一棟売りマンションを検索していると、物件概要の「構造」が「その他」と表示されることがあります。
この「その他」は珍しい表示で、意味を取り違えると融資や保険、修繕費の見立てが大きくズレます。
本記事では、一棟売りマンションの「その他」が示し得る構造の例と、購入前に構造を確定させる具体的な手順を整理します。
一棟売りマンションの「構造:その他」は具体構造の確認が必須
「その他」は便利な一括表示であり、性能を直接示す言葉ではないため、必ず中身の構造名まで落とし込んで判断します。
「その他」と表示される典型パターン
ポータルや仲介資料では、木造・S造・RC造・SRC造といった代表的な選択肢に当てはまらない場合に「その他」とまとめられます。
実際にはブロック造やPC造、混構造などが「その他」に入ることがあるとされています。
「その他」はレアケースである一方、表示だけで敬遠も判断もせず、まず内訳を確認する姿勢が重要です。
- 掲載側の選択肢に無い構造が存在する
- 混構造で単一カテゴリに収まらない
- 入力者が詳細構造を把握していない
- 資料未回収のまま暫定表示している
広告の「構造」と登記の「構造」は表現が揺れる
構造は登記簿の「構造」欄、建築確認資料、物件概要書などで表現が異なることがあります。
登記では「鉄骨・鉄筋コンクリート造」のように「・」が入る表記があり、単なるSRC造と同義ではない点に注意が必要です。
「その他」と出たら、広告表記ではなく一次資料の表現に立ち返って確定させます。
| 確認先 | 登記簿・建築確認・検査済証・設計図書 |
|---|---|
| よくあるズレ | 広告は略称、登記は材料構成で詳細 |
| 注意点 | 「鉄骨・鉄筋コンクリート造」はSRCと混同しない |
| 参考 | 登記の構造欄の考え方 |
代表例として多い「ブロック造」の見方
「その他」に含まれやすい代表例として、コンクリートブロック造が挙げられます。
築古で流通することが多く、劣化状況や耐震性の見立てが重要になりやすいとされます。
一棟運用では外壁・防水・躯体の状態が収支を左右するため、目視と記録の両方で確認します。
- 外壁のクラックや欠損の有無
- 雨漏り履歴と補修履歴の有無
- 耐震診断・補強の実施状況
- 長期修繕計画の有無
代表例として評価が分かれやすい「PC造」
PC造はプレキャストコンクリートを用いる構造として紹介され、RCに近い性能を持つ場合があるとされます。
一方で「PC造」と一口に言っても工法や接合部の設計で管理ポイントが変わります。
「その他」表示のときほど、工法名だけでなく施工会社や構法の前提もセットで把握します。
| 見方 | 工法名だけでなく接合部の仕様も確認 |
|---|---|
| 強みの出方 | 施工品質が安定しやすいとされる |
| 注意点 | 補修方法や部材調達の前提が変わる場合 |
| 参考 | 「構造:その他」に含まれ得る例 |
混構造(RS造など)は階層や用途で性格が変わる
混構造は、階ごとにRCとSが混在するなど、単一の構造名に収まりにくいケースです。
保険や融資の取り扱いでは、主たる構造の扱いがどちらになるかで条件が変わることがあります。
「その他」で一括りにせず、どの部位がどの構造なのかを図面と登記で突き合わせます。
- どの階がどの構造かを確認する
- 主たる部分の割合と表記ルールを確認する
- 保険会社の区分(鉄骨扱い等)を確認する
- 修繕対象がどの構造部位に偏るかを確認する
ALCなど「外壁材・構法」が構造欄に影響することもある
ALCは軽量気泡コンクリートで、外壁材として使われることが多いと説明されています。
広告上は「ALC造」と表現されることがあり、これが「その他」に回されるケースも想定されます。
柱梁の骨組みがS造で外壁がALCというように、骨組みと外装を分けて理解すると判断ミスを減らせます。
| 確認したい点 | 骨組み(S/RC/SRC等)と外壁材を分ける |
|---|---|
| 見落とし例 | 「ALC造」だけで耐火・遮音を断定する |
| 次の一手 | 設計図書・仕様書で材料と工法を確認 |
| 参考 | ALC表記の位置づけ |
「その他」のまま購入判断すると起きやすい落とし穴
「その他」は情報が欠けている状態なので、収支やリスクを標準モデルで置くと外れやすくなります。
融資評価が想定より厳しくなることがある
