病死があったマンションを売却するときは原則として告知義務はない|例外と手続きを先に押さえよう!

ビーズクッションと収納棚がある明るく可愛いワークスペース
トラブル

親族が病気で亡くなった部屋を相続し、マンションを売却したいと考える人は少なくありません。

ただし「事故物件になるのか」「買主へ伝える必要があるのか」「価格はどれくらい下がるのか」が不安になりやすいテーマです。

結論から言うと、病死などの自然死は原則として告知不要と整理されており、例外の見極めと手続きの段取りが最重要になります。

  1. 病死があったマンションを売却するときは原則として告知義務はない
    1. まず押さえるべき公式基準はガイドライン
    2. 自然死は「重要な影響が低い」とされやすい
    3. 「告知義務」は売主本人の責任にも関わる
    4. 買主から質問されたら「原則不要」でも対応が変わる
    5. 共用部分での発生はケースが分かれる
    6. 「告知不要=何も残さない」ではない
  2. 告知が必要になりやすい例外パターンを先に確認する
    1. 特殊清掃が入った自然死は例外に寄りやすい
    2. 原因不明の死は「自然死とは別扱い」になり得る
    3. 周知性や社会的影響が大きい事案は期間に関係なく注意
    4. 買主の質問への「不一致回答」が最も危険
  3. 相続が絡むマンション売却は名義と権利を先に整える
    1. 売却の大前提は相続登記と売主の確定
    2. 共有名義のままだと売却が止まりやすい
    3. 室内の残置物と原状回復の判断軸
    4. 管理組合・管理会社から入手すべき資料
  4. 価格への影響を抑えるには売り方と説明の組み立てが効く
    1. 仲介か買取かを「期限」と「手間」で選ぶ
    2. 「室内状態の安心」を作ると交渉が穏やかになる
    3. 説明は「ガイドラインの枠組み+事実」で組み立てる
    4. 売却活動中の情報管理は「一貫性」が命
  5. 税金と特例を理解すると手取りが大きく変わる
    1. 譲渡所得は「売却額−取得費−譲渡費用」で決まる
    2. 相続税を払っているなら「取得費加算」の特例が効く
    3. 条件次第で「空き家の3,000万円控除」を検討できる
    4. 確定申告が必要になる典型パターン
  6. 不安を残さない売却の進め方を要点で整理する

