買主側の要件で止まることがある
  3. 農地売却の手続きの流れを先に固める
    1. 農地のまま売る場合は3条許可の段取りが核になる
    2. 市町村ごとの運用差があるので所在地の案内を見る
    3. 転用が絡む場合は4条・5条のどちらかを確定する
    4. 農地バンク等の制度が関係する場面もある
  4. 農地の売り方は4つに分けて考える
    1. 農地のまま個人間で売ると買主要件が壁になる
    2. 不動産会社の仲介は「農地に強いか」で差が出る
    3. 買取は早いが前提条件と価格の調整が必要
    4. 転用して売る場合は段取りが増えるが買主層が広がる
  5. 農地売却にかかる税金と費用を見積もる
    1. 譲渡所得は所有期間で税率が変わる
    2. 要件により特別控除が使える可能性がある
    3. 契約書の印紙税は金額で変わる
    4. 測量・登記・仲介手数料などの「売却コスト」も見る
  6. 農地売却をスムーズに進めるための要点

農地の不動産売却は農地法の許可・届出が原則必要

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農地の売却は、農地法に基づく許可や届出が関わるため、一般の宅地売却よりも「先に確認すべきこと」が多い取引です。

まず「農地のまま」か「転用して」かを決める

農地を農地として売買する場合と、住宅用地などへ転用して売る場合では、必要な手続きが異なります。

目的を決めないまま買主探しを始めると、途中で要件不適合になりやすいです。

買主が農業をするのか、宅地化を前提にするのかを早い段階で合わせておくことが大切です。

  • 農地のまま売る:農地法3条の許可が中心
  • 自分で転用する:農地法4条の許可・届出が中心
  • 買主が取得して転用:農地法5条の許可・届出が中心
  • 市街化区域は「届出」になる場合がある

農地のまま売る売買は農地法3条の許可が基本

農地等を農地として売買や貸借する場合は、農地法3条に基づく許可が必要と説明されるのが一般的です。

許可権者や運用は市町村の農業委員会が窓口になるケースが多いです。

許可を受けないで行った行為は無効になり得るため、契約の進め方にも注意が必要です。

根拠 e-Gov法令検索(農地法)
窓口 市町村の農業委員会(地域により運用差)
主な対象 農地・採草放牧地の権利移動(転用目的を除く)
注意 許可前提で契約条項と日程を組む

転用が絡むと農地法4条・5条のルートに分かれる

農地を農地以外にする場合は、農地法4条や5条の手続きが関係します。

市街化区域内は届出、市街化調整区域などでは許可が必要と案内される自治体が多いです。

転用目的があるなら、開発許可や建築制限など農地法以外の規制も同時に確認します。

  • 4条:自分の農地を自分で転用
  • 5条:権利移動と転用がセット
  • 市街化区域:届出になることがある
  • 調整区域など:許可が必要になることがある

制度の全体像は農水省資料で俯瞰できる

農地の売買・貸借は法律に基づく手続きが必要であることが、農林水産省の整理資料でも示されています。

また、農地中間管理機構(いわゆる農地バンク)を使う方法など、地域政策と結びついた制度もあります。

迷ったら、農水省の概要資料で全体像を掴んでから、所在地の農業委員会の案内に落とし込むと理解が早いです。

一次情報 農林水産省:農地をめぐる事情について
ポイント 農地法の許可と農地バンク等の制度が併存
実務 最終判断は所在地自治体の運用確認が必要
おすすめ 契約前に窓口相談して手戻りを減らす

売却前に必ず確認したい農地の条件

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農地の売却は「いくらで売るか」以前に、「売れる状態か」「どの手続きか」を確定させることが重要です。

登記の地目と現況がズレていないかを見る

最初に確認したいのは登記簿上の地目と、現況が一致しているかどうかです。

地目が田や畑のままでも、現況が長期にわたり宅地的利用になっていると、別の問題が生じることがあります。

境界や接道も含めて、土地としての前提条件を整理しておくと後工程が楽になります。

  • 登記簿の地目(田・畑・宅地など)
  • 現況の利用状況(耕作中・休耕・駐車場化など)
  • 境界の確定状況(測量の要否)
  • 接道・通行の権利関係

市街化区域かどうかで許可と届出が分かれる

農地転用は、市街化区域内かどうかで「届出」になるか「許可」になるかが変わることがあります。

たとえば市街化区域内の転用は農業委員会への届出と案内される自治体があります。

自分の農地を転用するのか、売買とセットで転用するのかでも条文が分かれるため、区分の確認が欠かせません。

確認項目 都市計画区域区分(市街化区域・調整区域など)
参考例 和歌山市:農地法第4条・第5条 農地の転用
結論の出し方 所在地の農業委員会の案内で最終確認
注意 農地法以外の開発・建築規制も併せて確認

