居住用マンション売却で消費税はかかる?|課税になる境界と費用の落とし穴を整理!

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税金

居住用マンションを売るときに「消費税って上乗せされるのか」「売却価格のうち何が課税対象なのか」で迷う人は多い。

結論から言うと、マイホームとして使っていた居住用マンションを個人が売るケースでは、売却代金そのものに消費税がかからないのが一般的だ。

一方で、売主が法人や課税事業者としての立場で売る場合、あるいは支払う費用の一部には消費税がかかるため、どこに税が乗るかを切り分ける必要がある。

この記事では、国税庁の「課税の対象」や「非課税となる取引」の考え方を軸に、居住用マンション売却と消費税の関係を整理する。

  1. 居住用マンション売却で消費税はかかる?
    1. 消費税がかかる取引の大前提は「事業として」
    2. 個人のマイホーム売却は原則「不課税」になりやすい
    3. 土地部分は売主の属性に関係なく非課税になりやすい
    4. 「非課税」と「不課税」は似ているが意味が違う
    5. 居住用でも「売主が法人」なら建物に課税される可能性が高い
    6. 個人でも課税事業者として売ると課税の論点が出る
    7. まず見るべきは「売却代金」ではなく「契約の内訳」
  2. 売却代金に消費税がかからない典型パターン
    1. 個人がマイホームを一度売るだけなら課税対象外になりやすい
    2. 土地の対価には消費税がかからない
    3. 売主が免税事業者だと「請求はされても納税は別問題」になり得る
  3. 居住用でも消費税がかかる可能性があるケース
    1. 不動産会社が売主の再販物件は建物に消費税が乗る
    2. 法人が保有していた社宅や寮の売却は課税になりやすい
    3. 賃貸に出していた期間が長いと「事業用資産」扱いの検討が必要
    4. 事務所利用や店舗利用が混ざると課税関係が複雑になる
  4. 消費税がかかるなら、どこにいくら乗るのか
    1. 課税対象は原則として建物部分のみ
    2. 消費税額のざっくり計算は「建物価格×税率」
    3. 土地建物の内訳がないと「合理的な按分」が必要になる
    4. 課税事業者が売る場合は「譲渡所得」との関係にも注意
  5. 売却で「支払う側」になる消費税も見落とさない
    1. 仲介手数料には消費税がかかる
    2. 司法書士報酬や登記関連の報酬にも消費税が乗る
    3. リフォームやハウスクリーニングをして売る場合も課税が基本
    4. 「買主が負担する消費税」と誤解しやすい項目を切り分ける
  6. 消費税で損しないために、売却前に確認したい要点

居住用マンション売却で消費税はかかる?

アイランドキッチンから見た吹き抜け階段と無垢フローリングのリビング

居住用マンションの売却で消費税がかかるかどうかは、「誰が」「どんな立場で」売るかで決まる。

消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う取引が原則の対象で、私的な資産の売却は前提が異なる。

まずは、課税の基本ルールと、不動産取引での例外(土地の非課税など)を押さえると判断が速くなる。

消費税がかかる取引の大前提は「事業として」

消費税の課税対象は、国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等に限られる。

この「事業として」は、反復・継続・独立して行う取引という整理で、私的な売却とは区別される。

したがって、まずは売却が「事業の取引」として扱われるかを見極めることが重要だ。

  • 判断軸は「事業者か」
  • 判断軸は「事業としてか」
  • 判断軸は「対価を得た取引か」
  • マイホーム売却は通常ここに当てはまりにくい

個人のマイホーム売却は原則「不課税」になりやすい

個人が生活のために使っていた居住用マンションを売る行為は、通常「事業として反復継続して行う取引」ではない。

このため、売却代金そのものは消費税の課税対象外(不課税)として整理されるのが一般的だ。

「課税対象は事業としての取引に限る」という枠組みを確認すると理解しやすい。

典型例 個人が住んでいたマンションを1回売る
消費税の扱い 売却代金は原則として課税対象外になりやすい
根拠の考え方 事業者が事業として行う取引に限る
参照 国税庁 No.6105 課税の対象