金融機関は担保評価と長期の保全性を重視するため、構造が不明確だと慎重になります。
「その他」の内訳が築古ブロック造等だった場合、修繕前提や耐用年数の見立てで条件が変わります。
事前審査の段階で、構造確定資料を揃えて説明できるかが差になります。
- 登記簿謄本(建物)を準備する
- 建築確認・検査済証の有無を示す
- 修繕履歴と写真をセットで提示する
- 稼働率と家賃根拠を資料化する
保険区分と保険料が想定とズレる
火災保険や地震保険は、構造区分で料率が変わることがあります。
混構造や特殊構法は、保険会社側の分類に時間がかかることもあります。
保険の見積りは「その他」のまま取らず、確定した構造名で取り直します。
| 起きやすいズレ | 想定した構造区分と保険側の区分が違う |
|---|---|
| 影響 | 保険料・免責・特約条件が変わる |
| 対策 | 構造略称と混構造の扱いを事前確認する |
| 参考 | 構造略称・混構造の例 |
修繕費の初期ブレが大きくなりやすい
構造が特殊だと、補修方法や足場計画、外装材の手配で費用が変わります。
築年数だけで修繕費を置くと、外壁や防水の仕様差で読み違えます。
一棟は修繕が一度に大きく出るため、購入前に優先順位付きで積み上げます。
- 外壁・屋上・バルコニー防水の見積り
- 給排水管の更新可否とルート
- 階段・廊下の鉄部塗装や腐食
- 共用灯・インターホン等の更新
「耐火・遮音」を一律に断定すると失敗する
一般にRC造やSRC造は耐火性に優れると説明される一方、構造ごとに性格が異なります。
S造やRC造、SRC造の違いは柱梁の構成などで整理されており、広告の一語で決め打ちしないことが大切です。
「その他」はなおさらで、性能評価は構造名と現場状態のセットで行います。
| やりがち | 「その他=弱い/強い」と短絡する |
|---|---|
| 正しい順序 | 構造確定→劣化確認→性能と費用を評価 |
| 参考 | RC/S/SRCの違い |
| 補足 | 「その他」に含まれ得る構造例 |
資料で構造を確定する手順
「その他」を分解するには、一次資料の取り寄せと読み合わせを段取り化するのが近道です。
登記簿で「構造」の正式表記を押さえる
登記簿の構造欄は、広告の略称より具体的な材料構成で書かれます。
特に「鉄骨・鉄筋コンクリート造」のような表記は、SRCと混同しやすいため注意が必要です。
表記の意味を理解しておくと、仲介担当との認識ズレを減らせます。
| まず見る欄 | 構造・床面積・種類・原因 |
|---|---|
| 混同注意 | 「鉄骨・鉄筋コンクリート造」はSRCと同義とは限らない |
| 次にやること | 建築確認資料・図面で部位ごとの構造を確認 |
| 参考 | 登記の構造欄の読み方 |
建築確認・検査済証・設計図書で裏取りする
登記は強い根拠ですが、構法や仕様まで分からない場合があります。
建築確認や検査済証、設計図書があれば、構造区分と仕様の整合が取りやすくなります。
資料が揃わない場合は、取得できない理由と代替資料を明確にします。
- 建築確認済証の有無
- 検査済証の有無
- 構造図・意匠図・仕様書の有無
- 取得不可なら代替として修繕記録や点検報告書
物件概要書の「その他」欄に重要情報が隠れる
物件概要書には「その他」に重要事項が書かれていることがあると指摘されています。
用途制限、再建築、越境、違反建築の疑いなど、構造以前の論点が出ることもあります。
構造の確定と並行して、その他欄の一文を必ず深掘りします。
| 要注意ワード | 既存不適格/未登記/増築未登記/要是正 |
|---|---|
| 確認先 | 重要事項説明書・役所調査・建築士確認 |
| 対策 | 是正費用とスケジュールを見積もる |
| 参考 | 物件概要書の読み方 |
現地で「構造の差」が出るポイントを見抜く
書類で確定した構造でも、劣化や施工状況は現地でしか分からない部分があります。
特に外壁、屋上防水、共用部の鉄部、クラックは写真で残すと比較が容易です。
現地確認は「気になる」ではなく、チェックリストで再現性を持たせます。
- 外壁のクラックと補修跡
- 屋上・庇・バルコニーの防水状態
- 階段・廊下の鉄部腐食
- 共用配管スペースの漏水痕
一棟運用の収支に直結するチェック項目
構造を確定できたら、次は収支に落とし込むためのチェック項目を同じ粒度で揃えます。