病死があったマンションを売却するときは原則として告知義務はない

木製ダイニングテーブルとナチュラルインテリアが調和した明るいLDK

病死や老衰などの自然死は、居住用不動産で当然に想定される出来事として整理されています。

国土交通省の「人の死の告知に関するガイドライン」でも、自然死や日常生活の中での不慮の死は原則として告げなくてよいと示されています。

一方で、状況次第では「告げるべき」と判断される例外があるため、まず基準を正しく押さえることが大切です。

まず押さえるべき公式基準はガイドライン

不動産の売買で問題になりやすいのは、心理的瑕疵に当たるかどうかという点です。

国土交通省は宅地建物取引業者向けに、告知の範囲の一般的な基準をガイドラインとして公表しています。

一次情報としてガイドライン本文と国交省の公表ページを確認しておくと判断がぶれません。

  • 基準の出典:国交省公表資料
  • 対象:居住用不動産の売買・賃貸
  • ポイント:原則と例外の線引き

自然死は「重要な影響が低い」とされやすい

自然死は買主の判断に重要な影響を及ぼす可能性が低いと整理されやすい類型です。

ガイドラインでは、老衰や持病による病死などは一般的であり、心理的瑕疵に当たらない裁判例もあると記載されています。

このため、通常の病死のみで即「事故物件」と決めつける必要はありません。

死因の類型 病死・老衰などの自然死
原則の扱い 告げなくてよい
注意点 状況により例外がある

「告知義務」は売主本人の責任にも関わる

告知の主体は実務上、売主と仲介業者の双方が関与します。

国交省の公表ページでは、媒介業者が売主に対して告知書等への記載を求めることで通常の調査義務を果たす考え方も示されています。

後から発覚してトラブルにならないよう、売主側も経緯を整理して仲介へ共有するのが安全です。

  • 亡くなった場所が専有部分か共用部か
  • 発見までの期間
  • 特殊清掃の有無
  • 近隣に周知された事情の有無

買主から質問されたら「原則不要」でも対応が変わる

ガイドラインは、死因や経過期間にかかわらず、相手方から事案の有無を問われた場合は告げる必要があると整理しています。

つまり「こちらから積極的に告げなくてよい」場面と「質問されたら答える」場面は別物です。

想定問答を用意し、事実だけを簡潔に説明できるようにしておくと交渉が荒れにくくなります。

場面 基本方針 実務の動き
質問されない 原則として告げなくてよい 仲介と記録を共有
質問された 告げる必要がある 事実のみを簡潔に回答
社会的影響が大きい 告げる必要がある 周知性を踏まえて判断