土地部分は売主の属性に関係なく非課税になりやすい

不動産の売買では、土地の譲渡は消費税の非課税取引として整理される。

つまり、仮に売主が法人などで建物部分が課税になる場面でも、土地部分に消費税がかからないのが原則だ。

契約書で土地と建物の金額を区分する理由のひとつが、ここにある。

  • 土地の譲渡は非課税
  • 借地権なども土地に含めて整理される
  • 建物は別枠で課税判定が必要
  • 区分が曖昧だと按分が論点になる

「非課税」と「不課税」は似ているが意味が違う

不動産売却でよく出る言葉に「非課税」と「不課税」がある。

非課税は、消費税の制度上は取引に該当するが政策的に税をかけない取引で、土地の譲渡などが代表例だ。

不課税は、そもそも課税対象となる取引の枠に入らない取引で、私的な資産の売却はここに整理されやすい。

区分 意味
非課税 取引だが消費税を課さない(例:土地の譲渡)
不課税 課税対象の取引に当たらない(例:事業としてでない売却)
参照 国税庁 No.6201 非課税となる取引

居住用でも「売主が法人」なら建物に課税される可能性が高い

法人は事業を行う目的で設立され、その活動は基本的に事業として行う取引になる。

そのため、法人が居住用マンションを売る場合は、建物部分が課税取引となる場面が出やすい。

売却価格が「税込」表示になっているか、契約書で建物の消費税額が明示されているかを確認したい。

  • 法人は原則「事業として」扱われやすい
  • 建物部分に消費税が乗る設計になりやすい
  • 土地部分は非課税のまま
  • 契約書の内訳が最重要

個人でも課税事業者として売ると課税の論点が出る

個人でも、事業者として反復継続して資産の譲渡等を行っている場合は課税の枠に入る。

たとえば賃貸事業用の資産の譲渡などは、事業に付随して対価を得て行われる譲渡として課税され得る。

居住用マンションでも、実態として事業用資産だったかどうかで判断が割れるため、使用実態の整理が欠かせない。

論点 「居住用」でも事業用資産として扱われないか
チェック例 賃貸に出していた期間の有無
チェック例 事務所利用や社宅扱いの有無
参照 国税庁 No.6157 不課税の具体例