修繕費は「仕様差」を前提に幅を持たせる
同じ築年数でも、外壁材や防水仕様で修繕周期と単価が変わります。
「その他」物件は標準化しにくい分、幅を広めに取り、優先順位を付けて積み上げます。
見積りは一社だけでなく、仕様差を理解できる業者で比較します。
- 外壁補修・塗装の想定単価を幅で置く
- 防水は工法ごとに更新費を見積もる
- 給排水更新は部分更新と全更新を分ける
- 共用灯や設備更新は年次で平準化する
耐用年数と減価償却の前提がズレると資金計画が崩れる
一棟投資はキャッシュフローだけでなく、税務上の償却計画も資金繰りに影響します。
構造が不明確なままだと、耐用年数の前提が曖昧になり、手残り予測の精度が落ちます。
税理士相談は物件確定後に行い、構造表記を資料で共有します。
| ブレやすい点 | 構造区分の誤認で償却年数の前提が揺れる |
|---|---|
| 影響 | 納税見込みと資金繰りがズレる |
| 対策 | 登記簿の構造表記を共有して試算する |
| 補足 | 不明点は「その他」の内訳を言語化して相談する |
入居付けは「構造」より生活体験の差で決まる
遮音、断熱、結露、におい、共用部の清潔感は、入居者満足と退去率に直結します。
構造名だけで語れない部分が多いからこそ、現地で生活体験に近い観点で確認します。
「その他」表示の物件ほど、現地の納得感が武器になります。
- 共用廊下の音の響き方
- 室内の結露跡やカビ臭
- 玄関・階段の照度と防犯感
- ゴミ置場の運用状態
出口戦略は「買い手の理解コスト」を下げる設計にする
売却時に買い手が不安に感じるのは、情報不足と修繕見通しの不透明さです。
「その他」物件は説明コストが上がりやすいため、資料整備で不安を先回りして潰します。
購入直後から売却を見据えたフォルダ整備をしておくと、将来の成約率が上がります。
| 残したい資料 | 登記簿・図面・修繕履歴・点検報告・写真 |
|---|---|
| 作ると強い | 長期修繕のロードマップと概算費 |
| 説明の軸 | 「その他」の内訳を短文で言える状態にする |
| 狙い | 買い手の理解コストを下げる |
「その他」物件が向いている人・避けたい人
「その他」は不利と決めつけるより、情報を揃えられるかどうかで向き不向きが決まります。
向いているのは「資料化」と「現地確認」が得意な人
構造を確定し、修繕と保険と融資の前提を揃えられる人は、「その他」を弱点にしません。
むしろ市場の理解が浅い物件なら、説明力で価格交渉が成立する余地もあります。
手間を利益に変える設計ができる人ほど相性が良いです。
- 登記・図面・修繕履歴を自分で整理できる
- 見積り比較と仕様差の理解ができる
- 現地の劣化を写真で記録して判断できる
- 出口までの資料整備を継続できる
避けたいのは「不明点を放置」して買ってしまうケース
構造が「その他」のままでも買える物件はありますが、曖昧さを残したままでは後で必ずツケが来ます。
特に資料が揃わない理由が不明確な場合は、構造より先にコンプライアンスリスクを疑います。
不安が消えない時点で、一度立ち止まる判断が合理的です。
| 危険信号 | 構造の根拠資料が出ない |
|---|---|
| 危険信号 | 増築・改修の履歴が説明できない |
| 危険信号 | 現地確認を嫌がる/写真が極端に少ない |
| 推奨対応 | 購入前に建築士・専門家の確認を挟む |
仲介に必ず投げたい質問テンプレ
「その他」を具体化する質問を最初に固定すると、情報収集の抜け漏れが減ります。
質問は感想ではなく、資料名と回答期限をセットにすると強いです。
回答の質で、その物件にかける労力の上限も見極めやすくなります。
- 登記簿の構造表記を写しでください
- 建築確認・検査済証の有無を教えてください
- 混構造なら階ごとの構造が分かる図面はありますか
- 直近10年の修繕履歴と雨漏り履歴はありますか
要点を押さえて「その他」を不利にしない
一棟売りマンションの「その他」は、危険ワードではなく「未確定の箱」です。
ブロック造やPC造、混構造などが含まれ得るため、広告の一語では判断できません。
登記簿と建築資料で構造を確定し、保険・融資・修繕の前提を同じ資料にそろえることが最短ルートです。
「その他」の内訳を短文で説明できる状態まで落とし込めれば、購入時も売却時も判断がブレません。