農用地区域や農振地域はハードルが上がりやすい

農地には、農業振興地域内農用地など、地域計画上強く保全される区分が存在します。

この区分に入っていると、転用前提の売却は難しくなる場合があり、売り方を再設計する必要が出ます。

まずは区分を役所で確認し、転用を狙うのか、担い手に農地として引き継ぐのか方針を決めます。

  • 農用地区域に該当するか
  • 地域計画や目標地図との整合
  • 転用見込みが薄い場合の代替策
  • 買主の営農計画の現実性

買主側の要件で止まることがある

農地を農地として買う場合、買主側にも許可基準が設けられていることがあります。

農作業への従事や周辺農地との調和など、地域の農地利用に関する観点で審査されることがあります。

買主が個人か法人かでも要件が変わるため、先に条件整理をしておくと失敗が減ります。

観点 効率的に耕作できる体制があるか
観点 常時従事や営農計画の実現性
観点 周辺農地の利用に悪影響がないか
参考 八千代町:農地法第3条許可申請

農地売却の手続きの流れを先に固める

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農地の売却は、一般の不動産売買よりも「契約と手続きの順番設計」が重要になります。

農地のまま売る場合は3条許可の段取りが核になる

農地の売買では、農業委員会への申請から許可まで一定期間がかかると案内されることがあります。

この期間を見込まずに引渡し日を固定すると、買主・売主双方の資金計画が崩れやすいです。

契約書では、許可取得を停止条件にするなど、許可前提の条項設計が重要です。

  • 事前相談で必要書類と要件を確認
  • 申請書提出と現地確認
  • 総会等での審査
  • 許可後に決済と所有権移転へ

市町村ごとの運用差があるので所在地の案内を見る

3条許可の事務の流れや標準処理期間は、市町村により異なると説明されています。

そのため、ネット記事だけで判断せず、所在地自治体のページで締切日や流れを確認します。

特に締切日が月1回などの場合、スケジュールに直結するため要注意です。

一次情報 広島県:農地法第3条許可について
自治体例 和歌山市:農地法第3条(売買・貸借の権利移転)
実務上の勘所 契約日と決済日を分けて設計する
よくある失敗 許可前に引渡し前提で動いてしまう

転用が絡む場合は4条・5条のどちらかを確定する

転用は「誰が転用するか」によって4条と5条に分かれます。

市街化区域内は届出になる場合がある一方で、調整区域などは許可が必要とされることがあります。

契約の形が「転用後引渡し」なのか「届出受理後引渡し」なのかで、条項と工程が変わります。

  • 自己転用なら4条
  • 権利移動を伴う転用なら5条
  • 市街化区域は届出になることがある
  • 受理・許可前に工事着手しない

農地バンク等の制度が関係する場面もある

農地の貸借や集積では、農地中間管理機構を経由する仕組みが案内されることがあります。

地域の制度運用によっては、相対での進め方と調整が必要になるため、制度の存在を知っておくと迷いにくいです。

農地としての売却や貸付を検討している場合は、農地法ルートと併せて比較します。

一次情報 農林水産省:農地の売買・貸借に関する制度
補足資料 農水省資料:農地の貸し借り(売買)に関する案内
向くケース 担い手への集積を前提にした調整
注意 地域計画と整合するか確認する

農地の売り方は4つに分けて考える

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農地の売却は、法的手続きと同時に「どう売るか」の選択が成否を分けます。