まず見るべきは「売却代金」ではなく「契約の内訳」

消費税の有無を誤解しやすい理由は、売却価格が総額で語られやすいからだ。

不動産は土地と建物が混在し、土地は非課税、建物は課税判定が必要という二段構えになる。

契約書の土地建物内訳、消費税額の記載、売主の属性をセットで確認するとミスが減る。

  • 土地金額と建物金額が区分されているか
  • 「消費税額」または「税込」の明示があるか
  • 売主が個人か法人か
  • 売主が課税事業者か免税事業者か

売却代金に消費税がかからない典型パターン

グレーを基調にした上品で落ち着いた大人のリビングダイニング

居住用マンション売却で「消費税は基本かからない」と言われるのは、よくある売却シーンが不課税に寄りやすいからだ。

ただし、何でもゼロと決めつけると、費用の消費税や例外ケースを見落とす。

ここでは、消費税がかからない判断がしやすい典型例を、実務目線で整理する。

個人がマイホームを一度売るだけなら課税対象外になりやすい

個人の居住用マンションを、生活の都合で売却する行為は一般に反復継続性がない。

このため、消費税の課税対象となる「事業としての資産の譲渡等」に当たりにくい。

まずは消費税が課税される取引の枠組みを確認し、マイホーム売却がそこに入るかを考えるのが近道だ。

  • 転勤で売る
  • 住み替えで売る
  • 相続を機に売る
  • 家計整理で売る

土地の対価には消費税がかからない

マンションの売却でも、敷地権の形で土地の持分が含まれている。

土地の譲渡は非課税取引として整理されるため、土地部分に消費税が上乗せされることはない。

売主が法人か個人かにかかわらず、土地部分は原則として切り分けられる。

対象 土地(借地権等を含む)
消費税 非課税取引として整理
マンションでの形 敷地権・持分として含まれる
参照 国税庁 No.6201 非課税となる取引

売主が免税事業者だと「請求はされても納税は別問題」になり得る

事業者の取引でも、免税事業者に当たる期間は消費税の納税義務がない場合がある。

ただし、取引先との契約条件や価格の見せ方は別問題で、税込価格として合意することもあれば、税相当額の交渉が起きることもある。

実務では「誰がいくら負担するか」を契約で固定するため、書面の確認が不可欠だ。

  • 免税か課税かで納税義務が変わる
  • 価格交渉の論点になることがある
  • インボイスが必要な取引では要注意
  • 結局は契約条項で決まる

居住用でも消費税がかかる可能性があるケース

日差しが差し込むバルコニー付きリビングと猫のいる癒しの空間

「居住用マンションだから絶対に消費税はゼロ」と言い切ると危ない場面がある。

ポイントは、物件の用途そのものより、売主の属性と、売却が事業に付随するかどうかだ。

ここでは、居住用でも課税判定が出やすい代表例を挙げ、どこを確認すべきかをまとめる。

不動産会社が売主の再販物件は建物に消費税が乗る

不動産会社が買い取ってリフォーム等を施し、再販売する取引は事業としての譲渡に当たりやすい。

この場合、土地部分は非課税でも、建物部分は課税取引となるのが一般的だ。

広告に「税込」や「消費税相当額」の表記があるときは、建物に税が乗っている前提で内訳を確認したい。

  • 売主が不動産会社かどうか
  • 価格に「税込」の表示があるか
  • 契約書に消費税額が明示されるか
  • 土地建物の区分が妥当か

法人が保有していた社宅や寮の売却は課税になりやすい

法人が保有していた社宅や寮は、用途が居住用でも、法人の資産を事業として譲渡する構図になりやすい。

そのため、建物部分に消費税が課税されるケースが想定される。

社宅扱いの物件を売るときは、譲渡所得だけでなく消費税の論点も同時に整理したい。

売主 法人
論点 法人活動は事業として扱われやすい
課税対象 建物部分(土地は非課税)
参照 国税庁 No.6157 不課税の具体例

賃貸に出していた期間が長いと「事業用資産」扱いの検討が必要

一時的に賃貸に出しただけでも、期間や実態によっては事業に付随する資産の譲渡として整理される可能性がある。

事業に付随して対価を得て行う資産の譲渡は課税され得るという考え方を踏まえ、賃貸実態の棚卸しが必要だ。

賃貸期間、家賃収入の申告状況、管理委託の有無などを整理して判断したい。

  • 賃貸期間はどれくらいか
  • 家賃収入を申告していたか
  • 管理会社との契約があったか
  • 住民票や居住実態はどうだったか

事務所利用や店舗利用が混ざると課税関係が複雑になる

自宅兼事務所のように、居住用と事業用が混在する使い方をしていると、消費税の論点が出やすい。

どの範囲が事業用資産に当たるかで、課税対象部分の考え方が変わり得る。

実態を裏付ける資料を用意し、必要に応じて税理士に確認したい。

混在例 一部を事務所として使用
混在例 法人登記の住所にしていた
注意点 課税対象の範囲が論点になりやすい
参照 国税庁 No.6117 「資産の譲渡等」とは

消費税がかかるなら、どこにいくら乗るのか

自然光が差し込む木製家具が映えるナチュラルカントリー風のリビングダイニング

課税になる場合でも、マンション売却の総額すべてに消費税がかかるわけではない。

土地は非課税で、原則として建物部分にのみ課税されるため、内訳の作り方が重要になる。