共用部分での発生はケースが分かれる

集合住宅では、専有部分だけでなく、日常生活で通常使用する共用部分も判断対象になり得ます。

国交省の整理では、共用玄関やエレベーターなど、住み心地に影響しうる部分が対象に含まれる考え方が示されています。

ただし、どの部分で何が起きたかにより取扱いが変わるため、場所の特定が重要です。

  • 専有部分:室内、専用庭、バルコニー等
  • 通常使用の共用部:玄関、廊下、エレベーター等
  • 通常使用しない共用部:判断が変わる可能性

「告知不要=何も残さない」ではない

原則として告知不要でも、売主側で経緯のメモを残すことが実務では有効です。

仲介業者は物件状況報告書などで情報を整理するため、売主の説明が曖昧だと取引全体が慎重になりがちです。

事実関係を時系列で整理しておけば、買主対応の一貫性が保てます。

残すべき情報
発生日 いつ亡くなったか
発見日 いつ発見されたか
対応 搬送・清掃・修繕の有無
周知性 近隣の噂や報道の有無

告知が必要になりやすい例外パターンを先に確認する

ナチュラルテイストのソファとブルーラグが映える明るいリビング

病死でも状況次第で「買主の判断に重要な影響がある」と評価される可能性があります。

特に、発見が遅れて特殊清掃が入った場合や、事件性・周知性が高い場合は注意が必要です。

例外を先に押さえておくと、売却方針を早い段階で固められます。

特殊清掃が入った自然死は例外に寄りやすい

ガイドラインの概要では、特殊清掃等が行われた自然死は、原則として告げなくてよい扱いから外れる整理が示されています。

買主の心理的抵抗が強まりやすく、事実を隠すと後の紛争リスクが高くなります。

清掃の内容や復旧状況を短い言葉で説明できる準備が大切です。

  • 発見まで時間がかかった
  • 臭気や汚損が残った
  • 特殊清掃や消臭作業を実施した

原因不明の死は「自然死とは別扱い」になり得る

原因が明らかでない死は、自然死以外の可能性も否定できないため、原則として告知する整理がされています。

医師の診断や警察対応などで「事件性なし」が明確になっているかが重要になります。

判断に迷う場合は、仲介業者に事実資料を共有して実務判断を合わせることが安全です。

状態 実務の注意
死因が明確 自然死として整理しやすい
死因が不明 告知対象になりやすい
事件性の周知 社会的影響として告知が必要になりやすい

周知性や社会的影響が大きい事案は期間に関係なく注意

ガイドラインは、社会的影響が特に大きい場合は告げる必要があると整理しています。

ニュース報道や近隣で広く噂になったケースは、買主が後から知る可能性が高い点がリスクです。

病死であっても救急車対応が大きく目立ったなど、周囲の状況も含めて確認しておきます。

  • 報道の有無
  • SNS等で拡散された形跡
  • 管理組合や近隣への周知状況

買主の質問への「不一致回答」が最も危険

質問されたのに曖昧に濁すと、後から「説明義務違反」と争点化しやすくなります。

重要なのは、感想や推測を混ぜず、事実だけを短く答えることです。

答え方の雛形を作っておけば、担当者が変わっても対応がぶれません。

質問例 回答の型
室内で人が亡くなっていますか 事実の有無を明確に回答
死因は何ですか 把握範囲のみを回答
清掃や修繕はしましたか 実施内容を簡潔に回答

相続が絡むマンション売却は名義と権利を先に整える

木製ベンチと観葉植物があるシンプルなダイニングスペース

病死があったマンションの売却は、心理面よりも相続手続きで詰まるケースが多いです。

売買契約の前提として、誰が売主なのかを登記と遺産分割で確定させる必要があります。

特に共有相続は意思決定が遅れやすいため、早めに論点を整理します。

売却の大前提は相続登記と売主の確定

売買契約は所有者が締結するのが原則であり、登記名義が未整理だと手続きが進みません。

遺言の有無、相続人の範囲、遺産分割協議の成立を確認しておくと後戻りが減ります。

「とりあえず査定」より先に、名義の整理が必要なケースがある点に注意します。

  • 遺言書の有無を確認する
  • 相続人の確定と連絡体制を作る
  • 遺産分割協議で売却方針を合意する

共有名義のままだと売却が止まりやすい

相続人が複数いると、マンションは共有名義になることがあります。

共有のまま売る場合でも、契約や決済で全員の関与が必要になり、調整コストが増えます。

代表者を立てるのか、持分を整理するのかを早い段階で決めると進行が安定します。

状態 起こりやすい課題 対策例
相続人が多い 意思決定が遅い 連絡窓口を一本化
持分が細かい 署名押印が増える 書類準備を前倒し
遠方在住がいる 日程調整が難しい 司法書士と段取り共有