農地のまま個人間で売ると買主要件が壁になる

農地のまま売る場合、買主が農業を継続できる体制を持つかが問題になりやすいです。

価格が合っても、許可基準に適合しないと成立しないリスクがあります。

そのため、買主候補の営農計画の確認が、一般の土地売買より重要になります。

  • 買主が耕作できる体制か
  • 農作業への従事実態があるか
  • 周辺農地への影響がないか
  • 許可が下りるまでの期間を許容できるか

不動産会社の仲介は「農地に強いか」で差が出る

仲介を使う場合でも、農地の取扱い経験が浅いと段取りが止まりやすいです。

農業委員会とのやり取り、地目や現況の整理、転用可能性の確認をセットで進められるかがポイントです。

媒介契約前に、過去の農地案件の実績や提案内容を確認します。

確認項目 農地売買・転用の実務経験
確認項目 許可・届出を前提にした契約設計
確認項目 測量・境界・登記の手配力
確認項目 転用時の他法令チェックの範囲

買取は早いが前提条件と価格の調整が必要

早期現金化を優先するなら買取も候補になります。

ただし農地は自由度が低いため、買取側が想定する出口と合わないと価格が伸びにくいです。

転用見込み、道路条件、面積、周辺需要などを踏まえ、現実的な条件で比較します。

  • 早く決めたい場合に向く
  • 転用見込みがあるほど評価されやすい
  • 測量や権利関係の整理が必要になりやすい
  • 複数案で比較しないと相場感が掴みにくい

転用して売る場合は段取りが増えるが買主層が広がる

転用してから売ると、宅地や駐車場用地として買主層が広がる可能性があります。

一方で許可・届出だけでなく、造成、開発許可、上下水、接道など検討項目が増えます。

コストと期間を見積もったうえで、転用前提が本当に得かを比較することが重要です。

メリット 買主層が広がりやすい
デメリット 期間と費用が増えやすい
必要確認 都市計画・開発・建築・インフラ
農地法の参考 4条・5条の考え方(自治体例)

農地売却にかかる税金と費用を見積もる

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農地売却でも、税金は基本的に譲渡所得の考え方で整理できますが、所有期間や特例で負担が変わります。

譲渡所得は所有期間で税率が変わる

土地や建物を売ったときの譲渡所得は、所有期間が5年超か5年以下かで区分されます。

国税庁のタックスアンサーでは、長期は課税長期譲渡所得金額に15%、短期は30%の所得税率で計算すると示されています。

復興特別所得税や住民税も関係するため、ざっくりでも税率の構造を理解しておくと資金計画が立てやすいです。

長期の目安 1月1日時点で所有期間5年超
所得税率 長期15%・短期30%
根拠 国税庁:長期譲渡所得
根拠 国税庁:短期譲渡所得

要件により特別控除が使える可能性がある

譲渡所得には、条件を満たす場合に特別控除が適用されることがあります。

国税庁の案内では、一定のケースとして「農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合」の控除枠が挙げられています。

ただし適用可否は要件確認が必要なので、該当しそうなら税理士等に確認してから織り込むのが安全です。

  • 特別控除は要件が細かい
  • 農地の譲渡に関する控除枠が示されている
  • 自己判断で前提にすると資金計画が崩れる
  • 適用できるかを先に確認する

契約書の印紙税は金額で変わる

不動産の譲渡に関する契約書には印紙税が関わります。

国税庁は契約金額に応じた印紙税額の一覧表を示しています。

売買価格が大きいほど印紙税額も上がるため、事前に概算しておくと安心です。

一次情報 国税庁:印紙税額の一覧表
決まり方 契約書に記載された契約金額で税額が変動
実務 契約書を何通作成するかで負担も変わる
注意 軽減措置の適用対象かも確認する

測量・登記・仲介手数料などの「売却コスト」も見る

農地売却でも、境界確定や地目変更、所有権移転登記などが関わると費用が発生します。

仲介を使えば仲介手数料、転用や造成を伴えば別途工事費も発生し得ます。

税金だけでなく、手取りに効くコストを一覧化してから売却価格の目標を立てるとブレにくいです。

  • 測量・境界確定の費用
  • 登記関連の費用
  • 仲介手数料
  • 転用・造成・インフラ整備の費用

農地売却をスムーズに進めるための要点

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農地の売却は、手続きの種類を早期に確定し、許可・届出の工程を前提に契約と決済を設計することが重要です。

市街化区域かどうか、農用地区域かどうか、地目と現況の一致など、前提条件の確認が遅れるほど手戻りが増えやすいです。

売り方は農地のままか転用かで買主層と手間が変わるため、費用と期間も含めて比較するのが現実的です。

税金は譲渡所得の枠組みで整理し、所有期間による税率差や特別控除の可能性、印紙税などのコストも含めて手取りを見積もります。

迷った時は、農水省の一次情報で全体像を押さえたうえで、所在地の農業委員会と不動産の実務者に早めに相談するのが近道です。