ここでは、税額計算の考え方と、契約実務での注意点を具体的に整理する。

課税対象は原則として建物部分のみ

土地の譲渡は非課税であり、課税取引になっても土地に消費税はかからない。

一方で、事業としての資産の譲渡に当たる場合、建物部分は課税取引になり得る。

この「土地と建物の切り分け」を理解すると、税額の見積りが一気に簡単になる。

  • 土地は非課税
  • 建物は課税判定が必要
  • 区分所有でも考え方は同じ
  • 敷地権は土地側として整理

消費税額のざっくり計算は「建物価格×税率」

課税取引であれば、原則として消費税は建物の対価に税率を掛けて考える。

たとえば建物価格が1,200万円で税率10%なら、消費税相当額は120万円というイメージになる。

ただし、表示価格が税込か税抜か、契約書の記載形式で見え方が変わる。

前提 建物価格(税抜)1,200万円
税率 10%
消費税相当額 120万円
ポイント 土地部分は非課税なので別枠

土地建物の内訳がないと「合理的な按分」が必要になる

売買契約で土地と建物の金額が区分されていないと、課税対象(建物)の金額が確定しにくい。

その場合は固定資産税評価額などを参考に、合理的に按分して整理するのが一般的だ。

後から揉めないためにも、契約段階で内訳を明確にしておくメリットは大きい。

  • 契約書に土地と建物の対価を明記する
  • 固定資産税評価額を参考にする
  • 不自然な配分はリスクになる
  • 税理士チェックで安全性が上がる

課税事業者が売る場合は「譲渡所得」との関係にも注意

消費税の課税が出る場面では、所得税の譲渡所得計算と、消費税の経理処理が並走する。

国税庁も、課税事業者が事業用資産を譲渡した場合に消費税が課税されること、土地や借地権の譲渡は非課税であることを示している。

税込経理か税抜経理かでも処理が変わるため、会計処理の前提を合わせておくことが大切だ。

論点 消費税の課税有無と譲渡所得計算の整合
土地 非課税
建物 課税になり得る
参照 国税庁 No.6931 消費税等と譲渡所得

売却で「支払う側」になる消費税も見落とさない

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居住用マンションの売却では、売却代金に消費税がかからなくても、支払う費用に消費税が含まれることが多い。

とくに仲介手数料は消費税の課税対象で、総費用を押し上げる原因になりやすい。

ここでは、売主が支払う費用のうち、消費税が乗りやすい代表項目を整理する。

仲介手数料には消費税がかかる

不動産会社の仲介は役務の提供であり、手数料は消費税の課税対象になる。

売却代金が不課税でも、仲介手数料は別枠で消費税が上乗せされる点に注意したい。

見積書や媒介契約書に「手数料(税抜)」「消費税」「税込」の記載があるかを確認すると分かりやすい。

  • 仲介手数料は課税
  • 売主が個人でも課税
  • 税込表示の内訳確認が重要
  • 値引きよりサービス品質も比較

司法書士報酬や登記関連の報酬にも消費税が乗る

抵当権抹消登記などで司法書士に依頼する場合、その報酬はサービス対価として消費税が課税される。

ただし、登録免許税そのものは税金であり、消費税とは別の性質を持つ。

請求書で「報酬」と「実費・税金」が分かれているかを確認すると整理しやすい。

消費税がかかる 司法書士報酬
消費税がかからない 登録免許税(税金)
見方 請求書の内訳で分離
コツ 「報酬」と「実費」を混同しない

リフォームやハウスクリーニングをして売る場合も課税が基本

売却前にリフォームやクリーニングを業者に依頼すると、その費用は役務提供として消費税が課税される。

売却代金に消費税がかからないケースでも、売るための準備費用には課税が積み上がりやすい。

費用対効果を判断するためにも、見積段階で税込総額を揃えて比較したい。

  • リフォーム費用は課税
  • クリーニング費用は課税
  • ホームステージングも課税になりやすい
  • 税込で比較して意思決定する

「買主が負担する消費税」と誤解しやすい項目を切り分ける

消費税は最終的に消費者が負担すると言われるが、不動産売買では見え方が複雑になる。

課税取引であれば売主が預かった消費税を申告納付する構造になり、単純に買主負担と言い切れない。

費用項目ごとに、誰が支払うのか、何に課税されるのかを切り分けると混乱が減る。

売却代金 不課税または建物のみ課税になり得る
仲介手数料 売主が支払い、課税
登記報酬 売主が支払い、報酬は課税
土地部分 非課税

消費税で損しないために、売却前に確認したい要点

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居住用マンション売却の消費税は、原則はシンプルでも、例外や費用の税が絡むと途端に分かりにくくなる。

判断を誤ると、想定外の税込費用や、契約内訳の不備でトラブルになりやすい。

最後に、売却前に押さえておきたい確認ポイントを要点としてまとめる。

結局は「売主の属性」「物件の使用実態」「契約書の土地建物内訳」「仲介手数料など費用の税込」を押さえると、消費税の見落としは大幅に減る。

少しでも事業性が混ざる可能性があるなら、早い段階で税理士や仲介会社に確認し、書面に反映させてから動くのが安全だ。