室内の残置物と原状回復の判断軸

病死のケースでは、遺品整理や残置物撤去が売却のボトルネックになりがちです。

全面リフォームが必須とは限らず、売り方によって必要水準は変わります。

費用をかける前に「誰に売るか」を先に決めると無駄が減ります。

  • 一般の個人に売るなら見た目と臭気対策が重要
  • 投資家に売るなら費用対効果の線引きが重要
  • 買取ならスピード優先で最低限にする判断もある

管理組合・管理会社から入手すべき資料

マンション売却では、管理費や修繕積立金の状況が価格交渉に直結します。

病死の有無に関係なく、買主が不安になるのは「建物全体のリスク」です。

重要事項説明に必要な資料を早めに集め、見せられる状態にしておくことが有利です。

資料 理由
管理規約・使用細則 利用制限の確認
総会議事録 修繕計画や揉め事の把握
長期修繕計画 将来コストの評価
滞納状況 引継ぎ条件の確認

価格への影響を抑えるには売り方と説明の組み立てが効く

黒いレザーソファとアイランドキッチンがある高級感のあるリビングダイニング

病死そのものは原則として告知不要でも、買主が不安を感じれば値引き交渉は起きます。

重要なのは、隠すことではなく、買主が不安に思う論点を先回りして潰すことです。

「売り方」と「説明の設計」を整えるほど、価格は守りやすくなります。

仲介か買取かを「期限」と「手間」で選ぶ

仲介は高値を狙いやすい一方、内覧対応や売却期間のブレが出やすい手段です。

買取は価格が下がりやすい一方、短期で確実に現金化でき、心理面の不安も軽くなります。

相続人間で揉めやすい場合は、スピードの価値を金額換算して比較するのが現実的です。

  • 仲介:相場に近い売却を狙う
  • 買取:早期売却と確実性を取る
  • 買取保証付き:一定期間で売れなければ買取に切替

「室内状態の安心」を作ると交渉が穏やかになる

買主が本当に気にするのは、過去の出来事よりも現在の住環境の安心です。

臭気、汚損、害虫、設備不良など、生活に直結する不安が残ると価格が下がりやすくなります。

費用をかけるなら、体感に直結する箇所から優先すると効率が良いです。

優先度 対策 狙い
消臭・換気・簡易クリーニング 第一印象の改善
水回りの軽修繕 生活不安の解消
全面リフォーム 費用回収が難しい場合がある

説明は「ガイドラインの枠組み+事実」で組み立てる

告知が不要なケースでも、買主に聞かれたときの説明が曖昧だと不信感が出ます。

国交省の枠組みを踏まえつつ、事実関係を簡潔に述べると納得が得やすくなります。

感情表現や過度な言い訳は避け、短文で淡々と伝えるのがコツです。

  • 事実:いつ、どこで、何があったか
  • 現状:清掃や復旧で生活支障がないこと
  • 補足:必要に応じてガイドラインの考え方

売却活動中の情報管理は「一貫性」が命

内覧や問合せが増えると、説明内容が担当者や相手によって揺れがちです。

揺れはそのまま「隠しているのでは」という疑念につながります。

仲介業者と共有するメモを作り、回答の型を統一しておくと安心です。

統一する項目 内容例
質問の想定 死亡の有無、清掃の有無、修繕の有無
回答の型 事実のみ、把握範囲のみ
補足資料 修繕明細、清掃記録、管理資料

税金と特例を理解すると手取りが大きく変わる

グレーを基調にした上品で落ち着いた大人のリビングダイニング

相続したマンションを売却すると、利益が出た場合は譲渡所得として課税されます。

ただし、取得費の考え方や特例の使い方で税額は大きく変わります。

「売ってから考える」では遅いことがあるため、先に全体像を掴んでおきます。

譲渡所得は「売却額−取得費−譲渡費用」で決まる

税金の計算は、売却価格そのものではなく譲渡所得が基準になります。

取得費は購入代金だけでなく、改良費や一定の経費が含まれ、建物は減価償却の影響も受けます。

譲渡費用として仲介手数料などが差し引けるため、領収書の管理が重要です。

区分
取得費 購入代金、購入時諸費用、改良費等
譲渡費用 仲介手数料、印紙税、測量等
控除 特例の要件を満たす場合に適用

相続税を払っているなら「取得費加算」の特例が効く

相続税を納付している場合、一定の要件の下で相続税の一部を取得費に加算できます。

国税庁のタックスアンサーでは、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例として計算方法が示されています。

適用期限もあるため、相続開始からのスケジュールを逆算して動くことが大切です。

  • 相続税を納付していることが前提
  • 加算できる金額は算式で決まる
  • 期限管理が重要

条件次第で「空き家の3,000万円控除」を検討できる

被相続人の居住用財産を相続して売る場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

国税庁は「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」として要件を整理しています。

相続人が3人以上の場合の控除額や期限など、細部で差が出るため要件確認が必須です。

特例名 概要 注意点
空き家の3,000万円控除 譲渡所得から控除 要件が細かい
控除額 最大3,000万円 相続人3人以上で2,000万円になる場合
期限 一定期間内の譲渡 スケジュール管理が必要

確定申告が必要になる典型パターン

譲渡所得が出た場合は原則として確定申告が必要です。

特例を使う場合も、申告をしないと適用できないことが一般的です。

売買契約の時点で終わりではなく、翌年の申告までを売却プロセスとして考えます。

  • 売却で利益が出た
  • 特例の適用を受けたい
  • 相続税の取得費加算を使いたい

不安を残さない売却の進め方を要点で整理する

観葉植物とペンダントライトが映えるおしゃれなダイニング空間

病死があったマンションの売却は、告知の要否よりも、例外の見極めと段取りが成果を左右します。

国交省ガイドラインで原則と例外を理解し、仲介へ事実を共有し、名義と資料を整える流れが王道です。

税金は売却前に概算を作り、使える特例の期限を意識して動くほど手取りを守りやすくなります。

国交省の公表ページとガイドライン本文は最初に確認し、迷う点は仲介と司法書士や税の専門家へ早めに接続すると判断が速くなります。

参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」国土交通省/ガイドライン本文PDF

参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」国税庁/国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」国税庁